王様は言いました。

 

「どうして、鍼と九が応じているのだ?」

 

岐伯は言いました。

 

「聖人が見つけた天地の法則は、

一から九までありました。

これはすべてに当てはまるので、

国も、九つの野に分けられています。

 

九という数は、自乗すると、八十一で、

万物の基本である黄鐘※の数、八十一になります。

(黄帝内経の素問・霊枢の篇の数も八十一です)

 

鍼と法則が合っている様子は、

ひとつずつお話いたしましょう。

 

一の法則は、天です。

天は、陽であり、

人では、肺です。

なぜなら、肺は五臓の蓋といわれるように、一番上に在るのと、

肺が最も表層にある皮を主しているからです。

治療は、皮の浅い所にある邪を出します。

鍼の形は、頭が大きく、末は鋭くなっていて、

深く入ってしまわないように工夫されています。

鍼の名前は、鑱鍼といいます。

長さは一寸六分で、鍼先の五分だけが鋭く、

布を縫う針のようです。

体と頭部に熱がある治療に用います。

 

二の法則は、地です。

人での地は、肌肉です。

肌肉は傷つけてしまうと、気が出て尽きてしまうので、

鍼の形は、筒になっていて、末は丸い形で、

肌肉を傷つけることが出来ないように工夫されています。

鍼の名前は員鍼といいます。

長さは一寸六分、鍼体は筒型、鍼先は卵の丸い形で、

見た目は、わた布を縫う針と同じ形です。

分肉の間に邪気がある治療に用います。