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もしゴジラが上陸したら?現役自衛官たちが真剣に考えてみた(上)
秋山謙一郎
陸・海・空の各部隊は、どのようにゴジラをやっつけるのか!?もちろん架空の話ではあるが、自衛官たちは真剣に対ゴジラ戦について語ってくれた ©2016 TOHO CO.,LTD.
もしゴジラが本当に東京湾から首都・東京に上陸して大暴れしたならば、わが国自衛隊はどう対処するのだろうか――。今、公開中の映画「シン・ゴジラ」(東宝系)は警察官、消防士、自衛官たちの職業本能をかき立てるものだという。ゴジラがわが国にやってきた場合の自衛隊のオペレーションとはいかなるものか。防衛省、陸海空の各幕僚監部、そして自衛隊の作戦をつかさどる統合幕僚監部に話を聞いてみた。(取材・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

もしゴジラが東京を襲ったら
陸・海・空のどの部隊が最強か?
 はたして自衛隊はゴジラに勝てるのか。実は、この問い自体が「防衛機密スレスレ」(元統合幕僚監部勤務・1佐)だ。というのも、国家の防衛はセンシティブな要素を孕んでいる。もし防衛省・自衛隊が、任務としてこうした検討を行っていたとなれば、われわれシロウトからは想像もつかない、大きな問題へと波及する恐れもあるのだ。なので、取材は困難を極めた。
 
 まず防衛省に真っ正面から「自衛隊vsゴジラ」について聞いてみたところ、「架空の事柄について回答することは差し控えたい」と、にべもない返答がかえってきた。昨年から幾度となく食い下がったが、オフレコといえども、とうとう回答をもらえることはなかった。

 だが本当に防衛省が「対ゴジラ戦」をまったく想定していないかといえば、そうではない。防衛省本省に勤務する事務官のひとりはこう明かす。「防衛大学校や幹部候補生学校では、『もしゴジラが東京に上陸して、サンシャイン60をなぎ倒そうとした場合』にどう対処するか、あくまでも雑談の一環としてではありますが、語られていると聞いたことがあります」。

 さらに、こんな証言もある。53期生として防衛大学校国際関係学部に学んだ陸上の幹部自衛官は、「対ゴジラ戦について防大の授業で話題に出たことがある」と話し、防衛省や自衛隊による対ゴジラ戦の研究を暗に認めた。一般大学卒の幹部自衛官も、「幹部候補生学校の授業で話題に上った」という。

 こうしたいくつもの証言を総合すると、防衛省・自衛隊による「対ゴジラ戦」検討は、もはや“公然の秘密”として行われているものなのかもしれない。

 海上幕僚監部に聞いても、担当者は「オペレーションに関する事柄なので統幕(統合幕僚監部)に聞いてほしい」とその回答を頑なに拒むばかり。しかし、「もし、対ゴジラ戦が繰り広げられた場合、陸・海・空の各自衛隊ではどこがいちばん強いのか」と聞くと、即座に、「あくまでも自衛隊とは無関係の個人として発言します」と前置きし、語気を荒げて次のように語った。

「うち(海上自衛隊)がいちばん強いに決まっているではないですか?もし東京湾にゴジラが現れたならば、3時間もいただければ殲滅も駆除も可能です。最初にP-3C(哨戒任務を行う航空機)による偵察、それから潜水艦による魚雷攻撃、護衛艦による艦砲射撃を行い、世界最強の特殊部隊『特別警備隊(SBU:Special Boarding Unit)』が出動すれば、もう大丈夫です!」

 しかしゴジラが放射能を含む火炎を口から放射した場合、いくら精鋭で知られる護衛艦隊といえども殲滅されるのではないか。これについて艦艇装備を専門とする3等海佐もまた、「個人として」と前置きし次のように回答した。

「ゴジラの放射火炎は10万度とも50万度ともいわれています。でも、わが海自の艦艇はそれにも十分耐えられます。その詳細は防衛機密ということでご理解いただきたい」

航空自衛隊は煙幕でゴジラをかく乱!
陸上自衛隊は3部隊統率の主導権獲得に自信
 同様の質問を航空幕僚監部にぶつけてみた。こちらも海自同様、「作戦に関することなので統幕に」と繰り返す。回答を引き出すべく非礼を承知で、「さすがにゴジラには空自さんでも勝てないですよね?海自さんは勝てると仰ってましたが」と挑発してみた。

 すると、担当者は、「私人としてお話しいたしますが、対ゴジラ戦ではうちがいちばん強いです」とし、次のように語った。

「ウチが一番強い!」と胸を張る海自と空自。一方、陸自も控え目ながら自信たっぷりな返事をくれた。もっとも、オペレーションは統合運用の時代。実際には、3部隊が力を合わせてゴジラと対戦することになるそうだ ©2016 TOHO CO.,LTD.
「陸・海自と違い、空自は機動性が高いのです。戦闘機でゴジラが情報を得る“目と耳”に煙幕を張るなどして行動に制限を設けます。後は政府の方針に従って…ということで。詳細は私の立場では個人といえどもお話しできません。オペレーションに関することなので統幕にお願いいたします」

 対ゴジラ戦では「うちがいちばん強い」と胸を張る海・空の各自衛隊だが、防衛最後の要といわれる陸上自衛隊ではどうか。陸上幕僚監部はこう話す。「統合運用の時代、オペレーションは陸海空統合で行われます。なので統幕に聞いていただきたい。ただし、もし対ゴジラ戦となれば、そのオペレーションではうちがイニシアティブを取らせていただくことになる筈です。それだけは申しておきます」

 陸海空の各自衛隊のなかでもっとも控え目ながらも、自信たっぷりな回答をした陸自の回答者に促され、統合幕僚監部を直撃した。

「えっ?ゴジラ対自衛隊!?それは…。架空の事案なのでお話しできません」

 統合幕僚監部の担当者は笑いをかみ殺しつつ、記者の「対ゴジラ戦における自衛隊のオペレーションをお教え願いたい」という質問にこう回答した。だが記者が執拗に食い下がったためか、「個人としてなら何時間でもお付き合いいたします」とにこやかに応対、こう語った。

「そもそもゴジラとは水爆実験で生まれたものと聞いています。なので殲滅、駆除を問わず、何が有用なのかがわかりません。そこからのスタートですね…」

 しかし何が有用かわからないといえども、もしゴジラが東京湾に現れたなら、これへの対処をわが国自衛隊は迫られる。統幕勤務経験のある1佐は、「国民の皆さまが、不明巨大生物の脅威に怯えないよう、広報活動の一環として私見を語らせていただく」として、そのオペレーションの一端をついに明かした。

自衛隊1佐がこっそり明かす
ゴジラに鳥獣保護法準用も検討!?
「ゴジラがわが国の領海・領空に現れた段階で、防衛省情報本部は情報をキャッチしている筈です。内閣でも掴んでいるでしょう。あるいは米軍からも情報提供はあるはずです。そこでゴジラの属性について分析、検討がなされるはずです。これは内閣や他省庁でも行いますが、防衛省・自衛隊としても当然行います」

 この段階ではゴジラが、(1)どこの国にも組織にも属さない単なる巨大生物、(2)諸外国が軍事行動やテロ目的で放った巨大生物、(3)ISのようなテロ組織がテロを目的として放った巨大生物――のどれに当たるかで、その対応も変わってくるという。

「軍時行動やテロ目的で放った巨大生物なら、防衛出動の可能性も出てきます。しかしどこの国やテロ組織にも属さないそれならば、動物愛護法の観点からの問題も含めての対応も考えなければなりません。この場合は、わが国の領海・領空内に侵入した段階で、その外に追い出すことを目的とします」

 ゴジラが諸外国やテロ組織に属さない、単なる「巨大生物」「怪獣」の場合、たとえば東京湾にやってきても、わが国国民に危害を加えないようであれば、これは「駆除」の方向で対応するしかないというわけだ。1佐が続けて語る。

「いかにして、わが国領土に侵入させないかがポイントです。領海内で泳ぐ、もしくは歩いている段階で、陸海空の各自衛隊の航空機を用いて領海外へと誘導、ゴジラを駆除します。捕獲は現実的には難しいでしょう」

 巨大生物、怪獣であるゴジラといえども、諸外国が軍時行動やテロ目的で放ったものでなければ、いきなり殺処分するというわけにはいかないという。そこには法の壁が立ちはだかる。

「クマやイノシシのように、ゴジラは『有害鳥獣』に指定されていません。なので現状では捕獲はおろか、殺処分などもってのほかです。ただし、ゴジラがわが国領海内に入り放射火炎したならば、わが国国民に危害を加える恐れありとして、『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下、鳥獣保護法)』を準用して対応することになるでしょう」(前出・1佐)

 とはいえ、この鳥獣保護法が準用された場合でも、自衛隊が対応するまでにはクリアすべき課題がある。

「クマ被害の際、猟友会という狩猟免許を持った人たちが地方自治体から委託を受けて出動します。これは自衛隊や警察といえども、狩猟免許を持っていないという理由からです。ゴジラが現れた場合、たとえ形式的にでも、まず猟友会で対応できるのかどうかは議論されるでしょう。猟友会で対応できない、警察でも厳しいという話になって、ようやく自衛隊の出番という形が取られることになると私は見ています」(同)

 こうして法的な“お墨付き”が出てようやく、自衛隊によるオペレーションが展開される。問答無用で暴れ回るゴジラを目の前にして、そんなことをやっているヒマが本当にあるのか、一抹の不安を覚える話ではある。もっとも、もしゴジラが諸外国やテロ組織が「軍時行動」や「テロ目的」で放った怪獣ならば、わが国領海内に侵入した段階で即、自衛隊が対応可能だという。


まずはゴジラによじ登って作戦開始
上陸したら陸自主体の作戦展開に

 ゴジラが「諸外国やテロ組織が放った巨大生物・怪獣」であるほうが、自衛隊の素早い対応が期待できるのだが、この場合もハードルは高い。

「自衛隊法第76条の『防衛出動』です。ただし、これを行う場合には、内閣総理大臣は国会で承認を得なければなりません。もし国会で承認を得られない場合は、ただひたすらゴジラの行動をウォッチするだけです。自発的にゴジラが領海外に出て行ってくれれば、それで問題ありません。しかし領海から領土、とりわけ首都・東京に上陸されても、根拠なしに自衛隊は動けないのです」(統幕勤務経験のある自衛隊1佐)

 防衛出動について国会で承認を得られて初めて、自衛隊は行動を起こせる。「まず内閣、米軍などの情報、防衛省情報本部が得た情報を基にゴジラの行動を予測。領海内でその動きを封じ込めなければなりません」(同)。

 ここで登場するのが海自の精鋭・特別警備隊(SBU)と陸自の西部方面普通科連隊(西普連)だ。まず海自特別警備隊が先兵となってゴムボートで接近、ゴジラによじ登り暗幕をはるなどして「目と耳」を塞ぐ。それを西普連が、がっちりサポートする。

「特別警備隊と西普連が、ゴジラによじ登れば、今度は陸自・化学科部隊による化学兵器を用います。特別警備隊員が経口の形でゴジラに投入します。詳細は防衛機密ですが、ゴジラがそのエネルギーとする核を封じ込めるそれ、ということでご理解いただいていいでしょう」(同)


この間、空自の戦闘機ではゴジラの目を中心に機銃射撃、陸自第一空挺団では空からパラシュート降下、さらなる攻撃を加える。海自護衛艦隊では防衛省技術本部が研究・開発したという「特殊物質」を海中に散布、ゴジラの動きを鈍らせるという。粘着性の高い化学物質を用いてゴジラをがんじがらめにするのだ。

「わが国領海に入った段階では、海自と空自、そして陸自の精鋭部隊を軸としたオペレーションです。しかしこれをゴジラがかわし、首都・東京までやって来たとなれば陸自主体のオペレーションを展開しなければなりません」(同)

 まず東京都、神奈川県、千葉県といった首都圏の各地方自治体に、ゴジラ上陸に備え「防御施設構築」を行い、水際で打ち破るべく関東周辺の部隊がここに派遣される。その主力は陸自第1師団(東京都練馬区)になるという。

ゴジラ駆除の要点は
核エネルギーの封じ込め

「自衛隊法では、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得た上で、陣地など防御施設を構築できます。とはいえいくら国家火急の事案といえども、自衛隊がいきなり民間の土地家屋を接収して…というわけにはいきません。できるだけ、その民間私有地の持ち主を探し出し賃貸借契約を結び、それから防御施設構築を行うことになります」(関東地方の陸上自衛隊駐屯地賠償保障専門官)


大ヒット上映中の「シン・ゴジラ」。戦闘の要は、ゴジラの持つ「核エネルギー」だという点で、自衛官たちの意見は一致した ©2016 TOHO CO.,LTD.
 もっとも、この水際で集められた部隊はあくまでも「オペレーションのサポート部隊」(元統合幕僚監部・将補)に過ぎない。対ゴジラ戦での主力部隊はやはり初動から展開まで、ずっと陸自・化学科部隊である。

「核をエネルギーとするゴジラに対抗できるのは、この分野を専門とする化学科部隊しかありません。対ゴジラ戦では核攻撃への対応を応用し、これを殲滅します。駆除、捕獲という選択肢はありません」(陸自化学学校関係者)

 だが「核攻撃への対応の応用」というだけでは、あまりにも抽象的だ。具体的には何を行うのだろうか。「詳細は言えないが…。原子力発電を“止める”原理の応用と考えてもらえばいい。極めて単純至極なそれです」(化学を専門とする2等陸佐)

 以上が、対ゴジラ戦において、自衛隊が考えるというオペレーションのひとつだ。

 だが、元統幕勤務の1佐が語ったこのオペレーションに、元陸将補のひとりは、「化学部隊を軸としたオペレーションは国民に化学汚染の不安を抱かせるもの。到底納得できない」と真っ向から反対する。そして「自分ならゴジラの特性を踏まえ、かつ自国民が放射能被爆に怯えることのないオペレーションを組み立てる」という。

「東京湾にゴジラが近づいたならば、海中にいくつか爆弾を打ち込みゴジラの足元を滑らせる。その際、航空機ではゴジラの好きな餌をチラつかせてゴジラの目を引く。ゴジラが転べば、すかさず埋立地を作る要領でゴジラをコンクリートで固める。核融合をエネルギーとするゴジラだからこそ、後生のことまで考えたオペレーションが必要だ」(元陸将補)

 これは、いわゆる「石棺」作戦か。いずれにしても、ゴジラの持つ核エネルギーをどう封じ込めるかが、作戦の要となるという見解のようだ。

「防衛省はわれわれの敵」!
現場自衛官と防衛省の温度差も

 こんな調子で記者のふっかけた“架空の話”にも、制服組の現役・元職自衛官たちは、「私人の立場」と前置きをした上で事細かく質問に答えてくれた。だが防衛省本省の職員からは最後まで、具体的な話を聞くことはできなかった。

 実際にゴジラが現れた際、第一線部隊として投入される特別警備隊に所属していた隊員のひとりは、こう息巻いた。「たとえ架空の話でも、我々は想定しうる敵をどう倒すかを常に考えなければならない。それを示せない防衛省は敵だ――。安全保障は我々に任せてもらいたい」。

 防衛省が「敵」だとは穏やかではない発言だが、制服組、つまり現場自衛官と、事務方である防衛省職員のすれ違いが垣間見えた瞬間だった。脅威が迫り来れば、わが国の安全保障は待ったなしだ。新安保法制以降、その権限が縮小されつつあるといわれる防衛省と、これまでにないほど士気旺盛といわれる自衛官たちの意識の差が、この言葉に詰まっているかのようだった。

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以上引用

鳥獣保護法…(; ̄O ̄)
ゴジラの駆除か…!(◎_◎;)

そう簡単にはいかないよな…(−_−;)