反サミット行動記 | 我々少数派

反サミット行動記

 北海道ではネットカフェに行く機会がなく、リアルタイムでの報告ができなかった。
 今はもう、福岡に戻っているが、振り返ってまとめておく。

 7月4日に札幌入りしたが、今回の反サミット行動の本番は翌5日の札幌市内でのデモからだ。
 そもそもサミットにそれほど関心があるわけでもなく、今回の行動に当初から深く関わっている札幌在住の古い同志・宮沢直人をサポートするための現地入りであった。車で北海道入りし、人員の輸送などを手伝ったが、せっかく参加するからには一応、存在を誇示しておきたい。
 で、考えた。
 今回は、あれこれ派手なことはやらない。プラカード1本で「外山恒一ここにあり」をアピールする。
 そのプラカードが、これだ。

札幌デモ1

 エコは今回に限らず近年のサミットの主要課題だし、にもかかわらず、エコロジストを含む左翼活動家が担っている反サミット行動では「反エコ」を前面に押し出す奴は他にいないだろうと。

札幌デモ2

 ご覧のようにかなり目立つ。
 ちなみに裏はこうなっている。

札幌デモ3
札幌デモ4

 ところで今回の一連の行動のうち最大人数の参加でおこなわれたこの5日のデモの様子は、YOU TUBEなどでさんざん流れているので観るべし。
 逮捕者も4人出て、その瞬間の動画もアップされているようだ。
 主な標的とされたのはデモの先頭にいたサウンドカーの関係者で、まずその周辺にいた札幌現地の参加者が、サウンドカー関係者と間違われて誤認逮捕された。私はその現場を目撃している。
 逮捕されそうになったためであろう、誰かがデモの隊列を離れ、駆け出していったのが分かった。それを追って、警官隊が走り出す。これに気づいた参加者はほとんどいなかったようで、私を含め5、6人が、「あ、誰かが逮捕される」と思ってその後を追った。追いついた時にはその「誰か」はすでに警察車輌に乗せられていた。誰を逮捕したのか、容疑は何なのか、その場にいた警官たちに問いただしたが、まったく答えてもらえなかった。
 それからしばらくして、今度はサウンドカーの荷台でDJをやっていたイルコモンズ氏が逮捕された。荷台で立ち上がったのが、道交法違反だという。サウンドカーの使用自体には許可が出ており、また荷台でDJがおこなわれることも許可されていた。が、立ち上がることは許可していないのだという。まったくバカバカしい。DJ作業の過程で立ち上がる必要も出てくるだろう。一瞬立ったからといって、何が問題なのだ。1人目の誤認逮捕に続いて、字義どおりの不当逮捕である。
 イルコモンズ氏も、逮捕されると分かって走って逃げ、それを警官隊が追いかけ、この時にはみんな事態に気づいていたから大勢がそれを追いかけ、警察は逮捕に手間取り、デモの秩序も大いに乱れた。私も、警官隊を追いかけて逮捕の妨害を図った1人だ。
 同時に、運転手のサブロー氏が逮捕されたことには、私はイルコモンズ氏逮捕の方に気をとられていたので気づかなかった。こちらは、そもそも警察を挑発して蛇行運転を繰り返していたとも聞くが、見ていたわけではないのでよく分からない。逮捕に際してもサブロー氏は激しく抵抗したようで(YOU TUBEなど参照)、運転席の窓も警官隊によって割られた。
 さらに、ロイター通信の日本人カメラマンが警官を蹴飛ばして逮捕されたらしい。事情はよく分からないが、活動家より過激だ。

 で、デモ隊はやがてゴール地点の中島公園に到着。
 この時点で、主催者は逮捕者をイルコモンズ氏とサブロー氏の2人だけと認識していた様子。その場で他の2人の逮捕を報告する参加者が出て、どうやら計4人が逮捕されたらしいと分かる。
 しばらくだらけた雰囲気だったが、そこに素人の乱・松本哉がトラメガを使って、4人が留置されているであろう札幌中央署への抗議行動を緊急提起。さすが松本君、偉いと思った。現場での臨機応変な判断力と行動力は抜群だ。
 というわけで、松本君を先頭に、百人以上が中央署前へ進軍。中央署前路上は一時騒然となった。

札幌中央署前

 私もしばらく中央署前にいたが、やがて急に周囲の警察車輌がサイレンを鳴らして次々にどこかへ走り去りはじめた。
 何が起きたのかと、慌てて追いかけると、大通り公園でデモ参加者と愛国党の街宣車との間でモメゴトが発生していた。
 右翼との衝突には慣れっこの外国人参加者たちが、街宣車を取り囲んで蹴飛ばすわ空き缶は投げるわ旗は引きちぎるわで、愛国党の諸君はさんざんな目に遭っていた。
 それにしても愛国党の諸君は情けない。興奮もしていたのだろうが、周囲の警官隊に向けて、「どうしてこいつらを取り締まらないのか」と絶叫するだけならまだしも、「我々はサミットを歓迎する」だのなんだの、それでもおまえら右翼かと云いたくなるような妄言を吐きちらかす。愛国者・ナショナリストを自認するくせに、なんでグローバリズムに反対しないのか。そんなことだから左翼にバカにされるのだ。
 それにしても、「ファシスト帰れ」のシュプレヒコールは居心地が悪かった。デモ隊の諸君。本当のファシストは、諸君のすぐ隣りに立っているのだよ。

愛国党

 この日の夜は、札幌の繁華街・ススキノで街頭ライブ。
 場所の選択を誤り、そもそもはとても稼げる街なのだが、今回はまったく話にならんくらいダメだった。

札幌街頭ライブ

 翌6日は、やはり札幌市内での小規模なデモに参加した後、洞爺湖に近い伊達市の牧草地に設置された反対派キャンプに移動。
 今回、反対派の間でいろいろ対立や反目も生じていたらしく(詳しいことはよく知らない)、キャンプはこの伊達市だけでなく、豊浦町、壮瞥町と計3ヶ所に分散していた。私は、宮沢をサポートするための北海道入りであったから、宮沢のいる伊達市のキャンプに入ったのだが、ここは3つくらいのマイナーな新左翼党派と、宮沢率いる一部ヘンタイとの合同キャンプで、あまり居心地のいい雰囲気ではなかった。
 が、どうやら私の宿敵・矢部史郎らが主催する豊浦町のキャンプでいろいろさらに問題が生じたらしく、日を追うごとに豊浦キャンプから伊達と壮瞥に「脱走」してくる者が増え、しかも伊達キャンプの党派部隊からはそうそう仕事を休んでもいられない労働者部分が抜けていくので、つまりヘンタイ率が徐々に上がり、次第に居心地もよくなった。

 いよいよサミット本番である7日、伊達と壮瞥との合同デモが、壮瞥町中心部から洞爺湖畔へ向けておこなわれた。
 壮瞥の部隊には、だめ連のペペ長谷川氏、さらに今回数年ぶりの再会となった、元だめ連福岡代表のI君らも含まれていた。
 下はそのペペ氏とI君。

ぺぺ、I

 私はこの日も、例によって「エコ反対」プラカードで参加。
洞爺湖デモ初日

 8日は伊達市内をデモ。

洞爺湖デモ2日目1
洞爺湖デモ2日目2

 最終日、「エコ反対」プラカードは同行しているスタッフS嬢に持たせ、私は新たに別のプラカードを作製。
 私は反グローバリズムという点ではサミット反対であるのだが、周りはみんな左翼だから、すぐ「戦争反対」とか「憲法9条を守れ」とかシュプレヒコールを上げて、イライラしていたのだ。
 かといって異端的傍流の身でトラメガをかつぎ、独自のシュプレヒコールを提起するわけにもいかず、せめてプラカードで異議申し立てを試みたのである。
 それはこんなプラカード。

戦争プラカード
洞爺湖デモ3日目1
洞爺湖デモ3日目2

 というわけで北海道での1週間はあっというまに過ぎた。
 5日連続でデモに参加したので、すっかり日焼けした。

 9日の夜に伊達キャンプを出発し、10日の夜に東京入り。例によって素人の乱・セピアで飲み、翌11日、例によって昼すぎに起きて東京を出発、12日未明(午前3時ごろ)、福岡に到着。
 本来は2週間かせいぜい20日間ほどで福岡に戻ってくるつもりが、急遽北海道行きを決めたために結局丸々1ヶ月も福岡を留守にすることになって、到着してみると電気もガスも停められて大変だった。