【ロンドン=内藤泰朗】エリザベス英女王(86)の在位60年を祝う一大祝賀行事が始まった。英王室は3日午後、ロンドン中心部を流れるテムズ川で350年ぶりという水上パレードを実施。1990年代のスキャンダルなどで存在意義が問われるほどに大きく揺れた英王室も、今や女王の高い人気にも支えられ、同国経済の「重要なブランド」としての存在も確立させている。

 パレードにはオーケストラや聖歌隊を乗せた船やカヤックなど約千隻が参加。女王は夫のフィリップ殿下(90)やチャールズ皇太子夫妻、孫のウィリアム王子夫妻らとともに17~18世紀の王室船をイメージして金箔(きんぱく)や花で飾られた特別の専用船に乗船した。

 テムズ川の水上行事としては、17世紀の王室の祝賀行事以来、350年ぶり。海軍のヘリコプターも飛来し祝福の編隊飛行を披露。女王は、19世紀のビクトリア女王以来という在位60年の喜びを、雨模様の肌寒い天気にもかかわらず川の両岸に詰め掛けた人々らと分かち合った。

 英国各地では、赤、青、白のユニオンジャック(英国旗)が飾られ、食べ物や飲み物を持ち寄り近所の人や友人らと60年を祝う「ビッグランチ」も実施されて祝賀ムードを盛り上げた。

 ただ、25歳で即位してからの60年は平坦(へいたん)ではなかった。居城ウィンザー城の火災(92年)、チャールズ皇太子とダイアナ元妃の離婚(96年)や翌年の元妃の事故死など数々の苦難に遭い、一時は君主制廃止論すら持ち上がった。

 だが、これを機に女王は改革に乗り出し国庫からの王室費にメスを入れて削減。ツイッターやフェイスブックで、若い世代へも情報を発信し、国民に身近な王室に変貌させた。英国史上、最高齢の君主はいまも年間約430件の公務をこなし多忙な活動を続け、世論調査では、約8割の国民が女王を支持している。

 厳しい経済情勢下での華美な祝賀行事には批判もある。だが、英国のコンサルティング会社はこのほど、英王室が有する資産の価値は445億ポンド(約5兆3400億円)に上り、観光など同国経済に与える効果は264億ポンド(約3兆1600億円)に上る可能性があるとのリポートをまとめ話題となった。不動産やロイヤルブランドなど数々の事業を展開する王室は「厳しい英国経済の追い風になっている」との報道も出ている。 ・・・平成24年6月4日(月)、産経新聞 1時4分配信より
 
 
私のコメント : 山口県と英国との関係は、他の都道府県に比べても、明治期、それ以前よりも古い歴史がある。日英関係の親善と発展には、山口県民も、関心を持っていってもらいたいと願う。