高濃度汚染水100トン漏れ タンク弁開きっぱなし

2014年2月20日 夕刊

 東京電力は二十日、福島第一原発で原子炉を冷却した後の水を貯蔵するボルト締め型タンクの上部から約百トンの処理水が漏れ、周辺敷地に流れ出したと発表した。処理水には一リットル当たり二億ベクレル超と超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれていた。閉まっているはずのタンクの弁が開きっぱなしになっており、誤って水を入れすぎたのが原因とみられる。


 高濃度の処理水漏れ事故は、昨年四月に止水性能が劣る地下貯水池(漏れ量は不明)で発生。さらに八月にタンク底板の接ぎ目の止水材がずれて三百トン、十月にはタンクが傾いているのに水を入れすぎて〇・四トンが漏れた。


 東電によると、十九日午後十一時二十五分ごろ、巡回中だった下請け企業の作業員が4号機の西側にあるタンク群の一基で、天板の接ぎ目付近から水漏れしているのを見つけた。


 発見の九時間半ほど前には、タンクの水位計がほぼ満水を知らせる警報を発していた。


 この時点ではタンク周辺に水漏れなどの異常は見つからなかったため、東電は現場で実際の水位を確認しないまま水位計の故障と判断し、特段の対策は取らなかったという。


 しかし、実際にはタンクに取り付けられた処理水を受け入れるための二つの弁が開きっぱなしになっており、水位はさらに上昇し、遅くとも深夜には処理水があふれ出すレベルに達していた。


 タンク群の周囲には、コンクリート製の堰(せき)があり、処理水は食い止められるはずだった。しかし、タンクには、天板に降った雨を堰の外に直接排出する雨どいが取り付けられており、これが裏目となって処理水が敷地へ大量漏出した。東電は「近くには排水溝がなく、海への流出はないと考えている」と強調している。