寒いけど良く晴れた今日、小学校の卒業式だった。

どのクラス担任も、式の間中はらはらと涙を流しておられた。若く情熱にあふれた先生ばかりだった。コロナもあったし、大変だった6年間を思い出しておられたのだろうと思う。私はずっと、先生方からもらい泣きをするありさまだった。

 

乳がんが見つかった時、卒業式には出られないかもしれない、と思った。術後の回復が遅々としていた2月、卒業式に出ることを半ばあきらめていた。だから、今日の日は私にとっても何重もの意味で感無量だ。


我が子は、なんでも全力で楽しむ小学生だった。給食も、運動会も、おにごっこも、修学旅行も。平穏な6年間を過ごすのは、悲しいことに、今の時代決してあたりまえのことではない。その点、息子は幸運だったと思う。息子の毎日の生活の中には小さな輝きがたくさんちりばめられ、キラキラしていた。牛乳じゃんけんに勝ったとか、給食リクエストに書いた「けんちん汁」が採用されたとか、鉛筆を限界まで短く削ったとか、「ひげダンス」でクラス中の笑いをものにしたとか、そういう本当に小さな、たくさんの輝き。

 

校庭で別れる時、数少ない私立組の息子は、友達から口々に

「今までありがとうな」

「がんばってな」

と声をかけてもらっていた。

仮に逆の立場だったら、我が子は友達にこんな素敵な言葉を贈ることが出来ただろうか?

素晴らしい友達に恵まれて、なんて幸せな子だろう。つくづくそう思いながら夫と学校を後にした。