先輩の言うこと | 夢と理想を持て!愛と勇気のメッセージ -豊秀之-

夢と理想を持て!愛と勇気のメッセージ -豊秀之-

心とは何?人間はうれしいとき心にはワクワクした感覚があります。夢を持ち、理想を持ち愛と勇気で生きてゆこう。人生は必ず開き美容道が日本を救う。

私が美容室で働くようになった頃、まだ現在の制度のように国家試験を取得してから働くといったことはあまりなく、インターン制度がありました。
ほとんどの人は高校を卒業して美容学校に行くという流れで今とさほど変わりはありませんでしたが、私のように中学を出れば見習いとしてお店で働くことができ、通信教育などで勉強してその後に国家試験を受けていました。
私は、中学卒業後に先生から推薦された印刷工場を辞めるとき、「美容師になりたいから」と何気なく出てきた言葉を、「嘘つきと言われたくない」との思いから美容室で勤めることになったのです。
新聞広告で見つけたお店で働くことになった私は、毎日、洗濯、掃除、お昼の買出し等、そんなことが仕事でした。
楽しいわけもなくただ、「嘘つきと言われたくない」という気持ちと毎月の給料をもらうために働いていたのでした。
入店3ヶ月くらいが過ぎた、そろそろ辞めようかと考えていたある日、突然あることを考えるようになりました。
明らかに何かが違う、楽しそうでいつも笑顔の「先輩」のことが気になってしょうがなくなりました。
働くという事すら何なのか解らない自分と対照的に、彼は楽しそうでしたし輝いていました。
夜遅くまで続く美容師の技術的な練習にも、元気で楽しそうに取り組んでいました。
その先輩がある日、何気なく私に、「何で美容師になったの?」と聞いてきたのです。
私は、「うん…。」
先輩、「うんとちがうやろ…はい!やろ?」という感じで、そんなとこからのスタートでした。
私の中に、「何で美容師?」という答えはありませんでした。
勿論、これといった決断はなく、「ただなんとなく」働いていた私は、結局約一年後に、また「なんとなく」そのお店を退店していました。
何種類もの職種のバイト等をする中で、「何でその仕事をするの?」という先輩の言葉が、何時も頭から離れず、呪文のように問いかけてくるようでした。
この出来事は、少しずつ私を変革させていったと自負しています。
私は、その後よく、「何でその仕事してるの?」と、バイト先の同僚に聞いていました。
要は、目的を明確にするということを、先輩から身体に刻み込まれたのだと感じています。
約、7ヶ月くらいが過ぎた頃、自分自身の中でもう一度、「美容師になりたい!」という気持ちが強くなってきました。
それは、先輩の言っていた「何で美容師なの?」が解決した瞬間でもありました。
何で?…それは、「いつもお金で苦労しているおふくろを助ける」というものでした。
あまりに単純で恥ずかしいのですが本当にそう思ったのです。
今考えると、これが本能的な自分の欲求であり自然に湧いてくる目的でした。
口下手で緊張症の私は、なかなか雇ってもらえるお店がありませんでしたから気持ちも落ち込んでいました。
すでに何軒かの美容室に面接に落ちていた私は、次のバイトを決め喫茶店でウエイターをしていました。
バイト先でばったり偶然に、いや必然的に、あの先輩と再開したのです。
先輩も以前のお店を退店し、違う美容室で働いていらしたのですが、私の事情を聞いた後に快く「うちにおいで…」と、誘っていただき私は再び美容室で働くことができたのです。
その時、私は「この先輩のように成りたい」と秘かに感動し、初めて目標を持てた瞬間でした。
人は「何の為に」という目的を、いろんな段階で積み上げてゆきます。
先ほど申しましたように、目的は心の感じるままでいいのだと思うのです。
自分や周りの人や何かの為になることや、喜んでもらえることであれば何でもいいのです。
そして大切な、目標を持てたのです「どんなふうになりたいか?」「ゴールはどこか?」などが明確になっていったのです。
私は、「この先輩のようになりたい」と思えることが出来、様々な美容の技術にチャレンジしました。
それをクリアするごとに私は変化してゆき、次第に大きな目標や目的に挑んでゆけるようになりました。