相方が毎日早朝に、人知れずウォーキングをしている、らしい。

田んぼの中を行って、山すそを行って、墓の前の六地蔵で手を合わせて帰ってくるコース、らしい。

私が早起きして、バイクの準備をしていると、相方がそのウォーキングから帰ってきて、「近所の人に見つかってしまった」と言う。

あまり交流のない人だが、向こうはよくこちらを知っているらしく、「あなたは毎日お参りをしている」「苔の庭をきれいにしている」「旦那は地域の仕事をよくやってくれている」などと、ついでに私も褒められたようだ。

最後には、「あなたの家は信仰心が深い」と言われて。

信仰心?

相方は心の中で首をかしげていたらしい。

私など神も仏も信じないのだが、そんな私にも褒められるような信仰心があるだろうか。

 

それはさておき。今日のツーリングは奈良県へ向かう。

R307で南下。土曜の朝は交通量が少なく、快適に走れる。

VTR250はエンジンパワーも控えめだが、過不足ないスピードを保てる。

奈良に向かうなら、一番早いのは高速道路だが、気持ちいい道は一般道にある。

R307から甲南IC、道の駅あやまを経由して名阪国道というルートが、ストレスフリーでお気に入り。

 

一般道の良さは多くある。

気分によってペースが変えられること。

土地の変化を感じられること。

カーブの多い道を選べること。

すり抜けの優越を感じること。

前に停まるピカピカのトラックに自分を映して楽しむこと。

牛舎の隣を通過してダイレクトに匂いを感じること。

鳥の群れの下をフンが落ちてこないかドキドキしながら走ること。

 

名阪国道。無料の高速道路で奈良県へ。

250ccでも流れに乗るだけなら大丈夫。

趣味の世界は信仰に似ている。

信じる世界なんだから当たり前か。

スピード教、とでも言おうか。

1000ccのバイクなら、破滅的な教義、「狂」だが。

むき出しの体ひとつで、風と戦いながら高速の流れに乗るのは、それだけで結構な体験だ。

 

針テラス。針T.R.Sと表記されるのは何でだろう。

じゃあ針すなおは、針S.N.Oか。どうでもいいか。

晴天の土曜日はバイクが多い。これも何かの信仰に導かれて集まるのだろうか。

 

桜井市に入る。

長谷寺というのがあじさいの名所らしいので、そこへ。

私はあじさい信者なので。

と、国道を折れて門前町の狭い道路はがっつり渋滞。やべぇ、こんなに人気の寺なのか。土産屋さんが並ぶ。

とりあえずバイクで良かった、と駐車場へすべり込む。

 

長谷寺。

ここは西国三十三所の8番札所らしい。これはあじさいが無くても人気だろう。

すごい人混みだが、自分だけの花を探そう。

まずは地蔵とあじさい。

 

で、いきなりメインの嵐の坂と言われる階段。

しかし人々で埋まっている。歩みも進まない。人が切れるのを待つなんて絶対無理。

↓ちょっと画像をお借りして、事前に持っていたイメージはこんなだったが。

 

どこを撮っても人ばかり写り込む。

私の精一杯はこれぐらい。接写は難しい。

見たことのない表情の花も多いが。うーむ。

 

本堂への階段も見せ場の1つのはずだけど、まだ色づいていない。

そして、本堂では遠足か修学旅行か、高校生の行列。人混みが苦手な私は心を折られる。

 

長谷寺はいろいろイメージと違う寺だった。

境内は広く、とても立派な寺。あじさいや花がメインの寺では無かった。

SNSや写真ではやはり一部しか切り取られない。

鉢植えはそりゃ綺麗だったが、風景と溶け込んでいるとは言い難い。

地植えのものは探せば咲いている株もあったが、時期的にはまだまだだった。

参拝客もいろいろで、長谷寺は人を見にいったようなもの。

 

渋滞を避けて、裏口、ダム方面へ逃げる。

人間の気配が消えて、やっと一息つく。

私はどうやら人への免疫がなさすぎるようだ。