岐伯は続けて言いました。

 

「腸覃は、

寒邪の気が、腸の外側に居座っているため、

やってきた衛気とぶつかり合い、通れなくなった気が、

蔓でぶら下がるように内側にくっつきはじめます。

やがて、悪気が起り、

余分な肉の盛り上がりが生じます。

最初は、鶏の卵ぐらいの大きさですが、

だんだん少しずつ大きくなります。

長いと一年以上かかって、

胎児ぐらいの大きさになりますが、

月経はちゃんと来るので、妊娠ではないと分かります。

手でお腹を按すると、堅く、押すと移動します。

石瘕は、

子宮に生じる病で、

寒邪の気が子宮の入り口に居座って、

閉ざされ、塞がれているため、気が通れません。

そのため、外に出すべき悪血が出せず、

凝固した古い血が中に留まって、

日に日にどんどん大きくなり、

まるでお腹に赤ちゃんがいるようです。

この病になるのは女の人だけです。

月経が予定の時が来ても出てこないので、

治療をして、古い血を出るようにします。」

 

王様は言いました。

 

「膚脹や鼓脹のような大きなお腹に、

鍼は刺してよいのか?」

 

岐伯は言いました。

 

「はい、まず、その脹の原因である血絡を寫し、

その後に経脈を調えます。

治療で大切なのは、刺して血絡の血を出して、

邪気を去らせるということです。」

 

王様は、お腹の大きな人を見かけたら、

きっと触らせてもらうのはできないので、

どの病か考えてみよう、と思いました。

 

(王様と大きなお腹 終)

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※赤ちゃんがいるかのように大きなお腹になる病

素問40で「伏梁」という病が出てきましたが、

この篇では出てきませんでした。

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読んでくださりありがとうございました。