引き込む力(7)・・「ドーナツ論」
幼な子は通ふごとくにひとつ咲く水仙のまへにゆきてこごみぬ
少しごたごたした感じはしますが・・・
写生のゆきとどいた魅力的な作品です。
継続的にこのブログをご覧いただいている方は
これから私が説明することのおおかたは想像できるかも知れません。
同じようなことをこれまでにも書いているからです。
幼な子を丁寧に写生しています。
登場するのは幼な子と水仙。
この歌の主題は幼な子への思いです。
そして、その眼目の思いは直接的には何も表現されていません。
河野裕子の「ドーナツ論」で言えばドーナツの穴です。
引き込む力のある作品に多く見られるスタイルです。
敢て隠しているのかも知れません。
その眼目の思いは、幼な子の動きを描くことによって、
間接的に表現されています。
「ドーナツ論」のドーナツの部分です。
間接的に抑制して表現されているからこそ
作者の心が読者に確かに伝わってくるのです。
