先日、祖父から聞かせてもらった話について書きました。(犬鳴峠の名前にまつわるお話)↓
の続きです。
お姫様の犬を呼ぶ声に反応して、お姫様に近寄るものがありました。
お姫様がハッとして振り返ると、そこには1人の猟師と思われる格好をした男の人が立っていました。
「あなたは‥」
お姫様には、その男の人に見覚えがありました。
お姫様の館で武士として働いていたけれど、追い出されてしまった男の人です。
「無事だったのですね‥!本当に良かった!!」
お姫様と、その武士とひしと抱き合い互いの無事を喜び合いました。
なぜなら、その武士が追い出されてしまったわけは、お姫様と身分違いの恋に落ちてしまったからなのです。
武士は言います。
「あなたのお父上から知らせを受けて、あなたの事を探していたのです。」
「父上は無事なのですか!?」
「わかりません‥。ただ、いざとなったら娘を頼むと、文を預かりました。」
武士が大事そうに懐から取り出した文には、武士に対する謝罪と、お姫様の事を案ずる内容が書いてありました。日付は、お姫様が館から家来を伴って脱出する前のものです。
お姫様はお父上の深い愛情を感じて、思わず涙ぐみました。
そんなお姫様の肩を抱きながら、武士は言いました。
「お父上の気持ちを無駄にしないためにも、あなたは生きのびなけれなりません。追手が来る前に、山を越えましょう。この山を越えた先に、私の暮らす村があります。一先ずそこへ向かうのです」
お姫様は武士の言葉に深く頷きました。
武士はお姫様に自分の首に巻いていた手ぬぐいを差し出すと、それをかぶるようにと言いました。
それから、重い打ち掛けの着物を脱がせると、手にしていた小刀で引き裂き、
すぐそばを流れていた川に投げ捨てました。
「こうすれば、あなたは死んだものと思われるでしょう」
そう言われて、お姫様は心配になりました。
「白が私の事を探しているの。間違えたりしないでしょうか‥?」
「あの白い犬の事ですね。大丈夫、あの子は賢い子です。でも、そうですね。心配ならば、こうして匂いをつけておきましょう。」
そう言って、武士が木の幹に手を擦り付けるようにしたので、お姫様もそれにならってそうしました。
お姫様と武士は互いに助け合いながら、山を進んで行きました。
後もう少しで麓の村につく。
と言う時でした。
「見つけたぞ!!」
敵兵の残党数人がお姫様と武士を囲みました。
武士は刀で必死に応戦しますが、多勢に無勢で、あと数人と言うところで追い詰められてしまいました。
「姫共々、あの世に送ってやるわ!」
敵兵がお姫様たちに刀を振り上げた時でした。
白い弾丸のように、犬が飛び込んできたのです。
白い犬は素早い動きで、敵兵の喉笛に次々に噛みつき、それに好機を得た武士が刀を振り上げて戦いました。
見事白い犬と武士との協力で、敵兵をやっつけることができたお姫様たちは、ほっと胸を撫で下ろしました。
「お前、よく来てくれたわね‥!本当にありがとう‥!!」
お姫様は涙を流しながら白い犬を抱きしめます。
お姫様が流す涙は、もう悲しみの涙ではありませんでした。
武士と白い犬と再会でき、窮地を脱する事のできた喜びの涙です。
白い犬はそんなお姫様の涙を拭いながら、誇らしげに一声鳴いたのでした。
その後、武士とお姫様と白い犬は、戦いも家も関係のない自然に恵まれた土地で、三人で助け合いながら、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし めでたし
ここまで読んでくださってありがとうございました
悲しい終わり方もそれはそれで胸に響くものがありますが、やはり、物語、最後はハッピーエンドなのが私は好きです
終わりよければ全て良し!!
その間にどんな事があろうとも、この物語のように、あなたの意志でハッピーエンドに変えていくことができると思います
今日も自分の選ぶ道を信じて、素敵な一日をお過ごしください