1月31日に投開票された北九州市議選(定数57)で、現職22人全員を擁立した自民党は6人が落選して16議席に減らす一方、公明党と立憲民主党は全員が当選し、明暗が分かれた。
7選挙区のうち二つで、30歳代の無所属新人がトップ当選した。
自民党福岡県連幹部は1日、新型コロナウイルスへの対応などを巡って内閣支持率が落ち込んでいることに加え、「コロナで活動に制約を受け、逆風をはね返せなかった」と総括した。
自民党は県連副会長で小倉南区で11選を目指した重鎮・片山 尹 おさむさん(74)らが議席を失った。
「6人も落選するとは誰も思っていなかったのではないか」。
全国市議会議長会の会長も務めた片山さんは1日朝、「新型コロナを巡る政府の対応への不満が影響したのかもしれない」と硬い表情で語った。
同様に落選した小倉北区の自民党現職・奥村祥子さん(63)は緊急事態宣言下で集会をすべて取りやめ、街頭演説に力を入れたものの、「自民党は何をやっているんだ」「生活のことを考えていない」と批判の声を浴びた。
「厳しい選挙だった」とつぶやいた。 県連の松尾統章幹事長(県議)は「びっくりした。結果を読めなかった」と想像以上の厳しい結果だったことを認める。
自民の現職議員はそれぞれ後援会を持ち、集会を開いたり、後援会員から知人に呼びかけてもらったりして支持拡大を図る。しかし、感染防止のため、それが出来なかった。
読売新聞社が1月15~17日に実施した全国世論調査で、菅内閣の支持率は39%、不支持率は49%となり、初めて不支持が支持を逆転した。
新型コロナを巡る政府のそれまでの対応を「評価しない」は66%で、逆風の中での戦いとなった。
松尾氏は「本来なら風をしのげる足腰の強さがあるが、後援会が動けず、コロナ対策について市民に伝えられなかった」と話す。
秋までに行われる衆院選を見据え、「もう少し違うアピールの仕方を考えたい」として、SNSを使った発信にも力を入れる考えを示した。
今回の結果を衆院議員も重く受け止めた。県選出の自民党議員は「新型コロナでの与党の政策に不満をためた有権者が『誰かに何とかしてほしい』と新しい選択肢に流れ、無所属新人らの当選につながった」と分析。
感染収束の見通しが立たない中、「政権与党はどうしても批判を受ける。何をやっても難しい状況だ」と秋までに行われる衆院選に危機感を募らせた。
自民党の現職6人が落選する一方、同じ政権与党の公明党は2議席増やした前回と同様、13議席を確保した。
夏の都議選、秋までの衆院選へと続く選挙イヤーの幕開けを市議選と位置づけて県本部を挙げて臨んだ。
対する野党。結党後、初の政令市議選となった立憲民主党は、新人2人を含む7人全員が当選した。
県連の城井崇代表代行(衆院議員)は電話による支援呼びかけなどを展開したことを挙げ、「党として躍進でき、二重丸。コロナ禍で手段が限られても手数を緩めなかったことが功を奏した」と振り返った。
衆院選に向けて、「心強い結果をいただいた。勝って 兜 かぶとの緒を締めよ。気を引き締めたい」と意気込んだ。
共産党は8人が当選し、改選前の議席を維持した。
前回は全員が落選した日本維新の会は新人3人が当選し、議席を復活させた。
新旧別では新人の当選者が11人と前回より1人増えた。
小倉北区では元高校教諭の大石仁人さん(35)、八幡西区では元市職員の井上純子さん(34)がそれぞれ無所属で出馬し、2位以下に大差をつけた。
当選した議員には1日午前、当選証書が付与された。小倉北区役所で受け取った大石さんは選挙中、SNSで若者から「頑張ってほしい」という激励をたくさん受けたという。
「政治も私たち若い世代が頑張らないといけないと感じた」と述べた。
以上引用
今は、逆風、けど…