3日目の朝が来た。希望の朝だ。喜びに胸を開け、青空あおげ。
週末のキャンプ場はそれほどの混雑も無く、森閑としている。
そして天気予報ほど冷え込まず、今日も無事である。あの気温計によると、私のテント内は最低で-1℃だったらしい。
昨日と同じく、ゆっくりと時間が流れる。
薪ストーブはペレットシステムが外されたシンプルな出で立ちになった。薪もほぼ使い切り。「ペレットは薪よりも燃費がいい」と、サトシも満足気。
目覚めのお茶は、いつも濃い目。
朝食の柴メシ。
昨日の残り汁とごはんでおじやに。とろけるチーズをバーナーであぶって、洋風かというと、調味料は醤油に鶏ガラスープの多国籍軍。
結局、すごくうまい。
向こうでサトシは「えのき茸のカリカリ焼」を作っている。片栗粉をまぶしたえのき茸を、油の代わりにマヨネーズで焼くのがポイント。
うまい、うますぎる。
誰にでも作れる簡単さだが、初めて食べる感動と言ったらない。料理できる人は本当にすごい。最後のキャンプ飯も大満足だった。
日が射してきた。結露も乾くか。テントに大きな木の影が映る。
さぁ、撤収だ。
私の撤収作業は簡単なもの。テントとシュラフとマットぐらい。砂を払って、しばらく天日干し。
サトシの撤収を手伝う。あれだけ快適な装備だから道具も多い。そしてこれだけのものを広げるなら、やっぱり最低2泊はしないと。
お気に入りのカエルの軍手。
パズルゲームのように、荷物をクルマに積み込む。
来た時と同じく、私の荷物も積んでもらう。これで身軽に帰れる。素晴らしきかな、キャンプツーリングサポートシステム。
積み込みが完了すると、ちょうど正午になった。
気温が上がってきた。装備はやや薄着で。
でもハンドルカバーは着けておこう。夕方は冷えるだろうし。
キャンプ場には今年も2泊、お世話になりました。
私、柴さん、サトシの順で出発。来た時と同じく、それぞれ自分のペースで走る。
今日も快晴。南国の冬は素晴らしい。
帰り道はどうしようか。家の者たちにおみやげも欲しいし。とりあえずR311で熊野まで。
こうやって写真撮ったり、みかんの無人販売に寄ったりするものだから、抜きつ抜かれつになる。
それほど時間に余裕もないが、バイパスと高速道路で一気に帰るのももったいない。
高速道路の無料区間があるが、あえて旧道R42を選ぶ。他の全てのクルマが高速に吸い込まれ、こっちは誰も通らない。
気持ちの良い登坂車線付きの峠道。そんな道が貸し切りだ。エンジンを止めると、山の静けさを感じられる。
かつての幹線道路だが、誰も通らない。冬の日曜日だからか、外で活動する人もいない。
私とVTR号以外に動くものが無い。不思議な世界。全ての景色が固定されたジオラマの世界のようだ。散髪屋さんのクルクルだけが回っている。
小さな道の駅。もちろん客はいない。店内に入るとピンポンが鳴り、おじいさんが1人で店番をする、ただの個人商店になっていた。
グルメツーリングの最後は、道の駅「紀伊長島マンボウ」に立ち寄り、マンボウの串焼きを。
ここの屋台は土日しか営業していないのを知っているので、行きはスルーした。(以前も食べられなかったことがある↓)
さて、念願のマンボウを食す。
おおお、これもなかなか。イカに近い弾力があり、想像以上にうまい。
食もテーマにしようと思った今回の旅。1番を決めるのが本当に難しい。最初から最後まで、全てのメニューが本当にうまかった。
あとは紀勢道と伊勢道で一気に帰る。
高速道路に入ると、旅の感慨は薄まってくる。早く帰りたいがスピードを出すと寒い、というジレンマと戦うだけ。
鈴鹿からはR306で。何度も走った道だが、やっぱり高速道路より旅情がある。
VTR250にもだいぶ慣れて、一体感が出てきた。このバイクは、信号の無い一般道を流すような速度で走るのが一番気持ち良い。
脳内BGMは、Rod Stewart「Sailing」
私がこの先、キャンプにのめり込むかどうかは分からない。
懸念しているのは、バイクと組み合わせる趣味として、キャンプはウエイトが大きいということ。
目的としても大きいし、実質的に重量も重い。グルメや写真や神社仏閣巡りというなら、ツーリングの域を越えないのだが、バイクとキャンプを組み合わせると、バイクが単に手段になってしまう可能性がある。
しかし今回のように1人クルマでサポートしてくれると、バイクの私は移動ではなくツーリングになり、本当にありがたい。
周りに合わせて大人数で走ることも苦手な私にとって、3人で自由に集まって、自由に過ごし、また集まって飲む。このスタイルは最高だ。
VTR250最後の給油。燃費は30km/L以上と良かった。航続距離が長いのも、旅バイクとしてなかなか良いものだった。
寄り道もして、先行の2人からは遅れたが、何とか明るい時間に帰れた。
良いバイク、良い風呂、良い仲間、そして良い旅になった。
また来年。