勉強も運動も学校での活動も

どんなことも意欲的に取り組んで

大人からの評価の高い子。


「すごいよね。」とお母さん達で噂されるような子。


素晴らしいんだけど

そういう子って

申し訳ないけれど子供たちの間では

あまり好かれてないってこともあったりする。


大人からみると優しい行動も

子供からすると関係ないのに

訳知り顔で余計なお節介で腹が立つ。

しかも先生や親から評価が高かったりして

自分自身の気持ちが置き去りにされている気持ちになるとか、

比べられることそのものは子供たちのせいではないのに

そうされることで子供同士が悪感情を持つなんてこともある。



私が小学生の時

クラスに何でもできて親や先生の評価の高い女の子がいた。



でも、一部の仲良し以外には

ひっそりと嫌われていた。




その子が生徒会の副会長に立候補したとき

クラスでその子に投票した子はほぼゼロだった。




そのときはじめてその子は自分が嫌われていたことに

気付いた。




自分がクラスの中心のように振舞っていた彼女。



自分が好きな人との仲を取り持つように

みんなに強制する彼女。



友達の気持ちを考えているようには

子供としては思えない言動が目に付いた。




もし大人の世界だったとしても嫌われていたと思う。




でも親や先生にはピンとこなかったと思う。



私も当初口数の多い子だな、くらいの印象で

特段なんとも思っていなかったけれど

ある日彼女がモテる男の子達と隠語を使って

ゲラゲラ笑いながら友達を馬鹿にしているのを聞いてから

嫌いになった。嫌悪すら抱いた。




でも誰にも嫌いって気持ちは言わなかった。

ただ、その子とその男子達を軽蔑したし、

やはり選挙では投票しなかった。





いじめというものがあるとしたら、

私は彼女が人の悪口を隠語を使ってバレていないと思って

みんなの前で楽しんでいたことだと思っている。

他の子は言われた人がもっと傷つかないように

隠語に気づかない振りをしていただけ。



少なくとも、彼女のような気が強くて

こっちが不利になる評判の持ち主を

面と向かっていじめる子はいなかったし

この伝わりにくい嫌さをハッキリした悪口にして

発言する子もいなかった。




彼女がその後学校に来なくなった記憶はないけれど

人気者だと思って自信を持って立候補した生徒会選挙で

クラスの誰も投票してくれないことを知ったら

彼女が不登校になってもおかしくない状況だった。




こんなことが、

勉強も運動もできて生徒会もやっていた子が

ある日突然不登校になった、

なんて聞くことの一部の

の実態という場合もあるのかもしれない。




勉強ができること、

運動ができること、

ボランティア活動をたくさんやること、

大人とハキハキ話すこと、

そんなこと、

その子の人間性には何の関係もない。



本当は学校でやらかしているかもしれない。


でも大人にはわからない。

伝わらない。



進学や就職に有利だから

先生は優秀な子と言う。




そこにその子の心の成長や優しさも育ってきているか

判断は難しい。




その子は有名な私立中学に進学したけれど、

そこそこの女子大の文学部を出て主婦になった。



あの子がマウンティングして馬鹿にしていたクラスメートの中には

国際的な専門職になって世界を飛び回っている人や

研究者として活躍する人がいる。


研究者がえらいとかではないし、

主婦が悪いわけでは全然ないし、

それがむしろ彼女の大人の手を煩わせない良い子の姿の

最終形なのかもしれない。

彼女なりの葛藤や苦労もあったのかもしれない。



でもあのとき大人が思っていた優秀な子の将来像は

あの頃そんな風になるとは思わなかった子達、

彼女が馬鹿にして笑っていた子達が叶えていた。



大人は見誤ってはいけないと思う。




勉強だって運動だって

人の心を思いやる気持ちがあるならば

その出来なんていつかどうにかなるし、

心がちゃんと育っていれば

人は努力をして夢を叶えることができるんだから。