王様は言いました。
「私は以前、とても高い台に上った時に、
階段の途中で振り返ると、
目がくらんでしまい、そこから立てなくなって、
腹ばいになったまま階段を進んだのだ。
自分で、これはおかしいと考えて怪しく思い、
一人で、目をつぶって、心をおだやかにして、気を定めてみたが、
しばらくしても、治らなかった。
目が回ってくらんでいるのに一人きりだし、
髪をゆるめて、両膝で立って上半身を伸ばしたり俯いたりしたが、
再び下を見てたら、全然治っていなくて、
でも、儀式をしないといけなかったので頑張って
続きをしていたら、いつのまにか治っていた。
これは何だったのだろうか?」
岐伯は言いました。
「それは、苦手な場所だったので、
精神魂魄が散じてしまったのだと思います。」
王様は言いました。
「そうなのだろうか?
私は東苑に行くと、いつも目がくらんでしまうが、
東苑から帰ったら、治るのだ。
私は、東苑が苦手なのだろうか?」
岐伯は言いました。
「違います。
心によい喜ぶ場所でも、
神が嫌がる場合があるのです。」