昔々あるところに、ある偉いお武家さんのお姫様がおりました。(平家のお姫様?)
そのお姫様が生まれたばかりの時に、お姫様のお父上は、どこからか真っ白い子犬を連れてきたので、
お姫様と白い犬は実の兄妹のように仲良く、育ちました。
白い犬はとても賢く、お姫様がどこへ行く時も一緒で、まるでお姫様を守るようにどんな時でも付き従い、そばについて歩くのでした。
そんなある日の事です。
お姫様のお父上と、敵の武家の争いが激しくなりました。
いよいよ負けてしまうと言うところまで追い詰められてしまった時、
お姫様のお父上は、お姫様に数人の家来をつけて、逃がす事にしました。
「この命に換えても姫様をお守りいたします!」
数人の武士と共に、白い犬も同じ気持ちで、お姫様を守りながら山中へと逃げる最中。
敵兵に撃たれて、武士は1人、また1人と亡くなっていきました。
そして、とうとう残されたのはお姫様と白い犬だけになってしまいました。
お姫様はなんとか、山中にある洞窟の中に辿り着き、
その岩に身体を横たえます。
白い犬は、お姫様に寄り添うと、お姫様の涙を拭いながら一声鳴きました。
お姫様がそんな白い犬に話しかけます。
「ありがとう。お前はいつも私のそばにいてくれたわね。でも、ここにいると、お前まで敵兵に命を奪われてしまうわ。私のことは放っておいて、お前だけでもお逃げ。お前だけなら、この山で生きてく方法もあるでしょう。」
それでも白い犬は絶対にお姫様の元を離れようとしませんでした。
それどころか、疲れて眠ってしまったお姫様のために、お姫様の食べれそうな山菜や、木の実をせっせと運んできます。
真っ白で美しい毛並みを持っていた犬は、日に日に泥に汚れ、
時には怪我をして血を流して帰ってくる事もありました。
その可哀想な様子に、お姫様は心を痛めて涙を流します。
「私のために‥。こんなにまでなって‥。」
痛々しい白い犬の様子を見て、お姫様はとうとう決意しました。
「今日まで、我が家が敵に打ち勝つ事を信じて生きてきたけれど‥。この様子ではきっと助けは来ない。このままではじきに敵が現れて、私をみつけることでしょう。そうなる前に、私は命を絶とう。そうすれば、大切なこの子の命だけは長らえる」
そう言い、お姫様は白い犬が食べ物を探しに出かけているうちに、崖の方へと歩き出しました。
そうして、自ら崖の上から身を投げてしまったのです。
食べ物を持って帰ってきた白い犬は、窟の中にお姫様の姿がない事に気づきました。
慌てて辺りを探しに駆け出しますが、いくら呼んでも、探してもお姫様の姿は見つかりません。
悲しい、白い犬の鳴き声が、山中にいつまでも響き続けました。
白い犬はずっとずっと悲しい声で鳴いてお姫様を探し続けました。
そうしてこの場所は犬鳴峠と呼ばれるようになったのです‥。
という、涙が止まらない悲しいお話でした
お姫様も白い犬もお互いを大切に思いやってこその、この最後が悲しすぎる
お話の真偽は定かではありませんが、幼心にこの結末は納得がいかず、私はこの後のお姫様と犬の物語を勝手に作り出しました。
もちろん、結末はめでたしめでたしに繋がります。
このままでは、悲しすぎる
と思われた方、もう少しお付き合いください
長くなりましたので、今日はそのお話の冒頭だけ。
お姫様は崖から飛び降り身を投げはしましたが、長い着物が木に引っかかり、一命を取りとめました。
遠くで、白い犬が悲しい声でずっと鳴いているのが聞こえます。
その声を聞いて初めて、お姫様は自分がやろうとしていた事が間違っていた事に気付きました。
今までどんな時でも付き従ってくれた白い犬です。
自分が死んでしまったとしても、決してこの場を離れようとはしないでしょう。
それに気づいたお姫様は、気をつけながら木からゆっくりと降り、白い犬に向かって呼びかけました。
「泣かないで!私はここよ!大丈夫だからー!」
お姫様の声が児玉すると、白い犬はピタリと鳴くのをやめて、声がする方に駆け出しました。
一方、崖下に居るお姫様の声は山中に響き渡ったので、その声に反応して、お姫様に近づくものがありました‥。
気になるところでつづく‥。
今日もここまで読んでくださり、ありがとうございました
どうぞ今日も皆さま健やかで楽しい一日をお過ごしください