今日は、2011年の復活祭最終日でしたね。
イースター、イタリア語でパスクァといいます。

おすすめの旅として
2005年、イタリア・スルモナでの感動体験をお伝えします。

(以下、2005年のブログより)
スルモナはローマからペスカーラ方面へ列車で約二時間。
一般的に旅行者にはあまり知られていない小さな町です。
私自身も、今回こういう機会があるまでは名前さえ知らなかったぐらい。
イタリアの魅力は、
ローマやフィレンツェといった文化の香り高い町はもちろんのこと、
こういう小さな町の普通の人々の日常生活の中に息づいているように思います。
人々が純朴で温かい。
ガイド役は、この町に来るきっかけを与えてくれたスルモナ出身の愛称ビット。
彼の奥様トシ子さんが今回のお客様の友人でらしたことから
このツアーが実現しました。
「スルモナのイースターパレード(パスクァ)は素晴らしいから
一度見にいらっしゃいよ。」
当初、行ってもいいかなぐらいの気持ちで企画したツアーでしたが
結果、言葉を上回るものを頂きました。

キリストが亡くなった金曜の夜、
厳かなキリストの棺を見守る人々の群れにまじり
一年ぶりの町の人々との再会を喜ぶビット夫妻。
三歩歩けば友人、知人が声をかけてくる。
驚いたことにその殆どが親類縁者だという。
まるで一昔前の日本の村社会のようです。

翌日彼の運転するミニバスであちこちの知り合い宅を訪ねるのだけど、
初対面の私達を自宅に招きいれ、料理を振る舞い、別れ際に涙ぐむ
感情過多ともいえるほど人間味あふれる彼ら。
ワイン工場をたずねた時は世界一の賞を獲ったこの工場の中でも
選り抜きの一本を開けて頂きすっかり恐縮してしまう。
帰りにはお礼にワインでも買いましょうねと皆さんとお約束してたのに
既に我々全員にお土産ワインが用意されていました。
わざわざ休暇中に工場を開けてくれ、一円もお金を受け取らず
ここまでしてくれる彼らのホスピタリティには、
ただただ感謝でした。

その後はアグリツーリズモで農家自家製のご馳走を倒れそうなほど頂く。
(実際、私は気分悪くなって車で休ませてもらった。ゴメンナサイ)
翌日、日曜日がパスクァのクライマックス。キリスト復活の日。
町の中心広場を埋め尽くす人、人、人の波・・・。

本来なら何も見えないところだけど、
ここでビットが私達のために素敵な裏ワザをプレゼントしてくれました。
なんと広場に面した邸宅に住む友人のバルコニーをリザーブしてくれてたのです。
$ツアーコンダクターの四季
お金では買えない贅沢ですね。
なにしろ一般人の住む個人宅なのだから。
教会から御輿に担がれて出てくる黒衣のマリアさまからは
人形と分っていても、息子イエスを亡くした悲しみが伝わってくる。
$ツアーコンダクターの四季
しずしずと御輿は進んでいく。と、突然マリアの黒衣が引き抜かれ、
突然春の色美しいグリーンの装いに身を包んだマリアを担いだ修道士達が
キリストのもとへ猛ダッシュする。
この間、瞬きする間もない一瞬の出来事です。
$ツアーコンダクターの四季
祝砲と共に抱き合って歓喜マックスの人々と、
感動のあまり気を失った人のためにかけつける警官。救急車のサイレンの音。
この場に便乗して儲けるジプシー達。
イタリアのカオスの濃縮光景が目の前に繰り広げられて言葉が出ない。

ふと目をやると私のお客様は全員泣いておられます。
「宗教はわからないけど母親が子を思う気持ちは一緒。」と。
感性豊かなお客様の反応に私も胸が熱くなりました。
どんなに素晴らしい風物も、受け止める側に感受性が備わっていなければ
今回のことだってただのお祭りに過ぎないのだもの。

私はお客様に恵まれてるなあと今回もつくづく思いました。

ビットが
「気にいった?この町で暮らしたいなら裕福でハンサムな男性を紹介するよ。」
と言ったけど
この町でも他の町でも億万長者だってイヤだな。
このまま素晴らしいお客様達と感動を重ねながら生きていきたい。