むき出しの針
1984年、私は小学1年生だった。
三姉妹の末娘が私の母。
母のすぐ上の次女叔母と供に、
長女叔母の家に、夏休みの1週間滞在したことがある。
大人になっても、その夏のことを度々思い出す。
それを今書きたくなった。
ヘチマのように長い形をしているわが故郷は、
同じ県内でも北と南ではかなりの距離がある。
寝台列車で数時間かけ、南のわが町から叔母の住む北の町へと向かった。
お供した次女叔母は、所謂出戻りで、
私や兄弟を実の子どものように可愛がってくれた。
長女叔母はお堅い職業の人と結婚し、
私より2つ上と4つ上の姉妹、つまり私の従姉妹と悠々自適の暮らしをしていた(私から見て)。
私の家は商売をしているので家族旅行に一度も出掛けたことはなく、
私にとって初めての旅行。
長女叔母の家は午後にティーセットでお紅茶を嗜むような家庭で、
従姉妹たちの身に付けているモノには必ずフリルやらキャラクターワッペンが付いてる。
同じ片田舎に変わりはないが、幼い私からしたら都会の女の子のように映っていた。
滞在中は外食やプールに連れて行ってもらったり、夜は祭りにも出掛けた。
祭りに出掛けた日の深夜は、体に感じる大きな地震に生まれて初めて見舞われた。
揺れている最中、叔母たちが大慌てであらゆる窓を開けて回っていたのを鮮明に覚えている。
地震によって窓が開かなくなり、外へ出れなくなるのを防ぐためだと、次の朝知った。
そうやっていろいろな経験をし、1週間はあっと言う間に過ぎた。
まだまだ小学1年生。
昼間は楽しいことが目白押しで家のことなんて何ひとつ思い出さないのに、
夜布団の中に入るとホームシックになる。
いくら叔母二人の顔が母にそっくりでも、寂しさは拭いきれない。
わが家と違う、布団の匂い。
チ、チ、チ、チ、
聞き慣れない、時計の音。
チ、チ、チ、チ
真っ暗な部屋の中、タオルケットを顔まで覆い、じっと夜を耐えた。
涙が一筋垂れたころ昼間の遊び疲れも手伝い、いつの間にか眠りにつく。
朝目覚めると布団を畳み、
床の間近くに叔母の分と共に積み上げる。それが滞在中の私の仕事。
チ、チ、チ、チ、
夜に聞いた音は、朝にはちっとも怖くない。
チ、チ、チ、チ、
床の間のフランス人形のショーケースの上に置いてある時計は、
わが家にあるようなガラスのカバーがない。
長針、短針むき出しの、これまた、都会的オシャレな時計。
私にとっては針むき出しが斬新で、
時計が気になってしょうがなくなった。
そして、この針に触れたい、動かしたい、と思った。
学校で時計を習ったばかりで、長針を動かすと、
短針までもが同時に付いてくるのかを確認したくなったのだ。
だが、動かしてしまうと正確な時刻がわからなくなってしまう。
それでもオブジェのように飾り同然の時計は、正確な時を刻んでいるようには見えない。
だから多少動かしても、どうにかごまかせるだろう。
えいっ!
「あら~、針を動かしたら、時間が変わるがね~」
あっさり次女叔母に見付かり、お咎めを受けた。
内心、私は今まで悪いことをしたことがない、初めての悪いことなんだよ、
いつもはこんなことしないんだよ、と言いたいが、
叔母は違う部屋へ時刻を確認しに行き、私の動揺は見向きもしてくれなかった。
それを機に悪いことをしたら、必ず見付かるものなのだと学んだ。
今思えばもうちょっとうまくやれていたでしょう、とは思うけれど、
あのときうまくいってなくてよかったのだ。
いろんな人たちの目にかこまれた幼少期は
幸せだったのだなと、大人になって思う。
悪いことは必ず見付かるんだよ。
三姉妹の末娘が私の母。
母のすぐ上の次女叔母と供に、
長女叔母の家に、夏休みの1週間滞在したことがある。
大人になっても、その夏のことを度々思い出す。
それを今書きたくなった。
ヘチマのように長い形をしているわが故郷は、
同じ県内でも北と南ではかなりの距離がある。
寝台列車で数時間かけ、南のわが町から叔母の住む北の町へと向かった。
お供した次女叔母は、所謂出戻りで、
私や兄弟を実の子どものように可愛がってくれた。
長女叔母はお堅い職業の人と結婚し、
私より2つ上と4つ上の姉妹、つまり私の従姉妹と悠々自適の暮らしをしていた(私から見て)。
私の家は商売をしているので家族旅行に一度も出掛けたことはなく、
私にとって初めての旅行。
長女叔母の家は午後にティーセットでお紅茶を嗜むような家庭で、
従姉妹たちの身に付けているモノには必ずフリルやらキャラクターワッペンが付いてる。
同じ片田舎に変わりはないが、幼い私からしたら都会の女の子のように映っていた。
滞在中は外食やプールに連れて行ってもらったり、夜は祭りにも出掛けた。
祭りに出掛けた日の深夜は、体に感じる大きな地震に生まれて初めて見舞われた。
揺れている最中、叔母たちが大慌てであらゆる窓を開けて回っていたのを鮮明に覚えている。
地震によって窓が開かなくなり、外へ出れなくなるのを防ぐためだと、次の朝知った。
そうやっていろいろな経験をし、1週間はあっと言う間に過ぎた。
まだまだ小学1年生。
昼間は楽しいことが目白押しで家のことなんて何ひとつ思い出さないのに、
夜布団の中に入るとホームシックになる。
いくら叔母二人の顔が母にそっくりでも、寂しさは拭いきれない。
わが家と違う、布団の匂い。
チ、チ、チ、チ、
聞き慣れない、時計の音。
チ、チ、チ、チ
真っ暗な部屋の中、タオルケットを顔まで覆い、じっと夜を耐えた。
涙が一筋垂れたころ昼間の遊び疲れも手伝い、いつの間にか眠りにつく。
朝目覚めると布団を畳み、
床の間近くに叔母の分と共に積み上げる。それが滞在中の私の仕事。
チ、チ、チ、チ、
夜に聞いた音は、朝にはちっとも怖くない。
チ、チ、チ、チ、
床の間のフランス人形のショーケースの上に置いてある時計は、
わが家にあるようなガラスのカバーがない。
長針、短針むき出しの、これまた、都会的オシャレな時計。
私にとっては針むき出しが斬新で、
時計が気になってしょうがなくなった。
そして、この針に触れたい、動かしたい、と思った。
学校で時計を習ったばかりで、長針を動かすと、
短針までもが同時に付いてくるのかを確認したくなったのだ。
だが、動かしてしまうと正確な時刻がわからなくなってしまう。
それでもオブジェのように飾り同然の時計は、正確な時を刻んでいるようには見えない。
だから多少動かしても、どうにかごまかせるだろう。
えいっ!
「あら~、針を動かしたら、時間が変わるがね~」
あっさり次女叔母に見付かり、お咎めを受けた。
内心、私は今まで悪いことをしたことがない、初めての悪いことなんだよ、
いつもはこんなことしないんだよ、と言いたいが、
叔母は違う部屋へ時刻を確認しに行き、私の動揺は見向きもしてくれなかった。
それを機に悪いことをしたら、必ず見付かるものなのだと学んだ。
今思えばもうちょっとうまくやれていたでしょう、とは思うけれど、
あのときうまくいってなくてよかったのだ。
いろんな人たちの目にかこまれた幼少期は
幸せだったのだなと、大人になって思う。
悪いことは必ず見付かるんだよ。
祝!
今日の2時23分、妹が男児出産!
2月2日だから、
もう1分早くいきんでおけばf^_^;)と欲がでるけど、
無事で何より(^○^)
どうやら、くりぃむしちゅーの上田似らしい。
うん、それでも、無事で何より( ´ ▽ ` )ノ
2月2日だから、
もう1分早くいきんでおけばf^_^;)と欲がでるけど、
無事で何より(^○^)
どうやら、くりぃむしちゅーの上田似らしい。
うん、それでも、無事で何より( ´ ▽ ` )ノ






