台風12号の影響で、世界遺産の熊野那智大社(和歌山県那智勝浦町)をはじめ、国宝や重要文化財にも被害が生じていることが5日、分かった。熊野那智大社によると、境内にある6つある社殿のうち、「第五殿」と「八社殿」の間にある裏山が崩れて土砂が流入。高い部分では約1・5メートルまで土砂が積み上がり、流入はすべての社殿に及んだという。また、同大社の別宮で近くにある飛瀧(ひろう)神社でも、「那智の滝」にかかる大しめ縄が切断されたほか、少なくとも5本の大木が倒れた。同大社の伊藤士騎禰宜(49)は「約25年前にも同じような土砂崩れがあったらしいが、今回の被害ははるかにひどく、世界遺産の危機。1日も早い復興を望みたい」と話している。

奈良県では、吉野町の金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂(国宝)で、入母屋造(いりもやづくり)の檜皮葺屋根の頂上東側付近が台風12号による強風で破損。県教委文化財保存課によると、檜皮葺の一部が縦30センチ、横60センチにわたってはがれるなどしているという。また、同県桜井市初の長谷寺の下登廊(しものぼりろう)(重文)でも、強風で折れたスギの枝が当たり、瓦屋根の軒先の丸瓦2枚など瓦計8枚が破損した。下登廊は本堂に続く屋根付きの登廊(廊下)の一部。

滋賀県では、湖南市の善水寺の本堂(国宝)の檜皮葺屋根が強風で縦約2メートル横約3メートルにわたって吹き飛ばされ、寺が応急措置としてトタンをかぶせた。県教委によると、この屋根は今年7月の台風6号でも強風で直径約1メートルの穴が開き、修理したばかりだった。文化庁によると、このほかにも、三重県伊賀市や桑名市などの史跡や名勝での倒木、香川県高松市の旧河野家住宅(重要文化財)での土塀の一部落下などの被害が報告されているという。同庁伝統文化課は「まだ詳しい状況がわかっておらず、今後、被害が増えることが予想される」としている。  ・・・ 平成23年9月5日 産経ニュース 配信より
 
私のコメント : 文化庁より重要文化財に指定されている建造物 等も台風により甚大な被害を受けている地域がある。台風12号による強風による各被害者の人名救助と共に、各道路、建物被害についても、迅速に、温かい支援活動いかれていくことを日本国民として見守っていきたい。