岐伯は言いました。

 

「王様、どうか私に、

もう少し踏み込んだ解説を

お話しさせてください。」

 

王様は言いました。

 

「おお、聞きたいぞ、

では、本に書いて、

霊蘭の書庫に収めよう。

これもまた、むやみに出せないように、

厳重に守らせるので、話してくれたまえ。」

 

岐伯は言いました。

 

「では、お話いたします。

 

人というものは、

天と地に応じていて、

四つの季節とぴったりひっついます。

 

まずは、人と天地と照らし合わせると、

応じている様子について、解説いたします。

 

地では、

下部に湿ったぬかるみがあると、

上部には葦や蒲が生えます。

つまり、生えている植物を見れば、

その下がどんな様子か分かるということです。

これと同じように、人の体も、

外から見るだけで、

気の多い少ないを知ることが出来ます。

 

天の

陰陽の力が変化すると、寒い暑いになります。

暑いと、

草木を成長させる恵みの雨は、気化して上に集まり、

草の根が保てる水は減ってしまいます。

人の体でも、同じように、

気は体表に集まるので、皮膚はゆるみ、腠理が開き、

汗がたくさん出て、皮膚が湿めって潤っていますが、

体の深部の血と気は減っています。

 

寒いと、

地面は凍り、水は氷りつきます。

流れる川の水が、氷ってしまうと動けません。

地に穴を開けるのも、凍ってしまうとできません。

人の体も、同じように、

皮膚は縮んで、腠理は閉じて、気はその中に在ります。

汗が出ず、血気は充満し、肉は堅くなり、渋ります。

穴を開けれないのと同じく、鍼が上手な医者でも、

四肢の厥逆を取ることできません。

血脈が凍ったように凝結して堅くなったのは、

鍼を打っても、通れるようにできず、柔らかくできません。

 

川の工事をする人が、

必ず天が温かくなるのを待って、

氷が解けて、水が流れるようになってから、

地に穴を開ける作業をするように、

人の治療も同じなのです。」