前回の続きだが

電車内などで、奇声を発してたり、独りごと言う大人子供を見ても
身体的にハンディのある人を見ても

そちらの方へ冷たい目を向けないでほしいのです。

過剰な「大変ですねえ」という同情や関心も
一時的な場所では無用
ただ、さりげなく
知らないふりしつつ暖かく見守ってあげてほしい。

お母さんは、息子さんが他者へ近寄ろうとするたびに
これまでの長い人生、謝るのが当たり前になってるかのように頭を下げ続けてた。

条件反射のように「すみません。」「すみません」と。

しかし
周りの態度が解せないというか許しがたい。
露骨に嫌な顔して席たった若い女性
マツエク200本はしてる?そのまま宝塚の舞台に立てそうなバサバサの目で障害者から離れるあんたの方が変!
と言いたかった。

お母さんは、もう慣れっこになってるのか
感情が麻痺してしまったのか
歯を食いしばるかのように
横一文字の口で詫び続けた。

私は自分の子供時代の衝撃的体験を思い出した。
幼稚園からの帰り道、お迎えの母と歩いてたら
向こうから片足のない人が歩いてきた。
「ママ、あの人足がないよ。」
指差した私に母の平手打ちが飛んだ。
「指さすんじゃないの!見ないの!
なりたくてなったんじゃないの!」

今の私なら、路上で体罰親を見たら通報するだろう。
体罰は、いかなる理由も通らない。
私の母も父も子供に手をあげる人ではなかった。

しかし、この日
普段なら父親に「ママが怒った。ぶった。」
と告げ口しそうなもんだが
黙ってた。

それほど、三歳の私に
自分が悪いのだと自覚させる強烈な出来事だった。
その後の価値観を育んだきっかけとなった。

イギリスでは朝の子供向け番組で
障害者も登場させる。
私は見てなかったのだが
ある日、日本人駐在員のお母様が、
「幼い頃から、世の中にはいろんな人がいて
みんな一緒というのを、幼い目に慣れさせてる
ようです。
やっぱり、イギリスには勝てないと主人と
話してるんです。」
以来、私も見るようになった。

確かに、成熟社会イギリスで
障害者に冷たい目を向ける人を見たことは
一度もなかった。

そして

ロンドンで私がベビーシッターをしてた障害児の
駐在員家庭は

夏の休暇で日本に一時帰国するたびに
我が子が遭う仕打ちに耐えられず

任期を終えて日本帰国辞令が出た時
退社の道を選ばれた。

現在、ロンドンにお住まいである。