癌になるまで、私はわりと献身的な母親だった。

仕事では脂ののっている年代だったけど、仕事をセーブし、チャレンジを避け、チャンスを与えられても断わり、たくさん周りに頭を下げて、いつも子供のことを優先してきた。まあ、世のお母さんて、それがごく普通ですよね。私も、ごく当たり前のこととして、そうしてきました。

 

それはなぜかというと、私の場合、まるで子供たちを自分そのもののように思ってきたからなのかな、と思います。

こういう考え方にはご批判もあるかもしれませんが、子供たちが生まれた瞬間から、そう感じていました。この子たちは、私の一部なのだと。

 

しかし、乳がんになって一連の治療を受ける間、子供を夫に完全に任せる時間が増え、私は離れたところから夫+子供たち、の様子を眺めていることが多くなりました。

その結果、以前よりも子供たちと心理的な距離を保つことが出来るようになり、

「何がなんでも子供ファースト」

だった自分が、いつの間にか居なくなっていることに気づきました。

たとえば下の子が夫に叱られてビエーと泣いているとき、以前なら子供の痛みをまるで自分の痛みのように感じ、すぐに駆け寄ってヨシヨシしていたかもしれないけど、今は放っておけるようになりました。私には画期的なことです。

 

子供中心の思考、子供中心の生活が、やっと自分中心になってきたのを感じます。

良いチャンスです。もうこの際、自己中で行かせていただきます。