日本ではあまり報道されていませんが、海外メディアは中国の「トラもハエも叩く」と厳しく汚職追放宣言をした習近平主席の言葉の実行と、その後の進展を世界に向けて継続的に報道しています。

中国版ツイッター微博〔ウエイボー〕の記述より。
2014年10月21日 中国外交部の華春宝報道官は定例記者会見で「中国政府は汚職対策と国外逃亡犯の逮捕・不法取得財産没収の取組みを重視している。オーストラリアを含む関係国と逃亡犯逮捕・不法取得資産の没収と返還の合意を得て、活動を展開している。全ての汚職を取締り、汚職に手を染めたものは天地の涯まで追求し法の捌きをうけさせる」と語った。

その後の記述で:
中国はこれまでに既に世界の63カ国と二国間司法協力条約を締結しているが、その中のひとつ、オーストラリアには既に160名以上の逃亡犯のリストが中国政府から手渡されていて、数名の大物を含む逃亡犯の逮捕・不法取得財産の没収と返還が、間もなく実行に移されるだろう。

一昨年6月、習主席は非公式にアメリカ訪問をしています。オバマ大統領はワシントンを避けてカリフォルニアの保養地サニーランドに習主席を迎えています。このとき、二人は8時間にも及ぶ異例の長時間会談を行っています。昨年の11月に北京で行われたAPECの総会(日本から安倍総理も出席した)終了後、今度は習主席がオバマ大統領を故宮の傍らの中南海(中国首脳たちの居住区)に招待して都合10時間に及ぶ話し合いをしています。最初は二人きりで(それぞれの通訳のみ同伴して)5時間弱の会談をしています。11月11日午後18時から、旧皇帝の庭(公園)を散策し、その後迎賓館の一室で(よもやま話)を楽しんだそうですが、それは予定時間を大幅に延長して23時まで続いたそうです。勿論、よもやま話の主題がAPECの延長のはずはなく、習近平主席の希望による内密の相談事ではなかったか、と推測されているそうです。

このことを伝えているのは中国民主化研究所という民間の機関で、それによると、オバマ大統領は中国政治の未来について先のカリフォルニア会談で習主席からブリーフィングを受けていて、その続きを北京で語りあったものと憶測しているそうです。カリフォルニアでの話は中国の深刻な現状を伝えるもので、中央から地方の末端に至る(汚職)の実体を、その巨額な収賄金額が国の行政を阻害し財政をも危機にさらし、さらに民衆の不満が限界に達している、といった話だったはずで、オバマ大統領がこれ程時間を割いて語り合ったのは(習近平主席の改革)の相談に他ならず、なんらかの協力要請であったはずと言っています。「トラもハエも叩く」と手厳しい発言はしたものの、ことの難しさは予想の他で、その説明と、それを成就させるためには、アメリカの同意と(見守り)が必要だと協力を要請した(のではないか)とのことです。

習主席が旧皇帝の庭園にオバマ大統領を誘って散策したことには意味があり、それは何代か前の皇帝に仕えた宰相が今と類似した政治状況に直面し、改革を迫られていて、その庭園で懊悩した故事があるそうで、その話から中国独特の官僚汚職と越権の実態説明に入ったものと思われるのだそうです。官僚汚職から宮廷内の権力争いになり、国が分裂した逸話は歴史の中にいくつかあり、清朝の末期にもあり、そのような話をしたのではないかと思われるのだそうです。それは習主席が好んで話す歴史的逸話のひとつだからだそうです。「トラもハエも叩く」行動には、世界の大国アメリカの暗黙の同意が必要と考え、そのための根回しだったのでしょうか。汚職追求の過程で、内部闘争は避けがたく軍と癒着したトラ(中央官僚)が反乱を起こし、国を分裂させる惧れも考えられることだったのかも知れません。

共産党の軍隊(国の軍隊ではない)は7軍区に分かれていてそれぞれが独立した組織で他軍区と横の連絡は禁じられているということです。それは反乱を防ぐためで、仮に1-2の軍区が反乱を起こしても他の軍区を鎮圧に差し向けることが出来る仕組みになっていて、今回はそれが裏目に出て、共産党最高幹部の中の対立組がいずれかの軍区と癒着している可能性もあり、疑心暗鬼になっているらしいのです。オバマ大統領に話したのはそのトラの動向を抑える協力要請もあったかも知れないということでした。

その昔、清朝末期に軍隊が分裂、軍閥化して互いに争い、外国の侵略に口実を与えた歴史があり、その同じ混乱を今のアメリカが望むはずはなく、オバマ大統領が協力要請に応じたのは間違いないところで、それは会談終了後の二人の親しげな表情からも読み取れた、ということでした。

一方、中国の一般国民も、今の中国社会の腐敗、不平等と官僚汚職、それとコネ社会には救いがたいものを感じていて、特に若者は将来に希望がなく、いま現在暗澹とした世相だといいます。それが表面化しつつあり、様々なメディアで革命・改革・刷新という激しい言葉が飛び交って(反腐敗)に向けて意識が形成されかけていて、大衆騒乱(デモや抗議運動)も起こりかねない空気が醸成されつつあったと言われています。

しかし、若者達のネット・メディアのカリスマ、韓寒(ハンハン)は冷めた言葉で中国の政治の現状を話し、その言葉に若者達の行動は左右されたのか、実際には、まだどのような抗議運動も起こっていないとのことです。韓寒の、その意見の一端をここに紹介したいと思います。中国の若者達が今政治に何を望んでいるのか、多少とも窺い知ることができるかも知れません。

(質問:革命はあるか)
革命には要求が必要だ。要求というのは「反腐敗」から始まることが多い、でもこの要求は長く続かないんだ。「自由・公正」と叫んでも、空回りさ。文学者やメディア関係者以外の人々、例えば上海で路を歩いている人に「あなたは自由ですか?」ってきいてみたら「自由ですよ」と答えるよ。「公正が必要ですか」って訊いたら、自分が不公正の犠牲になっていない限り「今のままでいい」って答えるだろうね、中国人なら自分が不自由と不公正の犠牲者でなければ、それでいいってわけ。つまり、中国では皆が一致できる要求を見つけ出すのは難しいんだ。だから革命なんて出来ないんだ、またそんなものは不必要だと思っている。しかし「今の中国に改革は必要か」と聞かれたら、答えはイエスだね。そう、とびっきり強力な大幅改革が必要だ。

(なぜ革命を起こさないかって?)
おれが? 冗談はやめてよ。仮に上海で革命の烽火をあげたとする、政府はただちにネットと携帯電話を遮断する、すると何が起きると思う、いまどき政府は鎮圧部隊を出したりはしない、ネットを切るのさ。ネットが切られると民衆は政府にではなく革命派に怒りをぶっつける、チャットやゲームが出来ず、好きなドラマも見られなくなる、怒れる民衆にぼく達はアッという間に殲滅される。(香港のデモ学生達の道路占拠を止めさせたのは、最終的に商売の邪魔、交通の邪魔と怒った民衆。韓寒の予見したようになっている)

(中国に民主主義と自由は不要というのですか?)
それは誤解ってものだ。文化人はだいたい民主主義と自由を一緒くたにするけど、中国人にとって民主(選挙による政治)の結果は往々にして不自由になるのだ。民度の低い選挙民に選ばれる政治家達は時間が経つとたちまち民衆の不満の的になる、もっと強力な政治を期待しカリスマを求める、その結果は、第二の毛沢東の出現になるだけさ。民主主義には一定の民度が必要なのさ。(日本も耳が痛い)

自由について言うと、ほとんどの中国人の自由とは公共道徳からの自由なんだ、大騒ぎする自由、道路を勝手に横断する自由、タンやツバを吐く自由ってわけ。コネや金のある連中にとっての自由は、ルールを破る自由、人に酷い事をする自由。民主主義は社会を進歩させて文化の自由なんかもあるけど、今の中国人が先進国にいくと案外不自由で居心地が悪いっていうじゃない。民度が合ってないんだ。

(中国の現状は深刻で、改革より革命が必要だと思いますが)
さっきも言ったように出足で潰されるだけだけさ、仮に政府が寛大で革命の進行を許したとしよう、革命が成功に近つくと、一緒に革命を起こした大学生、一般大衆、エリート、農民、労働者、それぞれが自己主張を始める、共通認識なんてあるわけないからね、革命が中期に入ると闘争が始まり、結果、新しい指導者が生まれる。革命には必ず指導者が生まれるんだ。それはまた独断専制の冷酷非道なカリスマで第二のなんとかさ。

さしあたり期待するのは汚職に比較的遠くにいる政権中枢の誰かによる改革だろうね、今の中国を救うのは。中国全土に貧困層がだいたい2億5000万人いるのだが、誰も気が付いていないのかね、かれらはネットをしないからね。中国社会は悪人が成功し善人が失敗することに慣れてしまった。

君達が理想とする指導者は一週間ともたないよ、知的水準が高い人ほど専制や独裁政治の幹部にはならないからね、最初に革命から離れていくだろうね。エリートもすべて消える、すると革命の構成が一変するのさ。最初の品のあるスローガンは消えて、強欲と私欲が牽引する革命になるのさ。

ぼくは革命が怖いね、iphonを持っているキミ、ネットをやって新聞を読んで時々ケンタッキーを食べる君は、革命という洪水のなかでは金持ち、ブルジュアで原罪を背負った革命の敵にされるのだ。革命は最悪のシナリオだよ。

それに革命はひどく時間が掛かるんだ。清朝末期に経験済みだ。中国ほど巨大な国家になれば、天下大乱、軍閥割拠、中央権力の真空状態になり外国の侵略もあり得る。5年10年と続けば鉄腕指導者を望む空気になるね、社会秩序と安定を取り戻す欲求がおのずと起こるからね、するとまた第二のなんとかさ。そしてまた、皆で人民日報を読んで暮らす羽目になるのさ。
その上、中国には革命で打倒すべき偉大な個人がいない。街も国も人口もむちゃくちゃ多いが有象無象ばかりだ。おまけにわけの判らない災難が山ほど毎日起きていて、Gスポットはもうマヒしている。革命による情熱の爆発なんて起きないんだよ。馬鹿げた話さ。言いたいのは、大部分の中国人は他人の生き死にには無関心で、自分のことになるとぎゃあぎゃあ喚く悪習があり、だから団結なんてムリ無理。

現在の中国は世界中で最も革命が起こりえない国だよね。同時に世界で最も改革が必要な国でもあるんだけど。道行く車が対向車とすれ違うときハイビームをオフに出来るほど(マナーが)進歩したら革命も可能かも知れないけど、そうなったら、革命そのものが必要なくなるがね。

今の中国人には民度がないし、拝金主義が蔓延している。公共道徳心もないし他人の不幸にも関心がない。こんなんで革命したら、もう一回、毛沢東の誕生となるだけだ。
       *         *         *         *