薬害と同じ構図 | お天気ブログ

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疑わしい断層があっても、その存在を認めない。


認めたくない電力会社側が調査するのですから、そんな捏造まがいのこともまかり通るのかもしれません。


このニュースには、問題点が的確な言葉で表現されています。


「原発の安全審査では、根拠となるデータを確認しないまま、形式的な審査が繰り返されてきた可能性が強い」


「電力会社よりも、その申請を通してしまった専門家の責任は重い」


「これでは、薬害と同じ構図だ」






運転再開」の行方:検証・柏崎刈羽原発/3 活断層の過小評価 /新潟
◇責任の所在、闇の中

 「原発の安全審査では、根拠となるデータを確認しないまま、形式的な審査が繰り返されてきた可能性が強い」

 先月27日、中越沖地震を受け、安全審査の手法の見直しのために原子力安全委員会が設置した「安全審査の手引き検討委員会」。電力会社の活断層の評価手法を批判してきた広島工業大の中田高教授(地形学)が、中国電力島根原発の例を引きながら訴えた。

 中越沖地震で想定を超える揺れが発生したことが、過去の原発の安全審査への批判を呼び起こしている。震源断層とみられる「F-B断層」が、東電の設置許可申請書では「活動性はない」と評価され、国の安全審査でも見落とされていたからだ。

 東電と国の言い分はこうだ。原発の建設が始まった約30年前の活断層の知識では、地表近くまで明瞭(めいりょう)に断面を見せない活断層は認識できなかった--。「当時は当時の知見の範囲で最善を尽くした」。27日の東電の会見でも柏崎刈羽原発の寺沢徹哉広報部長はそう強調した。

 こうした主張に対し、中田教授や東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)らは、地震直後から「地表近くに切れ目がなくても、地層の変形から申請時の調査で容易に認識できたはず」と異論を唱えてきた。渡辺教授は言い切る。

 「電力会社よりも、その申請を通してしまった専門家の責任は重い」

 原発の設置許可申請は、国の設置する原子炉安全専門審査会で審査を経て承認される仕組みになっている。審査会のメンバーには活断層の専門家である地質学者も含まれる。

 審査会の場で何があったのか。関係者の口は重い。「明瞭に地層が切れていなかったのだろう」。今月初め、柏崎刈羽原発の安全審査に携わった学者の一人は、人ごとのように答えた。さらに「当時の判断基準に従って答えただけ。『後出し』で批判されるのはいかがなものか」と渡辺教授らを批判した。両者の主張は平行線のままだ。

 「とにかく『原子炉を造るんだ』という雰囲気。審査で問題を指摘しても、申請を取り消す感じではなかった」。国の安全審査の様子をそう証言するのは、松田時彦東大名誉教授だ。

 原子炉安全専門審査会のメンバーとして、柏崎刈羽原発1号機の安全審査に加わったが、長岡平野西縁断層帯が連動する危険性を指摘したにもかかわらず認められなかったため、任期途中で辞任を申し出た。松田名誉教授は「名前を利用されているだけ、と感じた」と振り返る。

 中越沖地震で「想定外」の揺れが来て、東電は活断層評価の考え方を改めた。全国の原発でも耐震指針の改訂を受け、活断層の見直しが進んでいる。だが、繰り返されてきた活断層の過小評価の責任を認める人は誰もいない。「これでは、薬害と同じ構図だ」。渡辺教授は、そう吐き捨てた。=つづく


毎日新聞 2008年3月29日 地方版

http://mainichi.jp/area/niigata/news/20080329ddlk15040006000c.html


巨大地震の可能性 建設時は想定せず--東電調査


東京電力は27日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)周辺の地質調査の報告書を発表した。原発東側の三つの活断層が連動してマグニチュード(M)8級の巨大地震が起こる可能性が判明。東電は原発建設時は連動を否定し、M6・9しか想定していなかった。中越沖地震の震源断層の可能性が指摘される「F-B断層」も、従来より約10キロ長い最大30キロと結論。重大な過小評価で、今後の原発の耐震安全性評価に大きく影響しそうだ。

 東電は昨秋から、国の新しい原発の耐震指針に基づき、同原発の耐震性を再検討するため、周辺の詳細な地質調査を実施した。その結果、原発から最短で約20キロ東をほぼ南北に延びる角田・弥彦断層(54キロ)、気比ノ宮断層(22キロ)、片貝断層(16キロ)が連動し、M8・1程度の地震が起こる可能性があることが判明した。建設時の想定では、3断層連動の可能性を認めず、気比ノ宮断層(建設時の評価では17・5キロ)によるM6・9の地震が最大だと考えていた。また、F-B断層についても海底地形などを考慮すると最大で30キロになることが判明。東電は、03年当時の評価(長さ約20キロ)が過小評価であったことを認めた。

 東電広報部は「地下構造などから、3断層は別々に動くと考えていた。今も基本的な認識は変わらないが、連動の可能性も否定できない。今回の結果に基づき、原発の耐震性を慎重に評価していきたい」と説明している。【河内敏康】

毎日新聞 2008年3月28日 東京朝刊

http://mainichi.jp/life/ecology/select/news/20080328ddm012040105000c.html