2023年のクリスマスの日、白髪のドクターKに「乳がんです。」という簡潔な言葉で告知された。初期の癌を見つけて下さったことは、ドクターから私へのクリスマスプレゼントだと思った。だから告知の言葉に対し、私は「はい。小さいうちに見つけて下さって、ありがとうございます。」と答えた。

 

ひととおりの説明の後、ドクターKに「何か質問はありますか?」と聞かれて尋ねた唯一の質問は、娘のことだった。

「私が乳がんになったということは、私の娘もなる確率が高いということなんでしょうか?」

ドクターは私に同情したのか、少し微笑んで「今は女の人の7人に一人が乳がんになると言われていますから。そういうのは、あまり関係がないんですよ。」と言って下さった。

 

しかし、そう言ってくれたのはドクターの優しさだったと思う。実際には、私の乳がんが遺伝性ではないとしても、癌になりやすい(細胞のコピーミスが発生しやすい)体質は、母から娘へと遺伝するものだと私は考えている。だから、私の娘は少なくとも1/7よりも高い確率で乳がん(もしくは他の癌)になるだろう。

 

そんな娘のために出来ることは何かと考えると、一つはもちろん健康的な生活習慣を身に着けさせること。

そして、もう一つは、今現在の私が出来るだけ「平然と治療を受ける」ことだと思う。

娘もいずれ私と同じ体験をするかもしれない。そうであればこそ、「癌になるとあんなに辛い思いをするのか」という記憶を、娘に刻みたくはない、と思う。もしも貴女が病気になっても、平然と治療を受ければ良いのだよ、というメッセージを伝えたいと願う。このメッセージは、大腸がんになり、大変な治療を平然と乗り越えた、私の父から受け取ったメッセージでもある。

だから、これから色々と副作用があるかもしれないけど、一度は逃げ出そうとしたホルモン療法を平然と受けることが、私の今の目標になっている。