皆様、こんばんは。
料理家＆クリエイターの豊田亜紀子です。
今日ご紹介するお料理は少々説明が複雑になります。
まずは、ドイツ名物である酸っぱいキャベツ『ザワークラウト』。
瓶詰めされたとても酸っぱいキャベツなんですが、これは、キャベツを自然発酵させることで生まれる乳酸によるもので、酢を加えて生まれているものではありません。
自然発酵の酸っぱいキャベツであるザワークラウトは、国境を越えてドイツからフランスのアルザス地方に伝わっていきました。
そして、フランスのアルザス地方においても自分たちでザワークラウトを作るようになったのです。
本来ドイツ名物であるザワークラウトを独自に作るようになったフランスのアルザス地方でその後、ひとつの名物料理が誕生しました。
そのお料理がアルザス風シュークルート（シュークルート・ガルニ）です。
アルザス風シュークルートは、ザワークラウトと豚肉、野菜などを煮込んだお料理です。
時には、そこに魚介を加えたりすることもあるようでした。
フランスで生まれただけあってアルザス風シュークルートはワインに合うお料理になっています。
そして、今度はそのアルザス風シュークルートが国境を越えてドイツに伝わっていきました。
本来、豚肉をメインに煮込んでいたアルザス風シュークルートですが、ドイツ人たちはそこにドイツ名物であるボリュームたっぷりのソーセージを加えるようになったのです。
これが、ドイツ版シュークルート『シュラハトプラッテ』です。
ドイツ名物であるソーセージを加えたことで、シュラハトプラッテはビールによく合う煮込み料理になりました。
フランスのアルザス風シュークルートもドイツのシュラハトプラッテも基本的に共通した作り方なのですが、
アルザス風シュークルートはワインに、
シュラハトプラッテはビールに、
というように各国の個性の違いが微妙に料理に反映されていくことになりました。
ですから、本日のレシピはフランス料理でもあり、ドイツ料理でもあるというレシピです。
日本人にとってはどちらも同じに見えるんですけどね。
シュラハトプラッテ
（アルザス風シュークルート）
＜材料４人分＞
●ザワークラウト １００ｇ
（※市販の瓶詰めのもの）
●大きめソーセージ ４本
（※直径３ｃｍ×長さ１５ｃｍのもの）
●厚切りベーコン ４枚
●じゃがいも ３個
●にんじん 小１本
●玉ねぎ １/２個
●水 ６００ml
●固形コンソメ １個
●塩 少々
●黒こしょう 少々
●ローリエ ２枚
●サラダ油 大さじ１/２
＜下準備＞
※ザワークラウトとは、ドイツのキャベツの酢漬けのことです。大型スーパーに瓶詰め商品が売っています。
①厚切りベーコンはひと口大にカットします。
②じゃがいもは皮をむいて半分にカットします。
③にんじんは皮をむいてひと口大のカットします。
④玉ねぎは皮をむいて適当な大きさにカットします。
＜作り方＞
１．鍋を中火で熱し、サラダ油を引き、下準備①の厚切りベーコンと下準備④の玉ねぎを炒めます。
２．水を投入し、固形コンソメを加えて沸騰させ、ザワークラウトを加えて、塩、黒こしょうします。
３．ここで大きめサイズのソーセージとローリエを投入して５分ほど煮込んで出汁を取り、いったんソーセージを別皿によけます。
４．下準備②③のじゃがいもとにんじんを加えて１０分ほど煮込み、柔らかく煮えた所で３のソーセージを戻し入れます。
５．再度、塩・黒こしょうで味を整え、３～４分煮込んだら火を止めて器によそります。
＜ポイント＞
（※１）お好みで仕上げにパセリのみじん切りを散らしてもOKです。
正直、私自身もその時の気分によってソーセージをメインにしたり、豚肉をメインにしたり、いろんなレシピで作っています。
でも、どんな時でも共通しているのはドイツ名物『酸っぱいキャベツ』であるザワークラウトを使用するところです。
しかしながら、豚肉もソーセージも、このザワークラウトの自然発酵の酸味によって臭みが消え、とてもおいしくなるんですよね。
そして、何より疲れが取れ、元気になれるお料理なんです。
私は時折、無性にこのシュラハトプラッテ（アルザス風シュークルート）が食べたくなる時があります。
一度食べたら身体がこの酸味を覚えてしまって忘れられない味となって脳裏に焼き付いていくんです。
日本人にはなじみが薄いザワークラウトですが、このお料理だけを覚えておけば、市販の商品のザワークラウトは１瓶無くせます。
ワインにもビールにも合うので記念日などのお食事としてもお薦めのお料理です。
皆さんもぜひ作ってみて下さい。
