アベノミクスと日本郵政の株式上場どちらもグローバル感覚が欠如しているぞ!

【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】

グローバル感覚が欠如した安倍政権

2014年2月7日 ゲンダイネット掲載

日米がつくり出した不安定な経済


 日本株が下降線をたどっている。6日の日経平均の終値は、昨年の大納会から2000円以上も低い水準。一昨年の大納会から昨年の大納会までの1年間で、株価は6000円近く上昇した。その後の1カ月で、3分の1が吹っ飛んでしまった格好だ。事態はかなり深刻である。

 菅官房長官は会見で、「経済指標はすべて改善しており、先行きもしっかりしている」と平静を装ったそうだ。サラリーマンの賃金は増えていないし、設備投資や個人消費も低空飛行を続けている。「すべて改善」は言い過ぎだろうが、仮に菅長官の言う通りだったとしても、グローバル経済は一触即発の状況だ。それを踏まえれば、株式投資の冷え込みは当然である。国内の動きだけをウオッチしていても、正しい判断はできないのだ。

 米国は7日、債務上限引き上げの期限を迎える。8日以降は、16兆7000億ドルの上限を超える借り入れができない。昨年10月は、米国債がデフォルトする寸前に2月7日までの上限引き上げで合意した。はたして今回はどうなるのか。米財務省は一部債券の発行停止などでデフォルトを回避する予定だが、それも月内が限界とされる。タイムリミットはすぐそこだ。

 万が一、デフォルトとなれば、米国債は暴落し長期金利が暴騰する。普通なら金利上昇はドル買いを誘う。米国債を売ればドルに換金されることも、ドル高の要因だ。だが、いろんな思惑を持ったグローバルマネーが、そんな単純な動きをするだろうか。非常に見通しが難しい。

 一方で、異次元の緩和で円をジャブジャブ発行してきた日銀も、今年中には政策転換を迫られるだろう。債務の上限は決まっていないとはいえ、いつまでも大量の国債発行を続けられるわけがない。放置すれば、いずれ破綻である。

 日米両国は、しびれるような場面を迎えているのだ。おかげで世界経済は、不安定な構図を抱えながら回っている。いつ破裂するか分からない上に、どんな影響が出るのかも読みにくい難問だ。そんなときに投資を活発にしようという投資家はいないだろう。

 この期に及んでも国内の指標で説明しようとする安倍政権は、グローバルな視点が決定的に欠けている。偏った思想の持ち主を次々とNHKに送り込んだことも明らかになっているが、国際感覚の欠如は致命的だ。安倍首相の世界観、歴史観では、経済や国家の危機を乗り越えられない。そのことだけはハッキリしている。