正月と言えばこれまで、1に餅、2にお屠蘇、3に大学箱根駅伝であったのだがたまたまウィーンフィルのニューイヤーコンサートをテレビで見た。聴いたことがあるリズムやメロディーが耳に入ってきたので最後まで聴いてしまった。その夜はなんとなく豊かな正月気分になった。若い指揮者のF.ヴェルザー・メストが演奏中奏者に籠いっぱいに用意していたぬいぐるみを配って笑わせたり、非常に和らいだ雰囲気が出ていて好感が持てた。テンポのよい「軽騎兵」やアンコールで「ラデツキー行進曲」と「美しき青きドナウ」が演奏されるなど小生のような中学生並みのレベルの者にもクラシック音楽を久しぶりに思い出させてくれた。ワルツやポルカのリズムなら爺でもノリノリだよ。演奏会場は色とりどりのバラの花やストック、マーガレットなどで飾られて華やかでしたが、おそらく場内は花の香りでいっぱいだったのではないでしょうか。[花飾り覚え書き]といものがあるそうで、花飾り用の花3万本はヨーロッパの2大産地の一つ、イタリアの花の大集散地・サンレモの花業者から毎年無償で提供されるとか、②鉢物500~1000鉢はオーストリア国内から集められるとか、とにかく凄い。客席は立ち見も含めておよそ2000くらいだろうか。着物の女性もちらほら見え、花飾り作業のスタッフやバレエのダンサーなど、結構日本人も参加していることを知った。ジュリーアンドリュースもチラツと映っていたようだ。コンサートメンバーは暇なので数えてみたら約70人、女性奏者は3人を確認できた。ちなみに入場チケットは世界一入手困難で20万円以上とか。ニャロメ!
 花札にも萩があることを思い出す。萩が描かれている札は有名な「猪鹿蝶」( 写真右)の猪と萩であり、ほかに赤短冊、カス札がある。山口県に萩市があるが花の萩とは全然関係なく「つばき」から「はぎ」と転訛したらしい。同市の市花は椿である。ついでだが主に秋の彼岸に食べる「おはぎ」は、小豆の粒あんをまぶした姿をみるとは確かに萩の色だ。春の彼岸に供される「ぼたもち」と同義語だが春咲く牡丹にちなんで「ぼたんもち」→「ぼたもち」というとか。私たちはおはぎなどと気取った表現はほとんどしない。須賀川を地元とする者にとっては春も秋も「ぼたもち」がいい(須賀川牡丹園)。「棚からぼたもち」のことわざにある通り「思いがけない幸運」という意味もある。「夜船」(夏)「北窓」(冬)という異名も風情がある。ぼたもちは臼でついたものではないことから、いつ着いたかわからない→「夜船」。月知らず→月が見えないのは「北窓」。「夜船を食ってみてぃー」などと言ったらぶん殴られそうだ。
「萩」と言えば思い出すのは毛越寺の萩だ。何年か前だが9月の祭日を利用してたまたま訪れた毛越寺浄土庭園のほとりは淡紅紫色の萩の花で染まり美しい趣を醸しだしていた。秋の七草の一つ萩の花は決して派手ではないという印象がある。万葉集で謳われた花で桜や梅の花より一番多いのはなんと萩の花。その時代紫色が好まれた色だからだという。「萩」という字は草かんむりに秋という組み合わせのとおり秋を代表する花だからかも知れないとも。萩は日本全国に分布しているようだが、さて福島県ではあまり聞かない。福島空港公園に咲いているというが見たことはない。そもそも萩の種類には「ミヤギノハギ」「ヤマハギ」などがあり仙台は萩の名所とされている。ちなみに県花が「ミヤギノハギ」であり仙台市の「市花」は「ハギ」である。だから仙台には萩祭りがある。そう言えば「萩の月」という銘菓もある。向島百花園に萩のトンネルがあるそうな。一度は見てみたいものだ。