有吉佐和子の「花岡青洲の妻」を読んだ。子供のころ父に勧められたが、読まずに放置していた一冊でもある。ちなみに、花岡青洲が世界で初めて全身麻酔に成功した手術は、まさに乳がんの手術だった。
全身麻酔薬開発までの苦労が描かれていることを期待して読んだのだが、なんともいえない読了感。麻酔薬開発のあれこれはやや漠然と描写されており、どちらかというとドロドロとした嫁姑問題が中心。動物実験のくだりは凄惨であった。
強く思ったのは、癌になったのがこの令和の時代で本当に良かった・・・というその一点だ。この時代に適切な医療を受けることができて良かったと思う。江戸時代にトリカブトの入った麻酔薬で手術されるのは怖すぎる。
医学の進歩に感謝しよう。自分にもできることを応援していこう、と思った。