岐伯は続けて言いました。
「胸部にできる出来物を、『井疽』といいます。
大豆のような形で、
出来てすぐ三、四日目で早く治さないと、
下りて、お腹に入ってしまうので、
治らずに、七日で死にます。
前胸部にできる出来物を、『甘疽』といいます。
色は青くて、形は穀物の粒々や、カラスウリのようです。
いつも寒熱で苦しみ、
いそいで治療すれば、寒熱は去りますが、
寒熱去っても、十年で死にます。
死にそうになってから膿が出ます。
脇にできる出来物を、『敗疵』といいます。
敗疵は女性の病です。
出来物に灸をすると、出来物が化膿します。
治療は、イタチ草の草と根をそれぞれ一升を刻んで、
水一斗六升で煮て、三升にします。
これを無理やり飲ませて、厚い服を着て釜の上に座らせ、
汗をかかせて、足まで汗をかくと治ります。
治ると、中に赤い小豆のような肉が出来ます。」