被爆体験記を収集、公開している国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は、外国人来館者が母国語で体験記を読めるよう、新たに6編の被爆体験記をフランス語やポルトガル語、タイ語など10カ国語に翻訳し、今月から公開を始めた。新たに翻訳したのは、8~31歳のときに被爆した6人の男女の体験記。翻訳言語は従来の英、中国、朝鮮語に、来館者から要望の多かったフランス、スペイン、ロシア、ドイツ、ポルトガル、イタリア、タイ語の7カ国語を加えた。22歳で被爆し幼い2人の娘を失った女性の体験記には、泣きながら「ごめんね」と娘に呼びかけるなど、引き裂かれるような思いがつづられている。31歳で被爆した男性の体験記には、子供の健康への影響など、被爆による不安が、片時も頭から離れなかったことが記されている。同館は約13万編の被爆体験記や約千本の証言映像などを収蔵。これまで250編あまりの体験記を英語、中国語、朝鮮語に訳しているが、「他の言語にも対応してほしい」という要望が多く、昨秋から翻訳の拡充を進めてきた。被爆体験記はいずれも地下1階の体験記閲覧室で公開している。同館は「母国語で体験記を読むことで、被爆者がどんな思いでがれきの中を歩いたか、戦後を生きてきたかをより深く感じてほしい」と話している。・・・・・・平成22年7月19日(月) 産経新聞の配信より