この半年、通ってくれている高校生の男の子がいる。
元々通っていたお母さんからの紹介だ。
野球部に入っていて、明るく元気な高校球児だった。
ある日、仲間から投げ方がおかしいのは、身体が歪んでいるせいなんじゃない?と言われ、それから気にするようになった。
だんだんその気にする思いが強くなってしまい、ついには野球もできなくなり部活をやめてしまった。
そして、自分の夢を捨てる格好になってしまった彼は、いつしか学校にも行かなくなってしまいました。
休学していた彼は定期的に来てくれるようになった。
お母さんから詳しい事情は聞いていたけど、余計なことは聞かず、身体の歪みについての不安を取り除くような話しをしながら施術した。
無愛想な感じで、あまり多くは喋らなかったけど、お母さんが言うには、だんだん元気が出てきて、
よく喋るようになってきたらしい。
施術の回数を重ねると、外にも遊びに行くようになった。
お母さんが嬉しそうに話してくれた。
あとは学校への復帰だった。お母さんが言うには、転校する事にしたそうだ。元の学校だと、部活の仲間もいて、
思い出してしまうらしい。
いいんじゃないかな。新しい場所で新しい友達と新しい好きな事を見つけて欲しいな。
元々勉強は出来るので、編入試験はもちろん合格。四月から通う学校が決まった。
三月の末に、施術を受けにきてくれた。別に合格報告でもないし、今まで有難うとお礼を言いに来た訳でもない。
でも、四月から新しい生活をスタートしてくれる彼を嬉しく思い、祝福したい気分だった。
余計な事は言わず心の中で頑張れ!と応援した。
そして、もう施術も受けに来るなよ、と。