ニュクスの抱擁 | 仮面の裏に

仮面の裏に

徒然なるままに書き殴った文章群

なんとか一日を終わらせて眠りに就く前
自分へのご褒美と称して音楽を聴くことが多いのですが
その中でも特によく登場するのがこの曲。







交響曲は一種の様式美であって、
単一楽章だけ取り出して聴くのは邪道…
などと感じつつもやめられません
第二楽章とされたり第三楽章とされたりと
立ち位置の不安定な楽章ですが
個人的には「英雄の悲劇的な最期」である第四楽章の直前の救いであってほしい



微熱に浮かされたような気怠いしなやかさと
星の煌めく夜半の深い森を歩んでゆくような清々しさ
マーラー特有の、破壊と混沌の狭間にある浄化された世界

痛みを欲してやまない夜も
只管に泣きたい夜も
孤独に打ち震える夜も
幾度も子守唄として聴いているうちに、
なんとも思い出深い作品の一つとなっていました
聴く度に全く同じ個所で発作のように涙を流すのですが
普段泣きたくとも中々泣けないわたしのような人間にはとてもよいお薬なのかもしれません
湧き上がるように泣きじゃくった後は
ひとしきり雨が降った後のような澄み切った心地です
幼子に戻って温かな懐に抱かれているような
蕩けるように甘い安らぎに包まれて瞳を閉じることが出来るようになります


オトナになるのは大変だなあ…などと思いつつも
一日の終わり15分で救われる単純なわたしも居て、少し安心。