王様は岐伯に言いました。

 

「なるほど、

病の重さは顔に現れることから、

揆度とは、顔を見て病の重さを見分ける方法だな。

 

では、次に、奇恒について話してくれ。」

 

岐伯はうなずいて、言いました。

 

「はい、王様。

奇恒とは、奇の病、正の病、どちらであるかを見分けることです。

 

正の病とは、邪による病

奇の病とは、邪によらない病で、陰陽のバランスの崩れで起こります。」  

 

王様は、前の話に出てきた、かたむいた陰陽の天秤ばかりを思い出しました。

そうです、あれが、奇の病のひとつです。(王様と医者5

 

岐伯は続けて言いました。

 

「奇の病か、正の病か、見分けるのは、はじめに寸口の脈を診ます。(王様と脈6

 

足が痺れて力が入らず、立ち上がれずに這っていても、

脈が正しく打っていれば、 

病の原因は邪が入ったことであり、正の病です。

 

しかし、正の病でも、邪が中にこもって出ていかなければ、

熱が出て、体が弱り、死にます。」

 

正といえば、良いように思い ますが、

そういうことでは無いようです。

 

岐伯は続けて言いました。

 

「脈が、表か裏の、どちらかだけしか打っていなければ、

陽気が消えていますので、

治しようがありません。

 

しかし、脈が衰えていても、表と裏の両方が打っていれば、

血が失われているだけなので、

治療で治すことが出来ます。」

 

脈の話は、かしこい王様でも難しいと言っていますが、

分からなくても、どんどん触 ってください。

そうすれば、いつか分かると思います。

 

岐伯は続けて言い ました。

 

「脈の、始めと終わりが無く、短く中だけしか分からないのは、

陰と陽の気がともに絶しているので、死にます。

 

しかし、陰と陽の作用が反対になって起こっている病なら、

それを元に戻す治療法はあります。」

 

王様は、岐伯に聞きました。

 

「陰と陽の作用が、反対になるとは、どういうことだ?」