今月二度目の添乗はハワイでした。
お客様は素敵なおっとりマダム三名様。
年齢を重ねるごとに旅仲間を探すことは難しくなると言われます。
まず健康、かけ離れない程度の経済力、

そして家をあけても問題ない家庭事情。
いろいろと条件がそろって、はじめて共に旅を楽しめるのだそうです。
私は、たとえ問題をかかえた方でも、逆にそういう方こそ、
ひととき全てを忘れるために、リセットの旅に出て頂きたいのですが。
今回の三名さまとはワイキキ中心で、観光に飛び回るのではなく
美味しいものを食べて夕日を眺めながらゆったり過ごす

という旅程を組んでいきました。
帰国後、CAの友人に私達が泊まったシェラトン・プリンセス・カイウラニが
とても良かったことを話すと驚かれました。
彼女も毎回ホノルルステイはこのホテルだそうですが、

全く良い印象がないらしいのです。
そういえば私達の向かいの部屋から日系エアラインのCAが出て来られて
立ち話をした際に部屋の中が見えたのですが、
バルコニーのない狭い部屋の窓からは隣のビルが見え、置かれてる家具も
私達の部屋とは全く違うことをお客様方が話しておられました。
いくらあちらが仕事で来てるとはいえ、眺めや広さはともかく、
同じホテルでこうまで部屋によって違うのかと。
これについては「はい、そのとおりです。」とお答えするしかありません。
現実はシビアです。
私のお客様がこのホテルを気に入られた理由は

広いバルコニーからのオーシャンビュー。
朝日、夕日を眺めながら
「OOちゃん(私)、お金があるって幸せだってことが年をとるとわかるわよ。
お金が全てではないけれど、やっぱりこういう時は、

お金があってよかったって思うもの。」
としみじみ語られると妙に説得力があります。
ただ、今のところ私があまりお金に頓着をもてないのは、
やはりお客様の言われる若さ(お客様からみて)ゆえでしょうか。
朝食はプールサイドで各種のフルーツや焼きたてのパン
(メロンパン、あんぱんが美味しい)を頂くのですが、
CAの方たちはABCストアで買ってきたパンやオニギリを

部屋で食べるのだそうです。
何故そこまで節約しなければならないのか、

その辺の事情は立ち入れませんが、
それでは確かにこのホテルの良さがわからないのも頷けます。
このように、ホテルの感想は、その時泊まった人の

部屋のカテゴリーによっても大きく左右されるので

一概に言えない部分があります。
例えば、ホノルルには他にも名門ホテルが数軒あるのですが、
日本人客が苦手とする「設備の古さ」は私のお客様に限っては特にペケなのです。
シェラトンクラスでスイートの次ぐらいのカテゴリー、改装済み

というのが最もツボであることをここ数年のアンケートから学びました。

セビリアのアルフォンソ13世、ニースのネグレスコ、

モナコのオテル・ド・パリ、
ニューヨークのウォルドルフ・アストリア、バンコクのオリエンタルや
香港のペニンシュラなど、世界ランキング30位ぐらいまでは仕事で
泊まらせて頂いてますが、いずれ劣らぬ素敵なお部屋です。
しかし、オーバーブックなどの理由で私にスイートがまわってきた時など
(ホテル側の言い分ではお客様だと不公平になるので

ツアコンに泊まらせるそうで意外にもその機会が多い。)

リビング続きの天蓋ベッドでお姫様気分かと思えば
根が貧乏性の私は不眠に陥ったりするのです。
ここ数年、お客様からは、フォーシーズンやパークハイアットが最も安定した
評価であるため、最近ではこちらに泊まる機会が多くなりました。
格式と新しさがポイントのようです。
ホテルは毎回お客様のご要望を取り入れて決めるのですが、
皆様ツアコンとは少し違った見方でらっしゃいます。
例えば上海では、私は場所も便利なオークラ(花園飯店)がおすすめですが、
お客様はアジア一高い(料金だけでなく)グランドハイアットをご希望されたため、
そちらにしたところ・・・やはりどこに行くのもタクシーでした。
もうひとつ、お客様にとって大切なことは

何か良い意味での「ストーリーがあること」。
これらを念頭にホテルを取れば少なくともクレームは免れます。
「シンガポールスリング」が生まれた「ラッフルズホテル」
「マンハッタン」が生まれた「ザ・プラザ」など。
ニューヨークでは私の好みは「ピエール」ですが、さりげなく提案するだけにしています。
お客様のご希望を聞きながら

ホテルを選んでいく過程もまた楽しい時間です。