保護活動やTNRについてのお話し、その②です。
のら猫を1匹でも減らすもう一つの方法として、【TNR(のら猫の不妊手術活動)】があります。
猫の繁殖能力はとても高く、交尾排卵するため確実に妊娠します。
1匹の母猫から始まり、子が子を産み、1年で5~60匹に増えると言われています。
のら猫として生まれた子たちの生きる環境はとても過酷です。
外での子育ては命がけで猫もつらい、猫が増えれば人間の生活環境にも入り込み、衛生面など様々な問題を引き起こし、人間もつらい。
これ以上増やさないためにはどうしたらいいか。
命を奪うことで駆除、排除することは出来ない愛護動物である猫たち(動物愛護管理法という法律があり、のら猫も含みます)。
『今生きている命を奪うことなく、不妊手術で増加を防ぎ、生を受けて生きている子はその短い一生(のら猫さんの寿命は3、4年と言われています)を共生という形で見守っていきませんか?』というものを実行するための手段としてTNRがあります。
①Trap(トラップ) ⇒ 捕獲して
②Neuter(ニューター) ⇒ 不妊手術をして(耳の先をV字カット)
③Retrun(リターン) ⇒ 元の場所に戻す
このTNR作業、ご自身たちでは術のない方々のお手伝いを私たちボランティアが行っています。
「のら猫をどうやって捕まえるの?」
「どうやって病院に?」
「1日で終わる?数日かかるならその間猫はどうするの?」
「手術費用の負担は?」
色々な疑問がおありかと思いますが、ボランティアの持つノウハウ、お伝えします。
ボランティアが出向いて作業することも可能です。
作業自体は難しいものではありません。
その後は地域の方々が引き継いで下さると大変ありがたいですが、継続してのご協力も可能です。
TNR後はのら猫を地域で管理する必要があります。
不妊手術をしたらOKではありません。
手術を受けた猫たちは、また外の暮らしを続けていかねばならないので、決まった時間と場所での餌やり・清掃・糞尿などの管理が必要になります。
【地域猫活動】というものです。
この活動行うには地域にお住まいの方々のご理解が必要です。
地域猫活動がなぜのら猫の増加を防ぐのに有効か、のお話しならば喜んで出向きます。
地域には、のら猫たちを見守りながら餌やりをされている方がいらっしゃると思います。
のら猫事情にとてもお詳しいです。
その方々と協力すれば、のら猫の管理も実はスムーズにいくのでは、と思います。
猫がお好きな方と苦手な方とのトラブルはどの地域にもあって、主に餌やりについては警察沙汰になることもあります。
「餌を与える人がいるから猫がどんどん増える」とよく耳にしますが、確かにご飯の匂いに誘われて集まることもあるでしょう。
増えているのではなく集まっているだけ、増えるのは不妊手術をしていないからです。
餌やりをされる方にも、可哀想だからという思いだけで餌を与えたり可愛がるのはよろしくない、必ず不妊手術をセットで、とお願いしています。
豊中市保健所も市民によるTNR活動を推奨しています。
◆保健所HPへのリンク
豊中市保健所では捕獲器の貸し出しも行っています。
不妊手術費用の一部助成金も受けられます。
保健所HPでも「のら猫がこれ以上増えないように避妊・去勢手術を受けさせ、その地域で管理していく市民の取組みが必要です」と謳っています。
飼い猫は不妊手術をし、当り前ですが完全屋内飼育をする。
未手術猫さんの放し飼いは外で繁殖することもあります。
交通事故や感染症などの心配もあります。
他所の敷地への侵入や糞尿をするなど、迷惑の原因になります。
飼い主さんのモラルの問題、と思います。
のら猫は元は人間が遺棄したり、放置した猫が始まりです。
遺棄した人間が一番悪いのですが、探し出すことなどできません。
もう起きてしまっている状況を少しでも改善するためにはどうしたらいいか。
改善する方法があるのなら、先に進むしかありません。
どうしたって人間の方が優位です。
猫たちは小さい弱い立場だいうことを、少しだけでもご理解頂けたらと思います。
のら猫はただただ一生懸命生きているだけです。
「のら猫を何とかしたい」という思いは、猫がお好きな方も苦手な方も同じはずです。
おひとりでも多く、のら猫問題に関心を持って頂けることを願って、これからもTNRと広報活動を続けていきたいと思います。
保護やTNR、猫のためとはいえ結構な労力です。
猫さん1匹保護したら、まずは1ヶ月間の隔離、健康診断、人馴れ修行などの後に里親様募集となります。
保護してすぐに里親さんを探せるわけではありません。
たくさんの保護っ子となれば管理もかなりハードです。
それでも1匹でも幸せな猫生を送ってほしいとの思いで頑張っています。
TNRも、現場のリサーチや地域の方々の声を聞く、餌やりさんとコンタクトを取るなど事前準備があります。
地域のご事情もあったりで、うまく進まないこともありますが、放置すれば悪循環なだけなので、やはりやらねば、なのです。
悩ましいのら猫問題ですが、とにかく1匹でものら猫を減らしたい。
その思いでこれからも頑張っていきたいと思います。