僕の足取りは軽く、気分は最高だった。


韓国で初めて褒められたからだ。


ゲームではあったが僕はうれしかった。


・・・僕、射撃の才能あるのかな・・・


・・・韓国は射撃場があったはず・・・


・・・今度巧に連れて行ってもらおう・・・


勘違いするほどだった。


ゲームセンターからでるとまだ辺りは明るかった。


僕は腕時計に目をやった。


「まだ13:00かぁ」


「少しお腹も空いてきたし一度帰るか!」


外食してもいいと思ったが僕にその勇気と


自信はなかった。


今回は前回と違い明るいので迷子になることなく


巧のマンションに帰りつけた。


僕はマンションを見上げた。


・・・何度見てもデカいマンションだ・・・


自分の家でも無いのに、自分がお金持ちになった気分


になった。


・・・悪くないな・・・


マンションに入る際に声を掛けられた。


「あの!すみません!」


聞きなれないが聞いたことのある女性の声だった。


僕は声のした方向に振り向くまでに、その声の主が


誰だか検討はついた。


・・・彼女か!?・・・


「はい?」


僕は振り返り言った。


やっぱり彼女だった。


やはり綺麗だ。今日は変装しているのかサングラスを


掛けていた。


それでも僕にはすぐわかった。


「あの、すみません!巧さんのお友達の方ですよね?」


話しかけられた。僕が初めて彼女に話しかけられた。


「はい!そうです。」


無駄に大きな声を出してしまった。


彼女は少しビクッとなった。


・・・やべ!声がデカすぎた!!・・・


僕は一度落ち着こうと浅い深呼吸をしてから


「すみません、そうですよ。」


と言い直した。


ニコっと笑う彼女。


安堵感なのか、僕のリアクションが面白かったのかは


わからないが、笑顔もかわいい。


・・・かわいいなちきしょう・・・


高級マンション前で韓国no1女優と日本人学生という


似つかわしくない構図ができた。



僕は家を出て行動を起こした。


・・・韓国に来てもう1か月・・・・


僕の滞在期間はあと1か月だった。


韓国語の勉強は日本でもしていたし


巧にみっちり教えてもらいかなり上達していた。


・・・何か、何かをしてスキルアップしなきゃ・・・


僕は目標がないまま韓国に来ていたことを


思いだした。ただのドラマの影響で来たのだ。


・・・しまったなぁ。いざとなったら何をしていいのやら・・・


優柔不断な若者の見本みたいな僕だ。


しばらく町をぶらぶらしていた。


相変わらず字は読めない。


・・・同じアジア圏なのにな・・・


フラフラ歩いているとゲームセンターを見つけた。


「おお!ちょっと遊んでいくか!!」


スキルアップの事などすでに忘れ、お店に入った。


ハングル・ハングル・ハングル


まったくわからないが見た目でなんとなく


わかるものも多々あった。


僕の得意なゲームはガンシューティングゲームだ。


そのお店にもそれはあった。


小学生ぐらいの子供が遊んでいた。


・・・なぜこんな時間に、小学生?・・・・


「あっ、今日は日曜日か!!」


その子の近くでゲームが終わるのを待っていた。


・・・この子なかなか上手だな・・・


子供が終わるのを待って20分


やっと終わった。


・・・この子すごくうまかったな・・・・


その子は僕の存在に気づき、得意げな顔をして


場所を僕に譲った。


・・・このガキちょっとムカつくな・・・


大人げない僕がでた。


僕はコインを入れゲームを始めた。


僕は100発100中の命中率でゲームを進めた。


先ほどゲームをしていた子供も口を空けて


見ている。


・・・ふふふ、すごいだろ・・・


僕は子供がゲームオーバーになったところまで進んでいた。


少し敵の数が増えた。


・・・・少々厄介なとこだな・・・


しかし僕には問題なかった。


あっという間に全面クリアーを達成。


命中率は実に95%だった。


「お兄ちゃんすごい!!」


「君やるな~」


「このゲームクリアした人始めてみたよ」


などなど、いつの間にか後ろには人だかりができていた。


僕は有頂天だった。


「ありがとうございます。」


僕は素直に嬉しかった。


僕は数分だがこのお店のヒーローになった。


・・・悪くないな・・・


しかし実用的なスキルアップには繋がらなかった。

次の日僕はボーっとしていた。


彼女の事をずっと考えていた。


・・・また会いたいな・・・


「憲太!俺仕事行ってくるから!!」


巧が廊下を通りすぎなが声をかけてきたが


僕は気づかなかった。


「お~い!ケ・ン・タ君!!聞いてます??(笑)」


「えっ?!あ~いってらっしゃい。」


「お前ボーっとしすぎ!今日は少し遅くなるからメシは

 適当にくってろ!!」


「あぁ。わかった」


「じゃあ、迷子になるなよ(笑)」


「ならないよ!いってらっしゃい!!」


「はいは~い」


ガチャ


ドアの空く音が聞こえ巧は仕事に行った。


僕は適当に朝ごはんを済ませソファーに座った。


ドスン!!


・・・さてと、どうしますかね・・・


僕はTVを付けた。


テレビではなんとか理解できるようになってきた


韓国語が流れていた。


しかし僕の耳には入らない。


完全に上の空だ。


僕は煙草に火をつけた。


「このままじゃダメだ!!」


僕は煙草を消し、服を着替え家をでた。