018:ザ・トーキョー・タワーズ(東京都中央区)
何を持って一番「大きな」タワーマンションか、ということですが、wikipediaによると「ミッドタワー賃貸住戸部を含む総戸数2,794戸は、一団地として国内最大の戸数である」と表現されており、戸数として日本最大ということになります。高さおよび階数でも、都内におけるタワーマンションとしては一番となりますから、少なくともいろんな側面から最大規模のタワーマンションであることには違いありません。
かつて「団地」と表現されていたものは、4~5階建てのマンションが数棟になって連なっている光景がそれでしたが、現在では姿かたちが変わって超高層タワーマンションがその役割を担っているといっても過言ではないということでしょうか。
とにかくこの「ザ・トーキョー・タワーズ」が凄いところは、その圧倒的な存在感です。58階建てのマンションが2棟、しかも1棟あたり1,000戸を超える大型建築物が聳え立っているわけですから、まあ当たり前といえば当たり前なのですが、とにかく壮観としか表現の仕様がありません。
1階部分が24時間のスーパーマーケット(マルエツ)となっており、マンション周辺に人が多く行きかう姿が見られるのも特徴です。本マンション以外の周辺の住民も多く利用されているからでしょうが、とにかく2,000世帯を超える規模のマンションともなると、出入りする人もそれなりに多くなるということになるんですね。
スーパーマーケットのスポーツ施設のほか、認可保育所や歯科・内科などの各種クリニックも建物内に併設されているので、本マンション住民だけでなく周辺の人たちも利用する機会がありそうです。
その他、本物件の大きな特徴といえば、居住者専用のプールやフィットネスジム、ゴルフレンジなどのスポーツ施設を集めた低層棟(シーサイドアネックスと呼ばれています)が備えられていることが挙げられます。スポーツクラブを運営しているセントラルスポーツが運営支援をしており、きちんとスタッフも常駐している本格的なスポーツ施設が居住者専用というから、スケールの大きさが窺い知れるというものでしょうか。
非常に大規模で、かつ58階建てということで高さもありますが、圧迫感はそうある訳ではありません。それは、公開空地をゆとりもって設けられており、とくに花や樹木を多く配されていて、全体のプラニング精度の高さが推察されます。とくにマンションのメインエントランス階に設けられている空中庭園は非常にレベルが高く、非常に気持ちが良いです、お子さん連れの家族が散歩している姿が印象的で、子育て世代も多く入居できるマンションということも本物件の特徴の一つかもしれません。
立地面では、大江戸線「勝どき」駅から徒歩約5分という交通アクセスで、東京湾に面している場所にあります。本物件は、MID TOWERとSEA TOWERの2棟タワー構成となっていますが、SEA TOWER側がまさに東京湾に面しているということになります。SEA TOWER側には橋が設けられており、そこを越えると再開発が待たれる晴海エリアとなっています。
デザイン面に視点を変えると、規模感を踏まえて計算された設計がなされており、この観点からも高く評価できます。具体的には、グレー地をベースにして圧迫感を押さえながらも、ヨットの帆をイメージされたというフィン(曲線)がアクセントとなっており、遠目からのシンボル感も考えられています。近くでよく見てみると、このアクセント部分は突起状に構成されていることがわかります。非常に細かい芸だなあ、と思っていたのですが、なるほど、日建設計&山下設計でのコラボによるデザインとのことで、全体レベルの高さが窺い知れます。
振り返ってみると、賃貸も含めた総世帯約2,800という超大規模物件でありますが、スケールメリットが十分活かされていて、全体的に無理がない設計となっている印象が強いです。勝どきというエリアが住居として優れているかどうかは一旦置いておくとして、大江戸線「勝どき」駅に5分という立地、中央区アドレス、圧倒的な規模感とシンボル性、全体のプラニングの高さなどを考えると、マンション名の「ザ・トーキョー・タワーズ」もあながち名前負けではないというか言い得ているのではないか、と思えるほどレベルが高いと評価できます。
そういえば、本マンションが売り出されたのが竣工の3年も前からだったにも関わらず、販売開始から4ヶ月で約9割が売れたというのですから、非常に着目されていた物件だったということがわかります。リチャードギアを起用した広告も当時話題になりましたが、「東京で一番」のマンションにはそれくらいのネームバリューが必要だったということでしょうか。
あくまで個人的な意見に過ぎませんが、本物件を越えるようなタワーマンションは、これからはそうそう現れるものではないと考えています。それもそのはず、本物件のプラニングは1991年の土地取得からスタートしているとのことで、着工まで14年の歳月を要したことからも理解できます。現在発表されている計画の中で、本物件匹敵または凌駕すると推察されるものがあるかといわれると微妙なところが本音です。特に都心エリアではまとまった土地が取得しにくく、つまりタワーマンションの建設可能性が低いこととほぼイコールと言えます。
そのように考えると、中古マンション市場が活況というニュースがありましたが、ある種うなずける部分もあります。新築マンションに魅力を感じなければ、中古に、といういうのは自然な流れであるからです。この観点に立つと、非常によく設計されたマンションは将来においても高い人気を集めることができ、それはすなわち高い資産性を保つことにつながる、ということになるんですよね。ここが不動産の面白さなのかな、と筆者は考えているわけです。
【ザ・トーキョー・タワーズ】
○デザイン:★★★★☆(4)
○フォルム:垂直縦長ツインタワー型
○周辺との調和度:★★★★☆(4)
・売主:住友商事、オリックス不動産、東急不動産
・所在地:東京都中央区勝どき6丁目
・竣工年:2008年1月
・階数:地上58階、地下1階
・高さ:最高部193.5m
・総戸数:2794戸(施設全体)
内訳-1461戸(MID TOWER:分譲648戸、賃貸813戸)、1333戸(SEA TOWER:全戸分譲)
・延床面積:383,345.47㎡(施設全体)
・基本設計:日建設計、日建ハウジングシステム
・実施設計:住友商事一級建築士事務所
・建物・ランドスケープ監修:山下設計
・インテリアデザイン監修:日建スペースデザイン
・建築確認機関:財団法人日本建築センター
・施工:前田・大成建設共同企業体(前田建設工業、大成建設)
・備考:MID TOWER、SEA TOWER、シーサイドアネックス(低層棟:居住者専用スポーツ施設)から構成
【本日のユーミンチューン】
『Hello, my friend』
・アルバム「THE DANCING SUN」(1994年発表)に収録
・94年7月に25枚目のシングルとして事前リリース
ザ・ダンシング・サン/松任谷由実/松任谷由実

¥3,059
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ずばり『Hello, my friend』を、本物件のユーミンチューンに挙げたいと思います。本ブログ始まって依頼の有名曲を敢えて取り上げました。
日本で一番規模が大きなタワーマンションに相応しいユーミンの曲となると、安直という指摘があるかもしれませんが、売り上げ枚数で勝負するしかないだろう、と考えたからです。
ユーミンが発表しているオリジナルアルバム(ベストアルバム除く)の中で最も売り上げ枚数が多いのは、94年発表の「THE DANCING SUN」で、約220万枚の売り上げなのだそう。このアルバムにはNHKの朝ドラ主題歌だった『春よ、来い』やTBSドラマ「私の運命」主題歌『砂の惑星』などタイアップ曲が多く収録されていますが、中でもシングル曲としてもヒットした『Hello, my friend』が本アルバムの中では最も有名でしょう。CXのドラマ「君といた夏」の主題歌だったこともあり、約140万枚を売り上げたことからも類推されます。
ということで、今回は『Hello, my friend』をセレクトしたいと思います。上記にあるような有名度合いと、ユーミンの曲としてのメジャー感が、本物件と最もシンクロすると考えたからに他なりません。
付け加えるとすると、曲の全体の印象から、海を彷彿とさせられるわけですが、本物件のタワー名称が「SEA TOWER」と冠されているように東京湾に隣接している点もシンクロしていると感じました。本物件敷地からちょうどお台場方面も良く見えるのですが、この曲のイメージとリンクするように思います。
Destiny 君はとっくに知っていたよね
戻れない安らぎもあることを Ah...
017:ファミール月島グランスイートタワー(東京都中央区)
あ、ちなみにいつものようにブランドについて軽く解説すると、「グランスイート」シリーズは、総合商社としてよく知られる丸紅が手がけるマンションブランドとなっています。しかし供給戸数としてはあまり多くないので、残念ながら「グランスイート」ブランドがある一定の市民権を得るというところまでは行っていないという現実もあります。
さて、この物件の特徴は、ズバリ2点に集約されると思います。1点は外観デザイン、そしてもう1点は駅まで徒歩1分という立地条件、です。
外観デザインは、いわゆるデザイナーズマンションに分類されるようなカラーリングで、一般的なタワーマンションとは性格を異にしています。アメリカのポストモダンを代表する建築家「マイケル・グレイヴス」によるデザインとのことで、日本で有名なところでは「ハイアットリージェンシー福岡」のデザインを担当しているようです。
少なくとも個性あるデザインではあるので賛否両論があるでしょうが、奇を衒いすぎているわけでもないので、個人的には好印象です。タワーマンションだからこその個性をどこに持つか、ですが、このように外観デザインに持つことだって選択肢の一つであり、デザインにこだわりを持つことは大切なマインドだと考えます。また、デザインとはいえ、そのカラーリングが大きな特徴であり、建物そのものはシンプルに仕上げていることも好感が持てます。
タワーマンションというと、最近ホテルライクの暮らしを提唱する物件が少なくありませんが、本物件はデザイン面から来る雰囲気を含めて、ホテルライクに仕上がっているという印象です。周囲との調和という意味では少し浮いている感は否めませんが、良い意味で個性を発揮しており、周辺の建物とは差別化できているでしょう。それほど大規模な物件ではないですが、圧迫感もなくシンプルにまとまっており、印象的なタワーマンションという意味では評価に値するのではないでしょうか。
【ファミール月島グランスイートタワー】
○デザイン:★★★★☆(4)
○フォルム:垂直縦長タワー型
○周辺との調和度:★★★☆☆(3.5)
・売主:丸紅株式会社(新築分譲時)
・所在地:東京都中央区佃2丁目
・竣工年:2002年9月
・階数:地上30階
・高さ:95.7m
・総戸数:242戸
・延床面積:24,856.4m²
・施工:前田建設工業、三平建設
・外観デザイン:マイケル・グレイヴス
【本日のユーミンチューン】
『夕闇をひとり』
・アルバム「昨晩お会いしましょう」(1981年)に収録
昨晩お会いしましょう/松任谷由実

¥2,500
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今回は、非常に左脳的で感覚的な選曲です。歌詞での内容というよりは、ちょっと上質な感じだったり、でも少し変わったサウンド感だったり、というのが本物件にマッチしているかな、ということで、1981年発表のアルバム「昨晩にお会いしましょう」に収録されている『夕闇をひとり』を取り上げました。
あまり印象がありませんが、当時シングルカットもされたようで、宮崎美子への提供曲だったようです。約30年も前の曲とは思えないサウンドが、ユーミンらしいというか、洗練されているというか、そんな上質さを感じさせます。
ユーミン全体の中では少し地味なアルバムですが、その中でキラリとサウンドとして光っているという点が、今回の物件とちょっとリンクするんじゃないか、という感じですね。
016:パークタワーグランスカイ(東京都品川区)
本物件は、五反田と大崎のちょうど中間に位置する場所にあります。JR山手線の両駅からおおよそ徒歩6分という好立地な条件です。五反田であれば都営浅草線および東急池上線が利用できますし、大崎であればりんかい線や埼京線・湘南新宿ラインが利用できることを考えると、徒歩10分以内で両駅利用が可能というのは、利便性が高いでしょう。
五反田と大崎、と言っても、目黒川沿いの大変静かな場所に位置しています。特に一般的な五反田から想像されるような喧騒イメージは皆無と言って良いでしょう。そういえば、公立の小中一貫校のパイオニアとして知られる日野学園がすぐそばにあります。
さて、この「パークタワーグランスカイ」ですが、総戸数が736戸という最近では久々の大型タワーマンションです。本物件の周りにもタワーマンションが乱立していますが、存在感は圧倒的と言えます。
デザイン面は、三井らしいアースカラーを基調としたいわば王道的なデザインとなっていて、さらに存在感を高めているとも言えます。総戸数700戸を超える大型開発と堂々たるデザインによって、本物件周辺のどこからでも認識ができ、いわばランドマーク的な存在になっているというところでしょうか。
ここからはあくまで個人評ですが、本物件をどう捉えるかは多面的に見る必要があると感じています。敢えて言ってしまうと、すでに周辺がマンション銀座と言えるほどタワーマンションが乱立していることと、周辺がある程度開発されたあとであるということ、また本物件自体に目玉と言えるほど大きなインパクトがあるわけではない、という点を租借できるかどうかなのかな、と考えています。
とはいえ、屋上が開放されていて、ベンチが設置されていたり、ジャクジーが楽しめたり、また屋内の共用施設としてフィットネスジムやライブラリーを揃えるなど、総合点数ではマイナスになる部分が少ないとも言えます。これら共用空間は、ブルガリやボッテガなどの店舗を手掛けるギャルドの監修なのだそうで、細かいところへの配慮がニクいところです。
最終的には、この東五反田のエリアがどれだけ好きか、ということに尽きるのかなと思います。交通利便性が高く、生活面でも不便を覚えることは少なそうです。また都心であるにも関わらず喧騒からは距離を置けることを考えても、マイナス面は少ないでしょう。さらには、五反田・大崎エリアは将来的にも発展がのぞめるので、街の成長という観点でも楽しみではあります。全体的な総合評価としては、非常にレベルが高い物件と言えるのかもしれません。
【パークタワーグランスカイ】
○デザイン:★★★☆☆(3.5)
○フォルム:垂直縦長タワー型
○周辺との調和度:★★★★☆(3.5)
・建築主:東五反田二丁目第2地区市街地再開発組合
(売主:三井不動産レジデンシャル)
・所在地:東京都品川区東五反田2丁目
・竣工年:2010年6月予定
・階数:地上44階/地下2階
・高さ:152.90m(最高部)
・総戸数:736戸(事業協力者住戸123戸含む)
・延床面積:93,231.47㎡
・備考:街区全体は「東京サザンガーデン」という名称になっています。
【本日のユーミンチューン】
『ただわけもなく』
・アルバム「Wings of Winter, Shades of Summer」(2002年)に収録
Wings of Winter, Shades of Summer/松任谷由実

¥2,500
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いくつか選曲で迷いましたが、最終的に合致するイメージの総合点ということで、『ただわけもなく』を選びました。
2002年に発表されたアルバム「Wings of Winter, Shades of Summer」に収録されていますが、オリジナルアルバムにも関わらず7曲しか収録されておらず、ユーミンの数あるアルバムの中ではちょっと異色感が否めません。しかし、収録されている曲一つずつのクオリティは高く、どちらかといえば上質感漂うアルバムとなっているのが印象的です。
その中でも、今回取り上げた『ただわけもなく』は、昔ながらのユーミンらしいサウンドを感じることができ、いわば王道感すらあります。ちょっと調べてみましたが、CMのタイアップ曲であったものの、シングルカットはされていなかったようです。個人的にはシングルカットされていたのではないかと誤解してしまったいたほど、ユーミンらしさではしっくり来ています。「パークタワーグランスカイ」が三井らしく、王道感も含めてしっくり来ているのとまさに同じですね。
青い空に出会ったら ヨロシクとつぶやいて
きみがどこにいても 想い出せる
ほんの近くに
015:ブリリアマーレ有明タワー&ガーデン(東京都江東区)
ざっくりと説明すると、有明は、お台場と豊洲の中間的な場所に位置しています。「ブリリアマーレ有明」の最寄り駅である、ゆりかもめ線「有明テニスの森」駅からは徒歩5分、「お台場海浜公園」駅からも徒歩12分で、「有明テニスの森」駅から「豊洲」駅まではゆりかもめ線で5分という場所から、おおよその位置を想像していただけることでしょう。
さて、いつものようにブランドについても触れておきたいと思います。「ブリリアマーレ有明」の「ブリリア」については、安田財閥系の大手不動産ディベロッパーである東京建物のブランド名となっており、最近では竹中直人をキャラクターにしたCMが流れているので、耳にしたことがある人も多いかもしれません。
そして、「ブリリアマーレ有明」の「マーレ」については、プロパストという新興ディベロッパーが自社の物件に比較的多く冠していたブランド名でした。「でした」と過去形になっているのは、プロパストを敢えて新興と表現したことと関連しますが、米国サブプライムローンに端を発する世界同時不況によって起こった国内の不動産市況が悪化が原因で、債務超過に陥っており、現在不動産の販売を行っていないからです。
実は、本物件の販売当初は、売主として、このプロパストも入っていましたが、いつの頃からはプロパストが抜けてしまっています。
なぜくどくどとこんな説明をしたのかは、本物件にプロパストが関わっていたということに関連します。実はプロパストが手がける物件は、デザイン性が高いことでよく知られており、その流れを本物件でも汲んでいるからです。
本物件を語るにおいて、避けて通れないのが最上階33階に用意された豪華共用設備です。ゲストルームやフィットネスジムにとどまらず、住民専用のラウンジ&バー(バーテンがいてお酒がきちんと提供される)や展望スパ、そして25mプールまで用意されています。そして、デザインは、グランドハイアット六本木などのデザインで知られるスーパーポテトを起用したといいます。まさにマンションの中に詰め込めるものはすべて詰め込んだ、という感じでしょうか。エントランスも、エレベーターが備わっており吹き抜け空間が外からでも観察できます。
本物件の販売当初、あの世界的なスターであるマドンナをキャラクターとして起用したCMで話題になりましたが、いろんな意味で「贅を尽くした」といわんばかりのマンションとなっています。
これは戦略的で、有明というこれから開発されていくという場所に1,000世帯以上の巨大なタワーマンションを建設するのだから、唯一無二となるようなド肝を抜かすようなものにしなければならない、ということなのだと推察します。
建物のデザインは至ってシンプルです。33階建てですが、1,000世帯を超える超巨大マンションであるため、どちらかといえば立方体に近いフォルムをしています。これは、タワーマンションでは珍しいことです。1フロアの戸数が多くなるので、エレベーターから最も距離がある部屋の人は移動が大変かもしれませんね。
一方、公開空地がゆったりと設けられており、敷地内に広大な庭園が広がっているのは壮観です。大規模開発だからこそ成し得ることだとつくづく思い知らされます。
有明というこれから開発が進んでいく場所に、その開発を見守りながら住んでいくというスタンスであれば、この物件は非常に魅力的です。豪華共用施設をぞんぶんに楽しみながら、変わりゆく街を眺めていくのは格別の過ごし方かもしれません。しかし、まだ街として開発されていないため、最寄り駅が発展しておらず、生活面で不便を覚えることも多々あるように推察されます。また、特に東京湾側にはオリンピック選手村用地として、大きな土地が更地のまま残っており、どのように開発されるか不確定な要素が多く、結果、東京湾側の眺望が確保できなくなる可能性も十分あります。これらをリスクと捉えるか、街の発展と成長と捉えるかは人それぞれでしょうが、それをも超越する価値を見出せるかどうかが、本物件選択におけるポイントとなるでしょう。
個人的には、このようなコンセプチュアルな物件が存在することには肯定的です。お世辞にも利便性が高いとは言いづらいこの地域だからこそ、これくらい個性が強烈な物件が必要であるというプラニング側の姿勢は評価に値するでしょう。
【ブリリアマーレ有明タワー&ガーデン】
○デザイン:★★★☆☆(3.5)
○フォルム:立方体寸胴型
○周辺との調和度:★★★☆☆(3)
・建築主:東京建物、伊藤忠都市開発(およびプロパスト)
・所在地:東京都江東区有明1丁目
・竣工年:2009年3月
・階数:地上33階/地下1階
・高さ:119.170m(最高部)
・総戸数:1085戸(店舗4戸、保育園1戸、非分譲2戸を含む)
・延床面積:126,187.70㎡
【本日のユーミンチューン】
『未来は霧の中に』
アルバム「OLIVE」(1979年)に収録
OLIVE/松任谷由実

¥2,500
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今から30年以上も前に創られた曲ですが、街が発展していく様子を冷静に描いていると捉えたとき、非常に本物件とフラッシュバックするものが多いように思えました。本物件に隣接する土地が、東京オリンピック招致の際の選手村として確保されていることも、非常にリンクすると感じました。その隣のエリアには、揉めている豊洲新市場もひかえており、まさに未来は霧の中、というタイトル通りだなあと思ったわけです。
それにしても、いつも感嘆させられるのは、30年以上も前に創られた曲にも関わらず、ちょっと新しいと感じる要素すらあるというか、その洗練されたアレンジが秀逸だなあと思います。ユーミンの声はさすが30年前といった感じで、ノンビブラートがズンと響いて、若い感じが伝わってくるのとはまた異なる違和感があります。
東京のまちはオリンピックひかえ
まるで絵のように時が過ぎた
(中略)
そのうち誰かが火星に降りても
もう 愕かないでしょう
014:タワーレシデンストーキョー(東京都台東区)
いつものように突然ですが、タワーマンションの楽しさの一つとして、その規模感だからこそ成し得る、スケールが大きなデザインが挙げられると思っています。スケールが大きなデザイン、と一口に言っても、これまた様々な訳ですが、たとえばこんなこと、というケースに当てはまるのが、今回紹介する「タワーレジデンストーキョー / Tower Residence TOKYO」かなと思います。
正面玄関が備えられている方向から見ると、扇形のデザインとなっており、裏側から見ると全く違う印象を受けるという、一風変わった物件です。上空から見ると、ちょうど円柱を1/4にしたような形状をしています。
このデザイン自体の評価は少し置いておくとして、このような試み自体は評価に値すると思っています。タワーマンションというだけあって、その存在感が重要で、数あまたあるマンションの中でもタワーマンションという種類を選択したのであれば、「ああ、あの物件がそうだよね」というシンボル性がなければ、真のタワーマンションにはならないのではないかと思います。
この観点で言うと、少なくともこういった形状のマンションは珍しく、シンボル性は十分にあると思います。カラーリングも正面側と側面で使い分けられていて、正面側がアースカラーを貴重にし、側面はダークブルーとグレーというカラーリングとしては落ち着いた印象です。植栽計画もきちんとされており、圧迫感が出ないようプラニングされている様子が伺えます。
とはいえ、本物件が位置するのは、JR秋葉原駅から徒歩約8分程度の下町風情が残る場所であり、「浮いている」感があることもまた事実です。周囲が落ち着いた雰囲気なので、唐突感がぬぐえないと言えば良いでしょうか。
でも、これは考え方次第で、どうせ町並みから唐突感がぬぐえないのであれば、とんがったシンボル性があるデザインを、という考え方もできます。少なくとも、インパクトという面では他のタワーマンションよりも分があるわけで、その観点から言うと象徴的な物件には成り得ていると言えるでしょう。
【タワーレジデンストーキョー / Tower Residence TOKYO】
○デザイン:★★★☆☆(3.5)
○フォルム:扇形垂直縦長タワー型(側面は平面)
○周辺との調和度:★★☆☆☆(2.5)
・建築主:オリックス不動産、トーワ綜合システム
・所在地:東京都台東区台東1丁目
・竣工年:2008年2月
・階数:地上37階/地下1階
・高さ:124.80m(最高部)
・総戸数:260戸
・延床面積:33,598.85㎡
・設計:入江三宅設計事務所
【本日のユーミンチューン】
『タイムリミット』
アルバム「DAWN PURPLE」(1991年発表)に収録
DAWN PURPLE/松任谷由実

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本物件については、比較的選曲の軸みたいなのが決まっていたのですが、候補がいくつかあって絞り込むのに少し苦労しました。しかし、本物件の特徴である(特に)デザインにおける多面性、というところに解釈を置いて、ユーミンの曲の中でも少し異質で多面性を感じる曲ということで、今回は『タイムリミット』としました。
歌詞と曲だけでなく、そのアレンジ性も含めてユーミンワールドと言えると思っているのですが、その意味ではアレンジの幅は、プロデューサーである松任谷正隆氏の手腕にかかっていると言えます。ほぼ100%近いユーミンの曲を彼がアレンジしているので、当然といえば当然なのですが。
そして、アレンジ面での幅の広さを感じさせるのが、この『タイムリミット』です。『タイムリミット』が収録されているアルバム「DAWN PURPLE」の前作「天国のドア」に収録されている『MAN IN THE MOON』にも通じるのですが、ユーミンの中では比較的珍しいアップテンポのナンバーです。でも、軽々しいだけでなくどこか重厚感さえある不思議な曲で、良い意味でバブルの香りがします。冒頭からピアノが使われているんですが、ちょっとしびれてしまいますよね、この完成度の高さは。
実を言うと、この曲を初めて聞いたのは、まだ中学生くらいで相当若かったのですが、当初ピンと来なかったというか、どちらかというとあまり好きな部類の曲でなかったのを記憶しています。まあ、中学生とかそのあたりの若造にこのサウンドを理解しろ、というのが難しいことなのかもしれませんが。そして、いつの頃からか、このアレンジの奥深さに感嘆したというか、こういう大人なアレンジも理解できるようになったのでした。そういう意味で、時代時代で同じ曲でも感じ取る意味合いが変わってくるというのも、もしかするとユーミンワールドの特徴なのかもしれません。まあ、これはユーミンに限ったことでは無いでしょうけれども。
サウンドから受ける印象と本物件には、少し距離感があることは認めざるを得ないですが、本物件のデザイン面から来るシンボル性と、ユーミンの数ある曲の中でもアレンジによるシンボル性という意味では根底で通じるものを感じざるを得ません。
あなたはきっと降参するわ
やがてあえなく降参するわ
013:グローリオタワー巣鴨(東京都豊島区)
「グローリオ」というのは、セコムが展開する住宅事業に関するブランドです。セコムが展開するだけあって、安心・安全な住宅を供給することをモットーとしているようですね。マンションの選択において、目に見えにくい大切な要件の一つとしてセキュリティが挙げられますから、その意味ではセコムが展開している物件、といわれれると説得力を持つのかもしれません。
さて、そんなセコムによる「グローリオタワー巣鴨」ですが、最寄としては都電荒川線の新庚申塚が一番近く、都営三田線の巣鴨駅からも徒歩5分程度の場所に立地しています。周囲は昔ながらの商店街があり、下町のちょっと懐かしい雰囲気が楽しめる場所です。
誤解を恐れず率直に言ってしまうと、いわゆる従来型のマンションをタワーにしてみました、という印象が強い物件です。特に行政とのコラボレーションによる再開発事業というわけでは無いようです。一般的な公開空地は設けられていますが、これといって特段取り上げるほどのものでもありません。
デザイン面では、アースカラーを貴重としたごく一般的な仕上がりとなっています。「おお、これはマンションじゃないみたいに洗練されている」といった類ではない、ということですね。特に大通りに面している正面側は、少しデザイン面からは面白みに欠ける、という印象が個人的に持ちました。
しかし、ちょっと捉え方を変えると、こういうことでも良いのかもしれません。タワーマンションと言えども、マンションには変わりなく、従来型のマンションが単に階数が増えました、というのはある意味目から鱗というか、灯台下暗しのように思えました。人それぞれ求めるものが違うわけですから、そんな外観に特徴があったり、華美な施設がなくても十分、という人も居るんだろうなと思ったわけです。
と考えると、本物件が立地している土地に何かの理由でどうしても住まないといけない、という類の理由がある人にとっては十分選択の余地はありますが、いわゆるタワーマンションとしてのステイタス性は先に述べたように一般的なマンションのそれとは大きく違わない印象なので、シンボル性に欠けてしまうと言わざるを得ません。本物件が立地している周辺の土地に明るくないので詳細は不明ですが、都電が走っているような閑静な場所に、突如タワーマンションが現れることによる違和感があるのではないかと思ってしまいました。
これまでに持論を何度か展開してきましたが、やっぱりタワーマンションってシンボル性が大切だと思うんですよね。でも、それは資産性という観点から見た場合であって、費用面を含めて大規模展開によってのメリットを何かしらで享受できるのであれば、こういう形もアリなのかもしれません。
【グローリオタワー巣鴨】
○デザイン:★★☆☆☆(2)
○フォルム:垂直縦長タワー型(背面は若干変形)
○周辺との調和度:★★☆☆☆(2)
・建築主:セコムホームライフ
・所在地:東京都豊島区巣鴨4丁目
・竣工年:2006年11月
・階数:地上29階/地下2階
・高さ:99.24(最高部)
・総戸数:190戸(住戸184戸、店舗3戸、管理事務室1戸、集会室2戸)
・延床面積:17,873.79㎡
・設計:A・JRM設計
【本日のユーミンチューン】
『リアリティ』
アルバム「acacia(アケイシャ)」(2001年発表)に収録
acacia(アケイシャ)/松任谷由実

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いつものように選曲には今回も苦労しましたが、個人的に今回の物件を見たときのファーストインプレッションであった「違和感」を軸にしてみました。
ユーミンの曲の中には、コーラスなどとして他アーティストをゲスト的に迎えているものがあります。久保田利伸をコーラスにした「Happy Birthday to You ~ヴィーナスの誕生」や、岡田真澄とデュエットをした「恋人と来ないで」、また加藤和彦とのデュエット「黄色いロールスロイス」など、マイナーなものを含めて意外とあったりします。
その中で、今回取り上げた『リアリティ』は、元m-floのヴォーカルだったLISAを、コーラスとして迎えているコラボチューンです。編曲とのバランスなのか、そもそもLISAとのアンマッチなのか原因は不明ですが、なんだかこの曲を聴いていて「違和感」を覚えるのだけは確かなんですよね。もしかすると、単にユーミンにはこういうテンポで、ライトな曲が似合わないだけなのかもしれませんが。
でも、よくよく聴いてみると、まあこれはこれで新しい試みというか、08年にSoulJaとコラボした『記念日』に繋がっていくというか、実験的には実りがあるのかなとも思えます。ちなみに、『記念日』は、89年のシングル『ANNIVERSARY』のカヴァー曲で、SoulJa×MISSLIMとして発表されました。このMISSLIMというのが、実はユーミンだった、という分かりやすいオチでした。まあ、こういう新しい発見に繋がったという点でも、本物件にマッチする曲なのかな、と思ったわけでした。
Um what's goin'on, what's in this world
誰も答えられない
Um what's goin'on, Um what's in my mind
私だけのリアリティ
012:大崎ウエストシティタワーズ(東京都品川区)
そして、今回取り上げるのが、この副都心に制定されている「大崎」エリアに、最近できたJR大崎駅直結のツインタワーマンション、大崎ウエストシティタワーズです。
「シティタワー」シリーズは、住友不動産によって展開されているブランドですが、最近のシティタワーラインナップは壁一面をガラスで覆ってしまうガラスカーテンウォールによる「ダイナミックパノラマウィンドウ」がウリとなっています。建築技術の向上により、オフィスビルで展開されているような、足元から天井までをガラスカーテンウォールすることが可能になったのです。外観も非常にシャープでシンボル性が高く、マンションらしからぬ印象を与えることができるというデザイン性が一つのポイントです。
そして、「ダイナミックパノラマウィンドウ」のもう一つのポイントは、タワーマンションの醍醐味である眺望を存分に楽しめることにあります。床面から天井までがガラスになっているので、バルコニーなどで遮られることなく景色を満喫することができるんですね。そのことを住友不動産では「ダイレクトスカイビュー」と呼んでいるようですが、タワーマンションならではの特徴を良く捉えた上でのプラニングと言えます。
さて、ちょっと住友不動産の回し者のようになってしまいましたが、今回紹介する大崎ウエストシティータワーズもそんなガラスカーテンウォールを纏った物件です。
本物件の特徴は、主に2つに集約されてしまいます。1つは、ペデストリアンデッキによって「大崎駅」直結徒歩3分の好立地であることと、ガラスカーテンウォールによるシャープな外観での再開発ツインタワーであることです。
副都心に指定され、短期間で急遽成長している感が否めないわけではありませんが、ThinkParkに隣接し、また隣もソニーの新社屋が建設中など、オフィス機能としても発展を遂げている大崎エリアで、駅まで濡れずにアプローチが可能というのは非常に大きなポイントです。実際に駅から歩いてみると、ソニーの新社屋工事によって一部完成されていない部分はありますが、気持ちよくアクセスすることに気づかされます。
もう一つは、ガラスカーテンウォールによって生み出されるシャープなツインの外観です。知らないが見ると、これがマンションだとはまずわからないはずです。ツインタワーであることが、よりシンボル性を高めているといえるでしょう。
マンション内には、セブンイレブンをはじめ、歯科や和食屋さんなどが開業していました。スーパーが併設されていないのが生活面では玉に瑕なのでしょうが、戸越や五反田にもほど近いので、生活面で不便ということはまず無いでしょう。近所を散策して初めて知りましたが、マンションが立地しているこの周辺は非常に閑静な低層の住宅街となっていて、落ち着いた場所となっています。その意味では、再開発とはいえ突如できあがった街というわけでもなく、安心感があるでしょう。
ただ、個人的に本物件を評価するならば、少し辛い点数を付けなければならないかな、と思ってしまいます。それは、周囲がビルに囲まれてしまっているという立地上の条件によります。本マンションのおおよそ北方向にはThinkParkがそびえたっており、また東方向にソニーの新社屋が建設中で現在ぐんぐんと成長中です。さらに本物件はツインタワーのため、お互いの見合いのことを含めて考えると、周囲が高層ビルに囲まれてしまっているという現実がそこにはあります。
視界が抜けている方角は、残念ながら都心ビューではなく、基本的には低層住宅を望む部屋が多いということになってしまうので、タワーマンションならではの眺望はそれほど楽しむことができないのではないか、と思っています。それでは、せっかくの「ダイレクトスカイビュー」も宝の持ち腐れになってしまうのではないかという懸念ですね。
あくまで個人の主観でしかありませんが、タワーマンションはそのシンボル性と超高層だからこそ楽しめる眺望、そしてその規模感から享受できるさまざまな施設面での利便性が大切だと考えているのですが、本物件においては超高層だからこそ楽しめる眺望、という点においては制約があると思っています。
大崎駅から徒歩3分という非常に希少な立地条件にも関わらず、大変惜しい、と思います。再開発によって非常にキレイに仕上がっているので、余計にそう感じてしまいます。まあこれはもっぱら逆説的で、眺望が四方に渡って確保されているのであれば、駅直結という立地はまず難しいとも言えるわけで。いやあ、痛し痒しというのはこういうことを指すのだなあと痛感させられるケースであります。
【大崎ウエストシティタワーズ】
○デザイン:★★★★☆(4)
○フォルム:垂直縦長ツインタワー型
○周辺との調和度:★★★☆☆(3)
・建築主:大崎駅西口中地区市街地再開組合
(売主:住友不動産、NIPPOコーポレーション、住友商事、東急不動産)
・所在地:東京都品川区上大崎2丁目
・竣工年:2009年8月
・階数:地上39階/地下2階(W棟・E棟とも)
・高さ:128.78m(W棟・E棟)
・総戸数:1084戸(施設全体:再開発組合員等取得住戸236戸含)
・延床面積:129,092.51㎡(施設全体)
・設計:UG都市建築
・その他:業務棟「大崎ウエストシティビル」を併設
【本日のユーミンチューン】
『只今前線突破中』
アルバム「U-miz」(1993年発表)に収録
U‐miz/松任谷由実

¥3,059
Amazon.co.jp
先にあえて記しておくと、今回の取り上げた物件、基本的にはとても良い物件だと思っています。全体のプラニングも良くされているし、デザイン性も高いし、完成度も高い。でも、都心方向をビルで囲まれているというタワーマンション、という位置づけが個人的にはどうしても引っかかってしまうんです。
ということで、マンションを仮に「戦争」と見立ててみたら、この物件が置かれている状況をユーミンの曲で表すとすると、この曲が当てはまるかな、ということで今回は『只今前線突破中』にしてみました。
サウンドとのマッチング性は低いものの、ユーミンサウンドとしての王道感というか曲のアレンジとしての上質感みたいなものは本物件に通じるところがあります。とは言え、今回は歌詞のマッチ、ですね。
副都心としての大崎がより一層着目されている中で、果たしてツインタワーズとガラスカーテンウォールによるデザイン性、そして駅直結3分という「スペック」でどれだけ戦えるのか見物だな、という意味をこめてみた、という感じでしょうか。
この曲『只今前線突破中』で思い出すのは、アルバムが発売された頃に展開されていたツアー(U-live)での光景です。たしかこの曲がツアーのオープニング曲で、迷彩服を纏ったユーミンが地上数メートルからゴンドラに乗って降りてくるところから始まるという演出がカッコ良かったのを覚えています。このライブを観てから、曲に対する印象が変わったのが印象的でした。ユーミンの曲って、たまにこういうことってあるんですよね。アルバムで聴いているだけより、ライブでの演出を踏まえると、また別の側面が見えてくるっていうことが。
そういえば、マンションも、同様のことが言えるときがありますよね。パンフレットや勝手に持っている土地イメージと、実際に足を運んでみるとまったく違う印象だということが。
もう あとにはひけない 激しいバトルの
火蓋は切られたの
Never give it up 撃ちかえすたび
炸裂してる Lonely heart
011:プラウドタワー千代田富士見(東京都千代田区)
早いもので、新年度が始まってから1ヶ月が経過してしまいました。世間ではゴールデンウィークですが、ここでは淡々とユーミンの曲とともに、タワーマンションを紹介していきたいと思います。
さて、突然ですが、少しマンションのブランドについて記してみたいと思います。これまで、三井不動産が手がける「パークシリーズ」について紹介をしたことがありますが、今回は野村不動産が手がける「プラウドシリーズ」です。
野村不動産は、野村證券系の総合不動産会社ということだけあってか、三井不動産や住友不動産と比較すると、少し尖がったイメージが強い物件が多いという特徴があります。立地条件と希少性、さらに内装やグレードなど、アッパーなものを手がけようという意志を感じ取るものが多いんですね。野村不動産が単独で手がける物件に対して、「プラウドシリーズ」のネーミングを冠するブランディングは、2002年ごろからスタートしたようです。もちろん、三井不動産の「パークシリーズ」にも、住友不動産の「シティシリーズ」にもそれぞれ特徴や良さはあるのですが、野村不動産の「プラウドシリーズ」には一貫した意志のようなものが見えてきます。
そんな「プラウドシリーズ」の中でも、代表格に据えられるであろう物件が、今回紹介する「プラウドタワー千代田富士見」です。
JR飯田橋駅から徒歩2分という好立地に聳え立つ地上38階建てのタワーマンションで、この富士見地区の再開発によって、飯田橋プラーノの一角に誕生しました。飯田橋って、個人的にはゆかりがあまり無い土地ですが、JRのみならず地下鉄でのアクセスが異様に良い場所なんですね。JRも総武線・中央線の2路線が使えるわけですが、地下鉄は有楽町線・東西線・南北線・都営大江戸線の4路線も使えるということで、非常にアクセス性が高いことが見てとれます。
建物デザインとしては、都心のタワーマンションに見られがちな無難な仕上がりとなっています。アースカラーで統一され、必要以上の主張をしない落ち着いたカラーリングは飽きが来ないことでしょう。飯田橋という土地柄、そんなに派手な様子がふさわしいとも思えず、そういった意味では周囲に調和しているとも考えられます。
この「プラウドタワー千代田富士見」は、一帯が「飯田橋プラーノ」という再開発によって誕生しています。オフィス棟、プラーノモール、そして「プラウドタワー千代田富士見」で構成されていますが、プラーノモールには生活利便施設が入っています。コンビニだけではなく、スーパーマーケットやパン屋さん、ラーメン屋やネパール・インドダイニングなんてのも入っています。ここまでは良いのですが、個人的にはパチンコ屋さんや居酒屋さんまで入居してしまっているので、これはちょっと複雑かな、と。まあ、マンション棟とは分かれているので、気にする必要はないでしょうが。中途半端で使いづらい施設ばかりというよりも、賑わいがあって反対に良いのかもしれません。
ここ数回取り上げている物件同様、本物件も、竣工前に売り出され、竣工の2年も前に完売してしまったケースの物件です。最高倍率23倍、平均倍率でも2.9倍だったことから、その人気の高さが伺えます。千代田区アドレスかつ生活利便施設併設で、理想的なタワーマンションライフを謳歌できることを考えると、費用面で許せるのであれば候補に挙がるはずです。幾度となく言っていることですが、やはり人気物件のポイントは、そのシンボル性と希少性に他ならないということになるでしょう。
【プラウドタワー千代田富士見】
○デザイン:★★★★☆(4)
○フォルム:垂直縦長タワー型
○周辺との調和度:★★★★☆(4)
・建築主:富士見二丁目北部地区市街地再開発組合
(売主:野村不動産)
・所在地:東京都千代田区富士見2丁目
・竣工年:2009年3月下旬
・階数:地上38階/地下2階
・高さ:129.60m
・総戸数:414戸(総販売住戸は306戸)
・延床面積:7,812.45㎡(施設全体)
・設計:山下設計
・その他:「飯田橋プラーノ」に立地
【本日のユーミンチューン】
・『遠雷』
・アルバム「DAWN PURPLE」(1991年発表)に収録
- DAWN PURPLE/松任谷由実
- ¥3,059
- Amazon.co.jp
今回の選曲も至難の業でしたが、最終的に選んだのは、『遠雷』です。本物件が放つ本格感と上質感、そして落ち着いた感じと一番マッチしている曲だと感じたからです。
改めて感じるのは、この『遠雷』が収録されている「DAWN PURPLE」近辺のユーミンは、いろんな意味でノリに乗っていたんだなあ、ということです。「DAWN PURPLE」の1作前が「天国のドア」で、日本初のダブルミリオンを記録していましたから、セールス的にも成功を収めている時期になりますね。「DAWN PURPLE」に収録されている曲はひとつもシングルカットされていませんが、非常に多彩です。アップテンポのものからバラードまで、非常にバランス良く配されています。
注目すべきは、アルバム自体にコンセプトを設け、キャッチコピーを開発し、ツアーとともに伝播していくといういわば「ユーミンシステム」にあります。アルバム「DAWN PURPLE」も、セカンドバースデイをテーマに、ヒナトゥボ大噴火によって関東平野でも観測された深暗紫色に染まった幻想的な夜明けからネーミングされているといいます。そういえば、その昔、「ユーミンほどマーケティングに長けたアーティストはいない」と言った人がいましたが、その絶頂期ちょっと前の作品が、この「DAWN PURPLE」になると言えます。
1991年といえば、ちょうどバブルがはじける直前の頃だと思います。サウンド的にも、イケイケドンドン感がベースにはあるのですが、少し上質な感じだったり、民族的なアプローチを試みたり、今になって考えるといろいろな試行錯誤の様子とも見て取れます。その中でも、ひときわ落ち着いた雰囲気で美しく情景を描いているのが、今回取り上げた『遠雷』だと思っています。
特に、ドラマや映画の主題歌になったわけでもなく、またCMで起用されることもない曲ではありますが、この曲の描く世界観は秀逸です。野村不動産のプラウドブランドにも通じる曲だと言えるのではないでしょうか。
ああ 遠来の音 キャノンボールみたい
新しい夏 もうそこに来てるのに
010:エアライズタワー(東京都豊島区)
突然ですが、名前(ネーミング)って難しいな、って思います。マンションの名前も、なんだか理想ばかり高くて物件とちぐはぐなものもあったり、マンションらしからぬ名前になってしまったり、時には聞いている方が恥ずかしい壮大な名前をつけてしまうことだってあります。それそれ!ズバリ言い当ててる!というものは、世の中にどれくらいあるのでしょう。
今回紹介するのは、きちんと物件の印象がネーミングされた稀有なタワーマンション、東池袋に位置する「エアライズタワー」です。
この物件も、いわゆる「タワーマンションバブル期」に、竣工1-2年前に売り出されたにも関わらず、即完した非常に人気が高かったマンションです。500戸を超える大規模タワーマンションながら、JR池袋へも徒歩圏、地下鉄有楽町線東池袋駅直結の再開発物件で、スーパーマーケットをはじめ商業施設が併設されています。池袋と聞くと騒々しいイメージがありますが、若干離れていることもあり、いわゆる池袋というイメージからは無縁の場所に立地しています。
着目すべきは、本物件の外観デザインだと初めて現地に足を運んでみて感じました。500戸以上の大規模物件ではありますが、圧迫感を持たせないよう白をベースに、アクセントカラーとしてブルーを配しているのが印象的です。マンションにありがちな形状ではありますが、マンションぽくしないようにカラーリングできちんとデザインされているということなんですね。これは、非常によくプラニングされていると言えます。
主観的な意見に過ぎませんが、「エアライズタワー」とは、本物件の特徴を名付けられた非常によい名前だと感じました。特に都心に聳え立つタワーマンションは周囲への圧迫感を与えがちですが、「エアライズ」というネーミングに恥じず、デザイン面で圧迫感を極力排除しようという意志を感じられます。まさに空に向かって伸びやかに聳えている、そんなタワーマンションとしての勇姿がそこにはありました。
本物件が人気な点も、これまでのエントリーで述べてきたとおり、再開発によって生まれた大規模物件であり、かつ駅直結という利便性にあると思います。池袋という立地をどう捉えるかは人それぞれですが、地下階にスーパーマーケット(大丸ピーコック)があり、1階には飲食施設や医療施設、また美容院など生活面で役立ちそうな店舗・施設が入っていることを考慮すると、豊島区近辺に居住を考える人にとっては魅力的なはずです。さらに、池袋駅まで徒歩圏という利便性は非常に高いと言えます。
筆者の記憶が正しければ、新築での売り出し時、当時としても比較的坪単価は抑え目で分譲されてたはずです。竣工前の販売ということもあるでしょうが、駅直結かつデザイン性が担保されている本物件はシンボル性も高く、総合的にみて資産性は高い物件だと思います。ホント、このような少し先の未来を見据えても資産性を感じられる物件が、ここ最近少なくなってしまったことが残念で仕方がありません。
【エアライズタワー】
○デザイン:★★★★☆(4)
○フォルム:変形トライアングル縦長タワー型
○周辺との調和度:★★★★☆(4)
・建築主:池袋四丁目市街地再開発組合
(住友商事、東京建物、伊藤忠都市開発)
・所在地:東京都豊島区東池袋4丁目
・竣工年:2007年2月
・階数:地上42階/地下2階
・高さ:148.247m
・総戸数:555戸
・延床面積:99,154.59㎡(施設全体)
・設計:日本設計
・その他:ライズシティ池袋内に立地
【本日のユーミンチューン】
『Blue Planet』
・アルバム「A GIRL IN SUMMER」(2006年発表)に収録
- A GIRL IN SUMMER/松任谷由実
- ¥3,000
- Amazon.co.jp
今回は比較的曲選びはスムースにいきました。物件を目の当たりにして、物件名である「Air Rise」がぴったりと印象として当てはまったからに他なりません。ユーミンの曲で、この「Air Rise」な感じの曲は・・・と思い巡らしたところ、いくつか曲が浮かびましたが、一番しっくりきたのが「Blue Planet」でした。
特にシングルカットもされているわけでもなく、また比較的最近に発売されているアルバムということもあり、それほどセールスが高いわけでもないので、そういう物性面での位置付けとはズレてしまいますが、今回はとにかく物件と曲の印象が近い、ということに尽きます。
それにしても、本チューンが収録されているのは比較的マイナーなアルバムですが、amazonでのレビューは非常に高いですね。ある意味、ユーミンらしい、ということなのでしょうか。確かに、象徴的な曲がいくつかあって、バラエティに富んでいるという意味では、ぜいたくなアルバムだなとは思いますが。そんなアルバムのオープニングチューンであるこの曲『Blue Planet』によって、アルバムタイトルが「A GIRL IN SUMMER」になったのだそう。そんなアルバム全体の印象に影響を及ぼすこの曲と、マンションにおけるデザイン性を考える上で参考になる今回の物件はどこかでリンクするものなのでしょう。
求めてたHeaven
めざしてたParadise きっとどこかにはある
白い光のナイフでそびえるウォールを垂直に滑ろう
青いこの惑星(ほし)を蹴って
宙(あおぞら)を抱いて宙返りしよう
009:パークコート赤坂ザ・タワー(東京都港区)
善し悪しは別として、不動産業界において3A、つまり青山・赤坂・麻布は別格とされるわけですが、このエリアにおけるタワーマンションは数が限られています。タワーマンション建設には、ある程度のまとまった土地が必要とされることに起因しますが、超都心の3A地区には、そんなまとまった土地がなかなか現れないからですね。しかも、500戸以上の大規模タワーマンションというと、さらに数が絞られてきてしまいます。
この業界に詳しくない人であれば、突如赤坂近辺に高いビルができたもんだと思われるであろうタワーマンションが、今回取り上げる「パークコート赤坂ザ・タワー」です。
赤坂といえば、TBSの再開発により赤坂サカスが生まれ、にわかに注目度が高まっているエリアです。都心にありながら比較的古い街並みという印象が強いですが、再開発により徐々に生まれ変わっています。「パークコート赤坂ザ・タワー」も、薬研坂南地区再開発と呼ばれていたように、再開発により誕生しました。ここ、その昔は日本コロンビアがあった場所なんですね。コロンビア通りと言われるとピンと来る方も多いかと思いますが、この高いビルは実はタワーマンションなのです。
「薬研坂」と言われるように、まさに急勾配の高い坂に立地していますが、公開空地がゆったりと設けられていて、豊かな木々の中にビルができているという印象の緑豊かな物件です。このあたりの土地になじむように上手くプラニングされており、マンションらしからぬ風貌に品格を感じることができます。
賛否両論があるでしょうが、いかにもマンションです、という風貌のタワーマンションより、本物件にようにオフィスビルかどうか一見悩むくらいのデザインセンスがあるほうが、都心に佇むタワーマンションとしては価値が高いように思います。しかも、壁面の細かいところまでデザインされているところに、センスを感じます。
大通りからは奥に位置しているので、都心の喧騒に悩まされることはありません。むしろ坂の上に位置しているので、高台にあり、場所としては静かで落ち着いています。立地条件としては青山にも程近く、赤坂サカスはもちろん、六本木ミッドタウンまでが徒歩圏、最寄り駅が千代田線赤坂駅や丸の内線・銀座線赤坂見附駅が徒歩10分以内と申し分ありません。むしろ、赤坂の繁華街はそれなりに賑やかなので、坂の中腹にあることで喧騒から一線を画しているというメリットと捉えることができます。
何をもって高級マンションとするかは難しいところですが、立地条件と、その佇まい、また規模感を含めたシンボル性という観点から言うと、本物件は非常にバランスが取れており、点数を高くつけたくなります。本物件のコピーが「The Flagship.」となっていましたが、まさに赤坂におけるタワーマンションの象徴と表現しても過言ではないと個人的には思います。
【パークコート赤坂ザ・タワー】
○デザイン:★★★★☆(4.5)
○フォルム:扇形垂直縦長タワー型
○周辺との調和度:★★★★☆(4.5)
・建築主:赤坂四丁目薬研坂南地区市街地再開発組合
(売主 三井不動産レジデンシャル、新日鉄都市開発)
・所在地:東京都港区赤坂4丁目
・竣工年:2009年6月下旬
・階数:地上43階/地下3階
・高さ:157.25m
・総戸数:518戸(事業協力者住戸55戸含む)
・延床面積:71,300.53㎡
・設計:大成建設
・その他:旧日本コロンビア跡地
【本日のユーミンチューン】
『ハルジョオン・ヒメジョオン』
・アルバム「紅雀」(1978年発表)に収録
- 紅雀/松任谷由実
- ¥2,500
- Amazon.co.jp
この曲だ、と思いました。曲のイメージから言うと、本物件はそんなにも渋い感じではないのですが、なんと言うかタワーマンションとしての本格感と、この『ハルジョオン・ヒメジョオン』から感じられる本格感が、個人的にしっくり来たんですね。もう今から32年も前に発表された曲ですが、なんとも新鮮に聴こえる部分もあり、不思議です。
ユーミンは、デビュー当時、旧姓である「荒井由実」を名乗っており、正隆氏との結婚により一度は家庭に落ち着いたとされます。で、1年5ヶ月のブランクを経て、結婚後初めて発表されたアルバムが、『ハルジョオン・ヒメジョオン』が収録されている「紅雀」です。
このアルバム「紅雀」に収録されている曲は、ユーミン本人曰く「もっとも地味な作品」というほど全体的に渋い曲が多いのですが、その中でも『ハルジョオン・ヒメジョオン』は指折りです。しかし、だからこその奥ゆかしさというか、存在感というか、上質なイメージが強い曲なんですね、個人的に。
非常に渋い曲ではありますが、アレンジも秀逸です。ある意味で、ユーミンと旦那となった正隆氏の天才コンビだからこそなし得たこと、という印象すらあります。当時24歳でこの曲を書き上げているわけですから、当時としては末恐ろしかったのではないかと推察されます。「松任谷由実」としての原点はここにあったと考えると、素晴らしい再出発を切っていたように思います。かつての日本コロンビアが生まれ変わった「パークコート赤坂ザ・タワー」の姿と、こういう点からもイメージが重なってしまうのかもしれません。
川向うの町から宵闇が来る
煙突も家並みも 切り絵になって
哀しいほど紅く
夕陽は熟れてゆくの
私だけが変わり みんなそのまま




































































