両親も、エサを買って来てくれたり…フンの後始末を手伝ってくれたり~協力的だった。
やがて、徐々に体が白身を帯びて~立派な『ニワトリ』へと成長していく。
トサカも生えてきて、大人としての凛々しい姿になっていった。
「コケコッコー」と…毎朝、気持ちの良い鳴き声で~16くんを起こしてくれる。
私は、大変な世話をしながらも~そんな二羽との生活が…楽しくて仕方がなかった。
ピーターとピー子は~どんどんと成長し、丸々と太っていく。
鳴き声も…半端なく、でかくなっていった。
そんな時~父からの呼び出し…
「16、ちょっと話しよか~」
私は…身構える。
「よく聞いてほしいんやけど~16は、ピーターとピー子のことを…どう考えてる?」
「そりゃあ、このまま一緒に暮らしていきたいと思ってるで~」と、私。
「でもなぁ~ここまで大きくなった二羽を、このままにはしとけへんねん…」
「お前が“心地よい”と感じてる朝の鳴き声は、近所迷惑になってるかもしれへんし~実は、匂いもかなりの範囲に広がってる…」
「何よりも…ピーターとピー子には“命”がある!」
「飼ってるものの責任として~その命は、最後まで看取ってやるか…命を繋ぐために、食べてやる必要があるんだよ」
「その覚悟があるなら、お父さんは~何も言わず…これまで通り、協力してやるよ!」
~その父の言葉を聞いて、しばらくはボーッとしていたが…もう一度、自分の中で~反芻してみる。
『生命の誕生』という感動を体験し、その勢いのまま~自分でもやってみたいと行動に移し、またまた成功したために満足していた…
そんな自分の姿が…次第に浮き彫りとなってきた。
それは、入口だけのことを考え~出口のことをそれ程考えてなかった“自己満足”している自分の姿ではなかったか…ということ。
ニワトリにとって、『本当の幸せ』を考えていたのか…ということ。
安易だった自分の姿を振り返り~16くんは、決意する。
それは、愛おしいピーターとピー子との別れ。
その朝~父は、ダンボールに二羽を入れて…単車の荷台に積み、有精卵を提供してくれた人の元へ走り去っていった。
その背中を涙目で見送りながら、16くんは~改めて…『生命の意味』と『真の学問の意義』を自ら問い直していたのだった!