時間が空いた午後。

自由時間は4時間ほど。それだけあればバイクに乗りたい。

免許取りたて18歳の頃は、30分あれば乗りたいと思ったものだが。

昼を食べながら、ツーリングマップルでざっくりプランニング。岐阜県の近場にまだ未踏の「峠」の文字を3つ発見。久しぶりに峠ハンティングをしよう。

相棒はYZF-R1。先週サーキットを走ったが、ツーリングも楽しみたい。

ゼッケンもそのまま、雨の汚れもそのまま。

 

関ケ原、池田温泉、霞間ヶ渓から谷汲へ向かう。

途中、揖斐茶の茶畑。

白い布をかぶせてあるのは初めて見た。R1号が紛れて見えない保護色。

かぶせ茶の甘さに感動したのは27歳の時。信楽の朝宮茶の農園さんでごちそうになり、すごいお茶があるものだと知った。

 

R157を北上し、目指す峠に向かう前に、好きな駅があるのでちょっと寄り道。

樽見鉄道の日当駅。これで「ひなた」と読む。

近くに民家も無く、周囲は自然に囲まれた秘境チックな駅。

桜の季節も良いが、この新緑の明るさも好ましい。

 

待合室で時刻表を見ると、あと15分で列車がやってくる。

ラッキー。運転本数はかなり少ないので、これは待つしかない。

にわか撮り鉄だ。

そして15分後、ゆっくりと1両のディーゼルカーが駅に入ってきた。嬉しいことに樽見鉄道の標準色。これだけでかなり得した気分。

ブオー、カタタンカタタン。行ってしまうと谷間に静寂が戻った。

 

K79で向かう1つ目の峠、金坂峠。

何ということのない峠だが、名前の書かれた看板がフェンスに取り付けられていた。峠への愛か。

 

2つ目の峠、鹿穴峠。

本巣市と岐阜市の境にある。ここは峠アイテムが何も無い。鹿の穴でもあるかと思ったが。

あるのは、ピークを境に道が森に消えていく、峠という道の構造だけ。

 

3つ目の峠、杉坂峠。

これは県道を外れた、旧道になるのかな?岐阜市と山県市の境である。

 

古くからの街道なのか、ここには地蔵がいた。一番嬉しい峠アイテム。

地蔵は、アスファルト舗装の時に設置されるようなものではなく、もっと古くから街道があった証である。

なぜここに地蔵があったのか。それ以前に、なぜここがそういう意味のある街道だったのか。それを考えるのも楽しい。

この道は参詣道だったのだろうか。だとしたらその行き先は、たぶんこれから行く伊自良湖の寺。

 

ということで伊自良湖。意外なことに、人造湖。

何だか以前来た時と印象が違う。

恋人の聖地とかいって、ハート型のモニュメントが出来ていたり、新しいオシャレなカフェもある。農産物直売所の名前は「ラブレイク」だって。愛に満ちあふれている。

以前来たのはVTR1000Fに乗っていた頃なので、10年以上前のこと。もっと地味なところだったが、いろいろ頑張っているらしい。

 

その奥にある甘南美寺(かんなみじ)。

楠木正成夫人に縁があるらしく、付近の集落もそんな時代から栄えたとかいう伝承がある。だからこその、さっきの峠の地蔵なのではないかと、これは勝手な推測。

 

今日はここまで。時刻もアレなので帰る。

帰り道、護岸のない川で最後の写真を。1人で走ると停まってばかりいる。

 

それにしてもツーリングは楽しい。

特にソロツーリングというのは、どこまでも気楽だ。

好きなペースで走り、好きな場所で停まって写真、寄り道も自由で、行き先も勝手に変更する。というか、もともと行き先などあってないようなもの。

サーキットとツーリングを対比すると、サーキットでタイムを削るというのは、どこか仕事っぽい緊張感がある。

休日は心を休めたいと思うのなら、やっぱりツーリングが良い。

サーキットは「おもしろい」で、ツーリングは「楽しい」。単に「楽」と言い換えてもいい。

休日はこれぐらいでいいと思うのは、疲れているせいもあるのかな。

まぁいいか。