消える女性センター@東京23区の「女性センター」から消える「女性」の文字 その是非を考える | 堺 だいすき ブログ(blog)

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東京23区の「女性センター」から消える「女性」の文字 その是非を考える 


 東京都中央区の「区立女性センター」=中央区で 


女性の自立と社会参加を支援する活動や相談の拠点である自治体の「女性センター」の名称から「女性」の言葉が消えつつある。


東京23区では、21区が「男女」を施設名に冠するようになり、現在、女性センターを名乗る中央、墨田区も改称方針を決めた。


各区とも男女平等社会の推進をより分かりやすくアピールするためだと説明するが、改称に慎重な声も根強く、センターの役割が改めて問われている。(三宅千智、写真も) 


 ◆男性が利用を躊躇 課題は認知度不足 


 中央区は、区立女性センター(愛称・ブーケ21)の名称を2023年度に「男女平等センター」に変えるため2月の区議会に関連の条例改正案を提出することを決めた。


  担当者は「『女性センター』ということで男性が利用を一瞬 躊躇 ちゅうちょしてしまうことがある」と言う。


1993年4月の開設以来、女性の就労支援や子育て講座、ドメスティックバイオレンス(DV)などの相談を行ってきたが、近年は男性向けの事業を拡充している。


昨年7月は男性向けの電話相談を始めた。


職場の人間関係や夫婦関係、DVなどの悩みに相談員が対応している。 


課題は、男性の認知度不足だ。


2021年に区民646人に行った調査では「施設があることを知らない」は女性が39.6%に対し、男性は57.0%に上った。男性から「入ってもいいか」という問い合わせが年に数件ある。


「男性も訪れやすい形にする必要がある」(担当者) 


墨田区も、1990年7月に開設した「すみだ女性センター」を2024年度から「すみだ共生社会推進センター(仮称)」に変える方針だ。


担当者は「男女共同参画社会の実現に向け、すべての人が人権を尊重し共に生き続ける街という意味を込めた」と説明する。


 正式に改称すれば、23区から「女性センター」の名は消えることになる。

利用者からは異論もある。


学識経験者や区民らでつくる「センター運営委員会」の議論では「女性に関する問題は依然として解消されていない」「フェミニズムの運動、(性被害などを告発する)#MeTooなどを経た今だからこそ、女性センターという名称は価値がある」など、現在の名称の存続を望む意見が少なからず上がった。 


 ◆識者「性差別が曖昧になる懸念」「男性も巻き込んで」 


女性センターは、都道府県や区市町村などが1970年代ごろから自主的に設置してきた。


全国に約360施設あるが、99年の男女共同参画社会基本法の施行以降、「男女共同参画センター」などへの名称変更が相次いでいる。 


都内では、世田谷区が2000年度に「せたがや女性センター」から「区立男女共同参画センター」に改称した。


区担当者は「DVは男性が被害者になるケースもある。(改称により)男性や性的少数者(LGBTQ)が、より相談しやすくなった」と意義をアピールする。


一方で、新型コロナ禍では、社会的に弱い立場の女性が雇用や生活面で深刻な影響を受けやすい状況が浮き彫りになったという。


「女性への差別や偏見という課題は今もあり、根絶に取り組む必要がある」と話した。 


「女性センターを問う」の共著がある東洋大の矢口悦子学長(社会教育学)は「名称変更で男性も利用しやすくなる一方、性差別の問題が曖昧にされる懸念もある性差別の解消というセンターの役割の本質に迫る活動がなされているか、検証されなくてはならない」と指摘する。 


「男性学」の研究で知られる京都産業大の伊藤公雄教授(ジェンダー論)は「センターの名前が変わっても、多くの男性は『女性の問題を扱っているところで自分は関係ない』という意識のままだ。センターが男性を巻き込む事業を展開し、男性の意識を変えることが重要だ」と話した。