朝方に強い雨が降っていた。

目覚める前でも、その記憶がうっすらと残るほどの。

せっかくの休みなのでバイクに乗ろうと思う。

天気は回復するようだが、まだ道はしっかり濡れている。

こうなると乗るべきバイクはVTR250一択。

 

10月に行われるSSTRにどのバイクで参加するべきか。ぼんやり考えながら走る。

VTR250は相変わらず自分と周囲に対して優しいバイクだと思う。

適度なパワー、スピード、音、振動。楽な乗車姿勢と乗り心地。旅バイクとして優秀だ。

前回はKSR-Ⅱで参加したが、VTRの方がいいか。

先週の仲間との打ち合わせでは、ゴール後、キャンプの可能性もあると話していた。

そうなると、YZF-R1という選択肢は無くなる。

意外な一手として、スーパーカブ50で参加する手もある。まだレストアはまったく進んでいないが。

とりあえずこのVTRで出るとしても、もう少し旅バイクとして手を加える必要もあるか。

バイク4台体制の贅沢な悩みだ。

 

今日は家から一番近い国道(2番目かな?)、国道365号をテーマに走ろうと思う。

「365」という響きは、「365日」を連想させる。もう1本の近い国道、21号も「21世紀」を連想させ、どちらも前向きな気持ちにさせる、いい響きの道。

そのR365をずーっと北上すると、終点は福井県の越前海岸。初めてそこまで走ったのはいつのことだったか。

脳内BGMは、水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」

 

R365は鉄道と縁が深い路線でもある。

余呉の中之郷駅跡。かつてこの道は北陸本線だった。

 

その路盤跡は柳ヶ瀬トンネルで福井県へ抜けるが、R365は直進して峠越えを目指す。

寒すぎる椿坂トンネルを抜け、県境の栃ノ木峠。

峠のすぐ横には、名前の由来になった、樹齢500年という大きな栃の木があったが、案内看板によると令和元年に枯死したとある。

この先福井県側は春には崩土で通行止めだったが、現在は通行可能。道の線形は悪いが、私はこの区間が好きだ。

 

武生で8号線の下をくぐるが、その前に北陸新幹線の下をくぐる。

田舎でもこうやって景色が変わることがある。

 

R365は越前市街を迂回するが、私は気になる駅があるのでちょっと寄り道。

福井鉄道の北府駅。これで「きたごえき」と読む。

大正13年開業当時の古い駅舎が魅力的。

 

駅舎の中には鉄道ミュージアムがあり、駅の外にはやや古の急行車両が静態保存されている。

奥には車両工場もあり、見どころたくさん。

 

駅前広場で写真を撮っていると、電車好きらしい男の子とお母さん。そこに猫が歩いていく。長閑な風景。

 

さて帰ろうか、とすると、「カンカンカン…」と踏切が鳴る。再びホームへ。

電車が来た。先ほどの親子と一緒に見学。満足。

 

R365に戻り、先へ進むと、越前市から越前町へ。ネーミング何とかならなかったか。

ちなみに隣に南越前町というのもあり、地名を愛する私としては、許せない気持ちでいっぱいである。地名は文化遺産。簡単に捨てるな、と言いたい。

その越前町、旧宮崎村から旧織田町へ。

劔神社。織田信長の織田氏ゆかりの神社。ここの神官の家系だったはず。

境内では社務所も工事中で、プレハブの小屋とかもあって、本来の姿ではなかった。

真ん中でもちょうど5人ほどの職人さんが茅の輪を作ってらっしゃるところだった。茅の輪くぐりの由来は知らないが、たぶん穢れを清めたりするものだろう。

私はここ2~3年、いろいろうまくいかず、一番の取柄だったはずの健康さえ自信がない。

もし完成していたら、何回でもこの輪っかをくぐって、穢れとか厄災とか、私を取り巻くマイナスな全部を、その茅の葉にガシガシこすりつけていくのに。

まぁ普段から神仏を信じていない私なので、神社は軽く雰囲気を楽しむ程度でいいんだけど。