AFP BBニュースより
妊娠中の鎮痛剤服用、男児の生殖障害リスク上昇か デンマーク研究
妊娠中に市販の鎮痛剤を飲むと、男の子が生まれた場合に生殖障害を持つ可能性があり、そのリスクは環境ホルモンにさらされた場合よりも高いとする研究結果が9日、欧州の医学誌「Human Reproduction(ヒトの生殖)」に発表された。
デンマークのコペンハーゲン大学病院(Rigshospitalet)のヘンリック・レファーズ(Henrik Leffers)氏率いる研究チームは、妊娠中のデンマーク女性834人とフィンランド女性1463人に対して行われた健康と薬の使用に関する聞き取り調査のデータを分析した。
フィンランドのグループでは統計的に目立ったところはなかったが、デンマークのグループでは特筆すべき2つの傾向が見られた。
妊娠中、アスピリンやパラセタモールなどの鎮痛剤を2錠以上服用した女性では、停留睾丸の男児が生まれるリスクが7倍高くなっていた。また、妊娠第2期(13~24週)に鎮痛剤を服用した女性では、停留睾丸の男児が生まれるリスクが2倍高くなっていた。
停留睾丸は、精液の生成に障害が出たり、後年の精巣がんの危険因子となる。
デンマークにおける停留睾丸の症例は、フィンランドの約4倍で、1960~2001年にかけて5倍も増加した。これは、デンマークの成人男性のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)が過去50年間で悪化したという報告内容に整合する。
フランスでは、妊娠中の母体への鎮痛剤使用と生まれてくる子どもの生殖障害の関連性を確かめるため、マウスを使った実験が行われた。
その結果、パラセタモールを摂取した母親マウスでは、子宮内のテストステロンレベルが減少し、生まれてきた子どもマウスの肛門と生殖器が近接していた。これは、成体になった時に生殖異常が発生する可能性を示す主な指標のひとつである。
レファーズ氏によると、さらなる調査が必要ではあるが、鎮痛剤の服用は1回で、フタル酸類などホルモンかく乱物質よりも多くの環境ホルモンを胎児に浴びせかけている。
そのため、妊娠中の鎮痛剤の服用はできるだけ避け、医師の判断を仰ぐべきだと、同氏はアドバイスしている。
NEXT⇒16.妊婦の風邪