熊本地震で多くの災害ボランティアが被災地支援に向かう中、関西と九州などを結ぶフェリーが、ボランティアらへの乗船料の割引を相次いで始めた。神戸の
ボランティアや東日本大震災の被災者、専門家らでつくる「『災害ボランティア割引制度』を実現する会」の要望などを受けた。
割引しているのは、航路が神戸-大分などの「フェリーさんふらわあ」▽大阪-北九州の「名門大洋フェリー」▽神戸-北九州などの「阪九フェリー」▽小樽-舞鶴などの「新日本海フェリー」-などの各社。
同会は2014年1月に発足。災害ボランティアの交通費や宿泊費の負担軽減制度の創設を目指し、全国で35万人の署名を集めた。今回、同会が働き掛けた
交通機関では初めて割引が実現。世話人代表の高橋守雄さん(67)は「遠くから支援したいという人も多い。35万人の思いに応えてくれた」と歓迎する。
さんふらわあは6月30日まで、災害ボランティアセンターなどで発行される「ボランティア活動参加証明書」を提示すれば、乗客だけなら5千円からと通常
の半額以下の料金となる。被災者も罹(り)災証明書の提示で同様の料金に。担当者は「少しでも被災地の力になりたい」と話す。
名門大洋フェリーは乗船時、活動場所などを書いたボランティア計画書を提出すれば2割引きに。担当者は「関西は阪神・淡路を経験している。復旧、復興を
加速させるには割引が必要だと決断した。この動きが広がれば」と願う。新日本海フェリーも一部期間を除き2割引き、阪九フェリーは3割引きにする。(高田
康夫)