被災地に行ってきました① | 豊島圭介「とりあえず急いで口で吸え!」

豊島圭介「とりあえず急いで口で吸え!」

映画監督 豊島圭介のブログ

先日の25日(土)26日(日)に岩手県の被災地にボランティア活動に行ってきました。同行者は『Re;mind』のプロデューサー深津さんと出演しているパキスタン人俳優のアハマド・シブリくん。かなり妙な取り合わせの三人組で、ボランティア精神とは程遠いぼく(ら)がなぜ東北まで行ったのか。

3月11日に東日本大震災が起きた時、僕たちは「マジすか学園2」の撮影の真っ最中、しかもまだ第一話の撮影をしてました。それから撮影と仕上げの激務は続き、自分の担当回が完全終了したのが6月6日。その間、地震のこと原発事故のこと放射能のこと復興のこと、気になってはいたものの多くの時間を割いて向かい合うということができませんでした。

あの震災で切実なものとしてつきつけられたことが二つあって、ひとつは「僕は、明日死ぬかもしれない」という切実な感覚と「国は国がウソをつくということを自分から認めた」という事実です。そして東京すら放射能に汚染されていて、子供がどんどん被曝していくのに右往左往するだけで具体的な行動に出られない、あるいは分かっているのに出ようとしないという現実があります。すべては大地震に起因することです。このざわざわする気持ちの原因となった日本の傷をこの目で見ておきたいなあというのが、今回の旅の最大のというか唯一の動機でした。

旅行会社が組んだボランティア弾丸ツアーというのが流行しているようです。一日のボランティアと観光まで組み合わせてあるというツアーですが、僕はその感じを下品だとか否定しません。自分もそういった物見遊山な気分満載だったからです。実際行ってみてどうだったか。やはり震災直後の混乱はとうに整理されていたとはいえ、やはり衝撃的な風景が目の前に広がりました。感じたのは、津波被害にあった人たちの「恐怖感」、家を失ったことの「絶望感」、津波被害エリアのあまりの広さから感じた自然災害のパワーの恐ろしさといったところでした。