「イギリス人には、どの国の国民もかなわない。」
それほどの品格と絶賛するベルギー在住ガイドさんの言葉が
ベルギー添乗中のツアコン仲間からLINEで送られてきました。
ブルージュという世界各国からの観光客を受け入れてきた上での
感想なのでしょう。

先日、セントジョンズウッドでランチした日本人女性四人
一同深くうなずく。
この四人、独身の私以外は
それぞれ英国人夫、イタリア人夫、日本人駐在員夫
と、立場も配偶者の国籍もバラバラですが
共通するのは世界各国に30年近い在住経験があるということ。

イギリスしか知らずに文句ばかり言ってる人や
盲目的に日本が一番と思い込んでる人など
客観性に欠けた人とは、一線を画す
先輩方です。

このお宅へ向かうバスの中でのことでした。
リッチモンドからパトニー行きのバス337番に乗ると
最終地クラパム経由で南東方面へ帰る東欧系の人達が
毎回のように「小銭がないから払えない!」と
(なら、なぜ乗ってきた?)運転手を困らせ
これまた毎回、数名のイギリス人が立ち上がって
「これ使って」と運賃を差し出すのです。
問題は、この東欧系の人たちが貧しげではなく
リッチモンドやイーストシーンのチャリティショップ(ものすごく良い物ばかり)で
山盛りの買い物をした袋を下げてるということです。
つまり、そう逼迫した人たちではないということですね。

同乗してた日本人の若いきれいなお嬢さんたちの
「あーあ、常習犯なのに、毎回イギリス人騙されてバカだよね。」
「私たち日本人は絶対あげないもんね。」
と勝ち誇ったような声が頭越しに聞こえてきました。
残念だけど、日本人らしい会話ですね。

かと思えば、私の前列のフランス人夫婦の夫が
ポケットから小銭を出してあげようとしたイギリス人のおじいちゃんを制して
「彼らをこれ以上甘やかしちゃだめです。
毎回同じ手を使ってます。」

すると、おじいちゃん静かに微笑んで
「皆わかってるんだよ。
分かってて騙されてるんだよ。
苦しいから、やってるんだろうから。
(おじいちゃん、違うって!!)」

底抜けの人の良さにあきれつつも
ひれ伏したくなりました。

かなわない。
絶対に。

ここに、世界中からの移民たちが、どんなにヒースローで
厳しい質問を浴びせられ、
挙げ句、追い返されても追い返されても
イギリスを目指す理由がある。
なぜ、既に不法入国に成功してるドイツやイタリア、フランスなど
同じ先進国のヨーロッパに安住しようとせず
空港での強制送還という危険を犯してまで最終目的国をイギリスにおくのか
なぜイギリス批判ばかりしてる日本人達に限って
帰国せずしがみついてるのか
答えをみた気がします。

「優しいから」
「生きていけるから」
とてもシンプルで、けれど得難いものなのでしょう。

今日もイギリスでは
タトゥーを入れた怖いお兄さんから
本人もまだ子供のような学生までが、
もれなくバギーや車椅子の人達を条件反射のスピードで手伝っています。





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