岐伯は続けて話します。

 

「一つ目、

癰(できもの)を作る邪の刺し方は、

腫れ上がっている時には、鍼をせずに、

ゆっくりと長い時間を焦らずに待ちます。

膿が出て鍼が出来ない場合には、

別の方法を使いやりなおします。

最初に膿があった所の腫れがひっこめば、

腫れて平らではない所は後に散って無くなります。

癰(できもの)が、陰経でも、陽経でも、

経脈の通る所にあるものは、

兪穴を取って寫します。

 

二つ目、

勢いが大きな邪の刺し方は、

邪の勢いが日に日に小さくなるように、

まず、有余を奪い泄して減らします。

その後に、塞がった道を削り取って虚を増やし、

通れる道を作って邪を外に出します。

勢いが大きな邪に鍼をする時には、

肌肉に直に触れ、よく視て

正気を間違って出さないようにします。

勢いが大きな邪の多くは、浅くに在りますので、

鍼は三陽経の分肉の間を刺します。

 

三つ目、

力の小さい邪の刺し方は、

まず、不足している正気が増えるように、

補法をして、日に日に大きくしていきます。

正気がきちんとたくさんあれば、

邪気が害を及ぼすことはありません。

次に、力の小さな邪がある所を見つけて、

正常と邪気の境目から鍼を刺し入れます。

全ての刺すべき鍼が目標の深さまで届けば、

邪気は正気の中を突き進んで外に行くことはできず、

やがて、そのまま自然に消滅してしまいます。

鍼は、勢いの大きな邪の時よりもやや深くの

分肉の間を刺します。」