「インドにはチャンドラボースという偉い奴がおってなぁ。日本はそいつと手を組んで、イギリスに支配されていたインドを解放しようとしてたんや~もうちょっとやったんやけどなぁ…。」

そのようなことを滔々と語っていたおじちゃんの姿を、ついこの間のように思い出す。

日本の小さな小さな村で生まれ、そのまま生活が続いていたなら周辺の野山の中でくらいの枠でしか考えなかったはずのおじちゃんが、自分のことのようにして世界を語るようになっていたのである。~戦争とは、様々な意味ですごい。

日本の占領地の拡大と共に、おじちゃんは上海からビルマへ。

ビルマでも、憲兵として、スパイや便衣兵の捜索をしていたとのこと。現地の人たちは、そんな憲兵のことを敬い且つ恐れていた。

そして…、その日は突然やってくる。

~日本敗戦。

その日を境に偉そうにしていた憲兵とそれを畏れていた現地の人々の立場は、一気に逆転。

おじちゃんも含めて地位のあった軍人は、全て戦犯として捕らえられ収監された。

ほどなく、連合軍による裁判(とまでも言えない簡単なもの)を経て、次々と”処分”が行われていった。そのほとんどが死刑。

おじちゃんの上官も同僚も、収監先から刑場へと一人また一人と連れ出されていった。

もちろん、おじちゃんも(日本から遠く遠く離れた)ビルマの地での死を覚悟したのである。