【ロンドン=内藤泰朗】ギリシャのユーロ圏離脱に備える動きが表面化する中、「欧州危機の影の主役」はスペインという見方が広がっている。不良債権の膨張で金融機関の信用不安が深刻化。ギリシャのユーロ離脱と同時にスペインの金融システムが崩壊するという「悪夢のシナリオ」(欧州メディア)も取り沙汰され始めた。18日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「スペインの苦悩は欧州の大きなリスク」と題した記事で、ギリシャに続いて「主役となるのはスペイン」という投資家の不安を伝えた。

スペインのデギンドス財務相は23日、一部国有化した大手銀行バンキアに対する90億ユーロ(約9千億円)の公的支援を表明。同行を襲う信用不安は1週間で10億ユーロ超の預金が流出するほど深刻だ。それに先立つ17日には米大手格付け会社ムーディーズが、スペインの16金融機関の格付けを一斉に1~3段階引き下げた。財政赤字に悩む政府が金融システム不安の阻止に公的資金投入を余儀なくされ、財政を一段と悪化させる悪循環に陥っている。実際、17日には、欧米の格付け会社がギリシャとともにスペインの格下げを発表。欧州債券市場ではスペインの国債利回りが上昇した。欧州ではギリシャの国債を保有する金融機関の株価が下落しているが、スペインの最大の問題は不良債権だ。住宅や再生可能エネルギー市場向けの積極融資が景気の悪化で一気に焦げ付き、スペイン中央銀行が18日に公表した金融機関の不良債権比率は3月時点で8・37%と1994年8月以降最悪となった。ユーロ圏諸国ではギリシャ離脱に備えた緊急計画が検討されている。だが、ギリシャの衝撃は吸収できても、経済規模で3倍以上のスペインで金融システムが崩壊したら…これが欧州の指導者の最大の懸念だ。「欧州覆う大きな不安-ダブル・メルトダウン」-。21日付の国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは、ギリシャとスペインの破綻が発生すると、“リーマン・ショック級の瞬間”が到来するとの見方を紹介した。欧州を覆う「恐怖」と「不信」の連鎖はとどまりそうもない。  ・・・ 平成24年5月26日(土)、産経新聞 7時55分配信より
 
 
私のコメント :  スペインによる国債発行の残高は、ユーロ圏において、イタリア、フランス、ドイツに次ぐ国債の発行をされている。日本の各関係者は、今後の市況も、注目していきたい。