新著『良いテロリストのための教科書』検閲大会 | 我々少数派

新著『良いテロリストのための教科書』検閲大会

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 9月11日というマッコトうってつけの日に(奥付では9日となっているが、実際に店頭に並び始めたのは11日)新著『良いテロリストのための教科書』が出た。版元は、河出とか筑摩とか足下にも及ばない真に革命的かつ超一流の出版社であることを外山恒一の本を出すという英断に踏み切って今回証明した、青林堂である。
 ツイッターでも読者の感想ツイートをたびたびリツイートしているとおり、評判は上々である。
 で、私は発売以来、この新著の〝検閲〟を広く呼びかけてきた。誤字脱字、文法上の誤りなどを指摘してくれた者には、あの超高額にして超高級な超一流の月刊思想誌『人民の敵』を、なんと無料で1冊、しかもバックナンバーから希望の号を指定する権利つきで贈呈しようという大盤振る舞いである。
 もっとも、これは単なる販促のつもりで、実際には誤字なんかあるわけないとタカをくくっていた。前著『青いムーブメント』(彩流社・08年)の冒頭1ページ目でいきなり、「二〇〇四年」が「二〇〇〇四年」になっていたというトラウマがあって(全体的には誤字脱字の少ない本なのに……)、今回は絶対にそんなことがないよう、ゲラを何度も何度も自分でチェックした私は、相当な自信があったのだ。1200円の『良いテロリストのための教科書』を買って誤字脱字を挙げつらうことで5000円の『人民の敵』をまんまとゲットしようという心得違いを煽るだけ煽り、その実まんまと単に『良いテロリストのための教科書』だけ買わせるハラだったのである。
 ところが……やっぱり見落としはあるもんだねえ。
 以下、これまでに『人民の敵』無料獲得権をゲットした諸君の業績をすべて列挙する。

 その前にまず、〝検閲〟の呼びかけと同時に「これは誤記とかではなくワザとだからな!」と対象から外すとしていた箇所がある。
 P.168の「ややこしすぎること山の如し」という記述である。〝風林火山〟というやつで、本来は「動かざること山の如し」としか云わない。したがって語法の誤りだと思われそうだが、前述のとおりさすがにこれはワザとである。2016年にとっても権威ある外山恒一賞の第6回受賞者となった〝たかゆき〟氏のギャグというか口癖というか、彼が何かにつけては「もったいないこと山の如し」などと連発するのがオカしくて、ツボにはまって私もしょっちゅうマネしてるだけだ。
 さらに、ナルシストなのでついに刷り上がった現物を自分で何度も読み返してウットリしているうちに、誤記というか、年号を1ヶ所間違っていることに気づいてしまった。p.68でローザ・ルクセンブルクの蜂起失敗を「ロシア革命の翌年」としているが、実際には〝翌々年〟の1919年である。『人民の敵』のバックナンバーを私がもらっても仕方がないので、ひとえに自己批判する。

 さて、本題である。
 まずこれはもう分っかりやすい、絵に描いて額に入れて個展を開いてイイ感じに飾ったような典型的な誤字を、発売翌日のトークイベント会場で来場者にいきなり指摘されてしまってたじろいだ。P.178、「マスコミ」が「マミコミ」になっている! ……すいません、素直に『人民の敵』をどうぞ。
 さらにツイッターでマルクスサンカクス氏(@yurimachine)より、p.93にある、世間に広く誤って流通しているインチキ語の使用が指摘された。「至上命題」である。これを〝絶対的指針〟みたいな意味で使うのは〝命題〟という言葉の原義からして大間違いで、そもそも「至上命題」などという言葉は(〝正しい日本語〟としては)ないらしい。〝呉智英だって指摘してるぞ!〟と云われたら呉智英センセイの愛読者としては返す『人民の敵』しかない。
 誤字とか語法の誤りとかではないんだが、やはりツィッターでTAMO2氏(@tamo2_1965)に、事実認識についての明白な誤りを指摘された。p.60で、私はニセ左翼非暴力集団・日本共産党の頭目について、今の志位和夫は前代の不破哲三の直系で不破哲三はさらにその前代の宮本顕治の直系である、と書いてるのだが、TAMO2氏によれば志位は宮本の直系で、不破にはむしろ冷遇されたのだという。改めてちょっと調べてみると、まったくTAMO2氏の指摘のとおりである。例えば「シールズは〝マスコミが作りあげた幻想〟なんかじゃない!」みたいな〝事実誤認〟の指摘ならば「見解の相違ですね」ということにしかならないが、これはかなり恥ずかしい。……『人民の敵』をどうぞ。
 とはいえ「至上命題」も〝宮本顕治〟も気づくには相応の教養が必要な誤りで、不明は恥じるしかないが、教養に欠けていた私が校正段階で気づけなかったのは当然である。見逃したのは200ページあまりのうち「マミコミ」1つだけ、というのは自分で自分をホメてあげてもいいぐらいの勤勉な働きぶりではなかろうか? ……と慢心していたら、p.116で「集結」が「終結」になってますよ、というメールがきた。えーい持ってけ『人民の敵』!

 以上、新著『良いテロリストのための教科書』検閲大会の途中経過報告である。今後も誤字脱字その他に気づいたら、ツイッターなりメールなり直接云うなり、容赦なく指摘して『人民の敵』をまんまと無料ゲットしてほしい。
 ま、もうないと思うけど(ふたたび慢心)。
 

 (「ナルシスト」は「ナルシシスト」の間違いだろうという史的は装丁の犯意内だし、そもそもこの一文は〝検閲大会〟の対象ではありま選)